<いざなぎ流資料>
いざなぎ流を興したとされる天中姫宮は、
天竺に住む「いざなぎ大神」から、
様々な祈祷法を学んだと聞きます。
師匠であるいざなぎ大神は、
天中姫宮の能力を試すために、
難しい試問を繰り返しますが、
天中姫宮は想像を上回る呪術で
それらの難題に応え続けた結果、
いざなぎ大神のお墨付きをもらい、
門外不出の秘儀を伝授されたそうです。
何よりも、いざなぎ大神を驚かせたのは、
天中姫宮が「外法のもの」を操ると同時に、
いざなぎ流という祈祷術が、
「外法のものを使った呪詛である」
ということを見破った点でした。
外法のものというのはつまり、
式神や犬神などを飛ばす妖術のことです。
恐らく現代では、「外法」の知識はあっても、
それを乱用する太夫はいないと思われますが、
長い歴史において、一部の太夫の間では、
不適切な「外法」も行われていたのでしょう。
もしかすると、いざなぎ流の来歴の中から、
忌部氏という存在が消されてしまったのも、
この「外法」を巡っての摩擦や確執が、
影響を及ぼしているからなのかもしれません。