<白良浜 しららはま>
先日、ある本を読んでおりましたら、
神社の白玉石は「浜の再現である」
という一文が目に留まりました。
浜、特に白浜と呼ばれる場所は古来、
神様を迎えるための特別な場であったことから、
浜石には特殊な力が宿ると考えられていたのでしょう。
浜で行われていた伝統はやがて聖域へと場所を移し、
白石を手向ける習慣へとつながったと聞きます。
また、「産む砂」が「産土」へと転化したように、
神域に敷かれた砂も同様、砂浜を再現したものでした。
出産という神聖な儀式を無事に執り行うためには、
浄化作用の強い浜砂が最適だったのだと思われますが、
もともと「シラ(白)」にも、
「産屋」の意味が含まれていたとの説があります。
白石奉納の風習が残る紀伊半島南部のあちこちに、
神産みの母であるイザナミが祀られているのは、
決して偶然ではないのかもしれません。
【参考文献】
神と自然の景観論 野本寛一