<色川神社 いろかわじんじゃ>
海沿いから那智山に向けてひたすら山道を登り、
川沿いに佇むその神社の姿を目にしたとき、
「ここは完ぺきな場所だ」という思いが、
どこからともなく湧いてまいりました。
おそらく何百年前、何千年前の時代も、
この場で「神気」を感じ取った人々が、
あたり一帯に流れる特別な空気に触れて、
私と同じような感覚を抱いたのでしょう。
神社前の狭い駐車スペースに車を停め、
逸る気持ちを抑えながらドアを開けると、
何とも涼やかな朝の風が、
川のせせらぎの音と共に、
心地よく全身を包み込みました。
頭上ではたくさんの鳥たちが、
一日の始まりを待ちきれなかったかのように、
思い思いの音色でさえずっています。
那智勝浦・色川神社はまさに、
有形無形の精霊が飛び交う「聖地」だったのです。