治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

4 なぜ当事者が支援者に訴えられているか

2010-06-07 23:00:00 | 日記
一連の「そらパパっていう人問題」が起きたとき
あるお医者様からメールをいただきました。自閉っ子の親御さんでもあるんですが。
「自分は医者だけど仕事として自閉症にはかかわっていません。親でいるほうが有利だからです。そらパパさんは親であることに甘えていらっしゃると思います」

親であることが有利? 親であることに甘える?
どういうことなのか私にはわかりませんでした。
親御さんはただただ大変そうだから。

でも今某地裁で起きている裁判は、どうやら
「当事者であることに甘えるな」というのが原点みたいです。提訴の。

「いくら当事者だって、ネットを使ってやっていいことといけないことがある」

それを教えるために、その大学教授は裁判を起こされています。
目的はもちろんお金じゃありません。
ただ「ネット」という便利な道具があるがゆえに生じるリスクを抑えることが目的。

これから続く世代のためにね。

「未確認のことを、想像で書いてはいけない。」
「弱い立場の当事者だからって、支援者をぼろくそに言っていいわけではない。」
「自分が自閉症者だからって、自分の自閉症観が唯一だというわけではない。」

こういうことを知らしめるための裁判です。

これを「親」に置き換えると、「親の立場に甘えている」という読者の方の言わんとすることがちょっとわかったような気がしました。

ちなみにこの裁判の被告に対しては
再三言ってきたとおり
去年東京地裁で私たち夫婦に対する損害賠償として約200万円+年利5%の判決が下されています。

一審で双方控訴せず
すでに判決は確定しています。
つまり、いつでも執行できる(つまり取り立てできる)状態にあります。

それでも私たちは執行していません。
それは被告たちが「貧困である」と自称しているのと
別の地裁でも裁判を抱えて、それなりに費用負担が生じているのを知っているからです。

要するに、半ば温情です。

まあ今この時にも刻々と金利は増えているわけですが。

ところが、今般「そらパパにカンパを」と呼びかけている人物の中に
この被告と生計を同一にする人がいるみたい。

そんな金あるんだったら執行しようか?
執行官頼む?

と私たち夫婦は今検討しています。

そらパパっていう人とその取り巻きに警告します。
あなたたちの仲間には、そういう人が混ざっているみたいですよ。

自閉症支援の世界全体が
あなたたちのやることを見ているかもしれませんよ。

もちろんすべてが私の味方だとは思わない。
そんな幻想はもっていません。

でもあなたたちが「言論の自由」を声高に叫びながら「人気ブログ」のパワーをかさに花風社の「言論の自由」を封じるのを
見ている人はたくさんいますよ。
あなたたちはたぶん花風社への応援を、けっこう小さく見積もっていると思いますよ。

あなたたちは言論人である私が言論をもってではなく訴訟をちらつかせて黙らせるのを非難していましたね?
私は最初から言論で勝負するつもりでしたよ。
でもそれにはあまりに不利な状況に立たされていた。
こちらは生身なのに、あちらはリアルな交渉先さえはっきりしないのだから。

でも今
オフラインの、リアルでの交渉先ができました。

だからもう安心して、言論で勝負します。
これまでの経過は、リアルでの交渉先を確保するための駆け引きだと思ってもらったほうがいい。
私が本当に言論で勝負するのは、むしろこれからですよ。

以上。

3 開示請求することは不当な圧力ではない

2010-06-07 21:00:00 | 日記
さてさて、大地君のご親戚には検事さんとか弁護士さんも多いし
白くま母さんも仕事をしていたころは職務上、裁判所に呼ばれた経験は多い。
証人としてね。ばんばん個人情報の開示請求が来る職場だったからね。

私は去年「ニキ・リンコ、泉流星のパスポートを出せ」と迫ってきた人物に対して裁判を起こし
裁判でも開示の是非を争ったが
裁判所は開示の必要性を認めなかった。だから出さなかった。

あ、私のパスポートも見たがっていたなあ。その人物は。

個人情報を握って仕事している法人っていうのは、つねにそういうリスクがあるのが当たり前。
そらパパっていう人が身元を明かさずにこちらを攻撃していた以上、いざというときのために個人情報を知っているところに対してお願いする→拒まれれば裁判所に是非を判断してもらう っていうのは
当たり前の流れなんですよ。脅しでもなんでもない。

だからそらパパっていう人の代理人が「不当な圧力」って言って来たときには

へ?

て思いました。

で、白くま母さんと二人で言ってたんですよ。
「もしかして見くびられちゃった? 私たち」って。

まあそらパパのそばで騒いでいる人たちも詳しくないみたいなんで言っておきますが
開示請求なんていうのは普通のことですよ。
企業やっている以上。

ただぶどう社さんは初めてだったんでしょう。
初めてのときは怖いよね。

それだけ。

大地君はこう言っているらしい。
「僕がここで頑張らないと、そらパパさんは浅見さんがこれから本を出すたびに邪魔をする」

大大大博士祭りを見て思ったんだろうな。
8歳でカリスマ守ろうと決心してるんだよ。健気。

これだけ健気に向き合っているんだからさ
せめてお手紙にお返事くらいほしいよね。書面で。

一応今、「返事がこない理由を教えてね」って代理人に頼んでるけど。

ところで知っている人は知っていると思いますが、今、某地裁で自閉症支援で名高い大学教授が自閉症の当事者を訴えていますね。
訴えている相手は、私が訴えた相手と同じですけど。

どうしてそんなことになるか? って?
なんで支援者が当事者を訴えるのか? って?

私はこれ、微妙にそらパパ問題と関連していると見ているんです。

つづく

2 著者と版元は一蓮托生

2010-06-07 19:00:00 | 日記
さてさて、そらパパっていう人は「花風社の編集方針は批判していても大地君を攻撃していない」っていうのが主張。
代理人からの正式の文書にもそう明記してありました。
逆に言うと「花風社の編集方針は批判」していると公に認めたということになる。

いいよ別に批判しても。聞かないけどね。
「どうして自分に従わないか説明しろ」と吠えられない限り、私はスルーする。
説明しろ説明しろと言われなきゃ放っておくよ。いくら批判されてもね。
私から見ると超くだらない理論にこだわってるだけなんだもん。
仲間内で盛り上がってればそれでいいじゃない。

でもね。
「編集方針は批判しても著者は攻撃していない」っていうのがどうしても解せなかったんです。
何言ってるんだろう? わけがわかんない。

著者と版元っていうのはね
本を世に出す前に、大義を確認し、共有します。
この本を出すことによって何を訴えたいか。
そして作りこんでいく。

相手がカリスマ精神科医でも、8歳の男の子でも、基本的にそれは同じです。

だからね、編集方針を攻撃して著者を攻撃しないっていうのは、それは不可能なわけです。

でもね、わかったんですよ。なんでこんなとんちんかんな主張をするか。
ぶどう社さんに電話したとき。

「本を出してからは一切かかわりがありません。ブログも見ていません」

なるほど。著者としてコミットされてない? もしかして?

ふつうはそれじゃあいい本はできない。
でもぶどう社さんだって、優れた本をたくさん世に出していらっしゃるでしょ?
編集が本当にていねいだと、いつも同業者として敬意をもって見てますよ。

好きなシリーズもいっぱいあります。
「ぼくうみ」の山下さんの本。
明石洋子さんの本。
「うちの子かわいい」のシリーズも楽しみに読んでいる。

こういうシリーズと「そらまめ式」の決定的な違いは何?
わかりますか?

そう、「シリーズ化」しないことですね。

要するに、版元のコミットメントがそれだけ少ない著者なのかなっていうのが同業者としての私の自然な判断につながるの。
だってね、あれほど優れた本を出しているぶどう社さんがいつもいつも「本を出したあとは一切かかわりない」という仕事をしているとは思えない。
だったらあれほどいい本が次々世に送り出されるはずがない。

版元にあんまりコミットされていない著者なら「編集方針は批判しても、著者は攻撃していない」とか堂々と言っちゃうんだろうなあ。
周囲で「そうですよね。花風社の編集方針は批判しても大地君は攻撃していないですね」とか騒ぎ立てていた人々も、別にどっかでシリーズもっているわけじゃなさそうだしなあ。

つまりね
「そらまめ式」の続きはぶどう社さんからは出ないんでしょうね。
あれだけ膨大なブログのネタがあっても。
だって「一切見ていない」とおっしゃるんだもの。
また本にしようと思ったら、ときどきチェックするのが自然なのではないでしょうか。

つまり、次にそらパパっていう人が本を出すとしたら
よその版元なんでしょうね。

でも今、どっかオファーするかなあ、あのブログ見て。

何しろ一番上に「花風社・浅見淳子社長による不当な~」とかあじってるもんね。
ちょっとオファーしにくいんじゃないかな。

きのうはグーグル・クロムで「そらまめ式」ってぐぐったら
一番上に「花風社の本ならbk1!」っていうセールスが出てきて笑ったけど。
そらパパっていう人、宣伝ありがとう。

まあ版元も色々だからわかんないけど。

意外と事なかれ主義だからね。この業界も。
事を構えるのはいやなところは声をかけないかもね。

で、まあ、ふつうは著者と版元っていうのは一蓮托生なんで
ぶどう社さんに開示を求めに行ったっていうのは別に「不当な圧力」でもなんでもないんですよ。

それは、つづきで。

1 そらパパ式言論の自由

2010-06-07 17:00:00 | 日記
さてさて、シリーズ記事第一弾です。

そらパパっていう人代理人から「通知書」がきました。
三つの要求が書いてありました。

1 ぶどう社に接触するな。
2 ブログを削除せよ。
3 大地君の次の本に「そらパパさんへのお手紙」を載せるな。

1 については先日「回答」でも明記したように

もちろん今後この件でぶどう社さんに接触はしません。
一通り落ち着いたらお礼とお詫びの手紙くらい書きますけど。
素性の知らない人に攻撃されていた以上、知っている人に開示請求するのは当然の手続きですが
(これはこのシリーズ記事3で触れます)
驚かせてしまったのは事実ですからね。

だって私のほしかったのは「リアル交渉先」と「送達先」
それが手に入った以上、もうぶどう社さんに仲介の労を取っていただく必要はありません。

でもね、あとの二つの要求は・・・
そしてブログ削除と「手紙を載せるな」って・・・

おやおや。
これはオウンゴールじゃないの?
マーケティング変えたのかな?
たしか「言論弾圧されるかわいそうなボク」が売りじゃなかったっけ?

大地君の次の本に「そらパパさんへのお手紙」を載せると訴えられちゃったりするのかしら。
ぶるぶる。こわーい。

これをつぶやいたら
自分が言えば言論の自由で、自分が言われれば名誉毀損なのかな?
っていうついーと送ってきてくれた人もいましたね。

うん。そうなのかも。
ふしぎな考え方。

で、その削除せよというブログのエントリーを確認して
私にはわかりました。

そらパパっていう人が何を守りたがっているか。

率直に言います。

ご家族がお気の毒です。

=====

「大地君の手紙を次の本に載せるな」っていう件については白くま母さんに言いましたよ。
「母さん、私次の本にあの手紙を載せると訴えられちゃうみたいよ。ぶるぶる。こわいねー。人気ブログのカリスマ親のパワハラは」

すると母さんこう言った。

「交渉する相手間違えてるんじゃないの? あの手紙の著作権もっているのはうちだからね。うちは相手の居所がわかんないから、浅見さんに頼んでブログに載せてもらっただけ。浅見さんが本に載せられないというのなら、他の媒体に頼む権利はうちにあるんだからね。第一書面で送ったのに書面で返ってきた返事は私たち夫婦宛だけ。大地にはなし。そこまで取るに足らない手紙なら、新聞でもテレビでもどこに流されたって平気なはずでしょ」

「おおお、さすが母さん。そのとおりだね。ごめんね、零細版元で。もっとパワフルな人に送ってみたらどうだろう。たとえばさ、みのもんたさんとか」

======

言論弾圧してるのどっちでしょう?

つづく

「発達障害は治りますか?」への読者の方からの感想

2010-06-07 07:00:00 | 日記
読者の方→花風社

先日は新刊を送っていただきありがとうございました。ネットで本を買うのは初めてだったので、もういつ来るか落ち着かないわくわくした日々を過ごしておりました。

二回目を読んでおります。
初めて読んだとき、最初の何ページかで、私が考えていたことがこの本の中に書かれてあると確信を持ち、まず、私が一人ぼっちではないんだなという安心感が先に来ました。

体を動かすことで言葉が出やすくなったり、行動に落ち着きが出ることは息子と接するうちに気がついたことです。その後様々な情報で感覚統合、特にブランコがよいと知りました。息子も大好きなので、放課後、ヘルパーさんと過ごすときは、まず一番に校庭のブランコに行くようです。ずいぶん表情が豊かになりました。感情を表に出せるようになったようです。
泣くことができない子だったのが、入学してからしくしく泣くことが増えたと聞き、逆に安心したほどです。いまや泣いて嫌なことから回避しようとするずるさも身につけられました。

また「ほめるとセルフエスティームは高まるのか」というお話は、私もずっと「褒めて育てる」ということに何か違和感を感じていたので、私がうまく説明できなかった話を代弁していただけた気持ちになりました。
褒めるというのは、褒める側の見かたも見えてくる行為だなあと思います。
私は共に暮らす人として、息子が年相応にできることは、頼もしく思えることはあれど、ことさらに褒めることではないと思っていたのです。「あらいいねえ」「やってくれるとたすかるねえ」とかは言いますが。
どの子もその子なりのプライドがあるはずだから、しかし言葉がうまく操れない子にはそのプライドのありようも、行動で見せる他ないのではとも思います。かんしゃくを起こしたとよく言われましたが、それを言葉ととらえてからなぜそうなったかがわからなければ、言葉を使うことに意味はあるのかとも思います。

代替療法にも興味をもっており、なぜなら私自身が(中略)。今は病院通いをしなくなって10年になります。8年ほど通院投薬していたのが嘘のようです。手首の関節が固まって動かなくなっているのと、疲れると腸の調子が悪くなるので、気休めにエビオスなどの整腸剤を飲む他は、毎日お酒も飲むし、肉も食べる生活です。ただ乳製品はあまり摂らなくなりました。

息子も偏食が多いほうですが、少しずつ食べられる範囲が広がっています。
しかし一方で、この偏食には意味があるのではとも思っています。
今まで何人かの自閉症児を見てきましたが、食べ物の好みに共通点があるように思えます。
口の中の感覚過敏や食べ物の見た目の問題もあるかと思いますが、私の知っている子は、歯ごたえのあるものが好きでした。それからきなこが好き。塩をそのままなめてしまう子も多かったようです。海苔も好き。息子はごまも好きです。
ミネラル類なのかな、それをたくさん使ってしまう体なのかな、または野菜をほとんど食べないから、バランスをとっているのかな……
偏食を直すというよりは、食べられるものを増やす、という考えで行けたらいいのかなと思います。

エビオスをかじる子の話も、不思議な話と思いませんでした。好きなものに理由があるような気がするのです。
テンプル・グランディンさんの本で、マグネシウムやビタミンB6が話し言葉を増やすのに効く(人もいる)というのを読み、それは息子の好きなものにわりと多いものではないのかと思っています。きなことかチョコレートです。しかし一方で食べ物アレルギーが自閉症状を悪くさせる話もどこかにあり、しろうとが出来る範囲では情報収集だけでも日が暮れてしまうほどです。
息子には毎日飲む牛乳を葉酸や鉄分入りのものに変えたり、チョコレートも解禁したり、きなこヨーグルトは毎朝私と共に食べたりしています。
話し言葉はたしかに格段に増えました。明確なデータがあるわけではないのですが、この過去一年半ほどは、感覚統合と食事が「息子には悪くはなかった」という結果かなと思います。

支援級の(中略)ですが、どうも学校の授業に参加したがらず、図工の時間の作品には、いつも息子のものがありません。その時間になにをやっていたかといえばおそらく好きな絵を描いていたのだと思います。

この集団行動をことごとく嫌がることの理由を知りたいです。母子通園の頃はやっていたのになぜやらないのか 。やたら褒められたのが今裏目に出ているのか。

こんど手帳の更新もあり相談をする機会もあるのですが、なんだかだんだんこれは自閉症だからやらないのか、成長してこんなことやってられねえからやりたくないだけなのか、単純に考えたほうが上手く行く所もあるような気がしているのです。そこがこの子のバランスの悪い発達なのかと。

(中略)

いろんな見方をして、子どもの成長に追いつきながら、良い方向に進んでいきたいと思います。これからもそのいろんな見方を、沢山の人に提供して下さる本を、じっくりと作ってください。

ミラーニューロンのことも、もっともっと、知りたいです。

なにより花風社さんの本は、内容が読みやすいのはさることながら、表紙が薄い、全体の本の重さが軽いのが、(中略)を患ったものにとってたいへんありがたい本です。右開きでたて組で、書体も、私には読みやすく助かります。

そういえば小学校の教科書って、ものすごく色が多色で、このことも集中しにくい子には良くないのではと思っています。支援級の教科書は、二色で読みやすく、内容も易しいのですが、造りも優しいと思います。今回通常級の教科書を買ってみて、「これが白黒なら息子にも、もっとわかりやすいのでは」と思いました。

これからもいかした本造りをお願いします。それでは失礼いたします。

浅見→読者の方

花風社の浅見です。メールをありがとうございました。
神田橋先生の本をお役立ていただきうれしいです。
すでにお子様のために、そしてご自分のために、あれこれ試してきて効果のあるものを探り当てた実績のある方だからこそ、この本から読み取れるものは大きいと思います。
私たちはこの本を作りながら「わかる人にしかわからないかもしれない。でも役に立ててくれる人が役に立ててくれればいい」と割り切った気持ちで作ってきました。
今嬉しいのは、この本を読んで、実際に実践に取り入れ「状態がよくなった」というご報告がこれほど短期間のうちに上がってきていることです。

今後とも花風社の本をよろしくお願いいたします。