「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

オフはオフでも……

2008-06-13 23:32:43 | 国際防災協力
 せっかくテヘランまで来て、部屋から一歩も外に出ないようでは……、と
思いつつも、パソコンに向かい、原稿書きとメールで終わったオフでした。
部屋で無線LANが使えるのも善し悪し、ということでしょうか……。ともあれ、
週末が明け、明日と明後日の2日で仕込み、月~水に3時間ずつのワーク
ショップを行い、これで当地滞在中の予定が終わります。

 今ごろになって気づくのも間の抜けた話ですが、良い意味でも悪い意味
でも、カウンターパート(テヘラン市総合災害管理局、TDMMO)を信用し過ぎ
ましたね。そのことは、大きな反省材料でした。

 なるほど、与えられた役割は、TDMMOへのいわば技術指導だった訳です
が、その前にやるべきは、TDMMOが実際にどのくらいの機能を果たし得る
かについて、自分なりの手応えを持つことでした。当地では、地震災害時、
捜索救助や避難所運営について、市はほとんど機能せず、もっぱら赤新月社
がそれを行ってきたとのこと。であれば、まず行くべきは赤新月社であり、
テヘラン市とどういう関係になっているのか、きちんと聞いてくるべき
でした。

 思い起こせば、最初の国際防災協力の現場体験であったカトマンズ盆地
地震防災プロジェクトの時は、UNDPやWHOといった国際機関も含めて何度
となく「JICA Study Teamの小村です」と足を運び、話を聞いたものでした。

 ただ、当地イランの場合、それが極めて難しいことは火を見るよりも明らか
ではあります。なにせ、市と区の間でさえ、JICAとテヘラン市がやった8年前
のマイクロゾーニング調査の成果も、4年前のマスタープラン調査の成果も、
まともに共有されてはいません。いわんや、赤新月社や内務省、陸軍や革命
防衛隊にヒアリングに行きたい、などと言った日には、TDMMOは露骨に嫌な
顔をするでしょうし、宗教警察の尾行もつくかもしれません。身辺調査や持ち
物調査も覚悟しなくてはなりませんし、「やっぱりJICAはスパイだった」という
話になりかねません。関係機関の連携など、当分の間は「言うだけ」で終わる
でしょう。

 でも、たとえ「ダメもと」であったとしても、ぶつかってみるべきでした。ひょっと
したら道が開けたかもしれない。TDMMOの立場も客観視できたかもしれない。
まぁ、「無いものねだり」の域を抜けない話かもしれませんが……。

 無線LANのおかげで、メールであれば日本とのやり取りもまったく支障が
ありません。幸か不幸か、海外転送にしてあるはずの携帯は、相性が悪い
のかほとんど圏外で役に立ってはくれません。そう言えば、トーチャール山で
ご一緒させていただいた商社の方が、「山頂近くで携帯がなった。日本から
の電話でぶったまげた」とおっしゃっていましたっけ。「つながっているね」も
よいのか悪いのか……。まぁそのおかげで、富士を遠く離れたテヘランで、
新入生も巻き込んでの地元中学への出前講座の調整が進んでいるのです
から、助かってはいるのですが……。

さて、テヘラン滞在も残り5日です。その間に何ができるか、楽しみです。