<国立歴史民俗博物館>
通常、土偶が土中から現れる際、
ほとんどの土偶が「故意に壊された状態」
で発見されるそうです。それだけでなく、
バラバラにされた土偶の破片や、
欠損した土偶の「もぎ取られた部位」が、
どういうわけか「同じ穴」あるいは
「その近辺」からは見つからない
という不可解な現象が見られるのだとか……。
このことを踏まえれば、縄文時代の人々が
「土偶を壊す」という行為に、
重要な意味を持たせていただけでなく、
「本体と破壊した部分を同じ場所に置かない」という、
暗黙のルールを守っていたことがわかるでしょう。
ちなみに、土偶という偶像は
当初から「壊す目的で」造られており、
制作段階ですでに足の付け根などに
亀裂が入っていたという話を聞きます。
また、削られた部位の90%以上が、
頭、腕、足、乳房など特定の部位に
集中していることから、単に
「患部を壊し治癒を願った」
とも考えにくいのだそう……。
いずれにせよ、壊された土偶たちを眺めておりますと、
個人的にはどうしても「再生」よりも
「封印」の力を強く感じてしまうのですね。