たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

ぶどうの霊力

2019-04-02 09:10:36 | 出雲の神社

<雲南市・釜石周辺>

 

一説に、ヤマタノオロチの物語とは、

異国人の襲来を示すだけでなく、

鉱山の鉱毒、噴火に伴う火砕流、水害による土石流など、

様々な「災害」を表しているとも言われております。

オロチ伝承にたびたび登場する「八」重垣が、

災害を防ぐための「碑」であったように、

「八」塩折の酒と呼ばれる醸造物も、

災害を防ぐための「武器」だったのでしょうか……。

 

ちなみに、八塩折の酒の「塩折」とは、

「日本酒を使って日本酒を仕込む」という、

非常に手の込んだ酒造りの製法を指しますが、

実は、八塩折の酒に用いられたとされる材料は、

「衆菓(もろもろのこのみ)」という果物で、

「米」ではなかったという話があります。

考えてみますと、神事に日本酒を使用するという慣習は、

「天照太御神」の世になってからのことだと思われますし、

それ以前は、他の植物を原材料とする「醸造酒」が

用いられていた可能性もあるのでしょう。

 

それらの根拠を示すかのように、

八塩折の酒を醸造したとされる釜石の付近には、

古くから「山葡萄」などの果樹が野生しているそうです。

オロチとの戦いを前に、御室山に籠ったスサノオは、

かつてイザナギが、黄泉の国から追ってきた鬼に、

エビカズラ(ぶどうの一種)を投げつけたように、

このあたり一帯に植生していた「ぶどうの木」に、

何らかの霊力を見出したのかもしれません。

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