夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

唐詩選 上、中、下 岩波文庫

2006年08月25日 11時45分36秒 | 日記
何度も何度も購入する本がある。
この唐詩選もその一つ。吉川版などさまざまな唐詩選が出ているし、王維、李白、陶淵明など個人に的を絞った出版物もでているのだし、それはそれで買ってしまうのだけど、この唐詩選は私にとって特別な意味があるのだろうか?
それとも多分、自分の中で定番となっていて、他で見てもこれで再度確認してあんしんするということなんだろうか。

この本を最初に購入したのはいつなんだろう。もしかしたら、高校生時代に初版で手に入れたのかもしれない。それ以来、引越しや、置き忘れなどでいつもなくなってしまったりしていた。なくなると、しばらくしてあれは何だったのだろうかとついこの本を探そうとして、手元にないと不安になり、また購入する、そんなことの繰り返しだった。

今回もまた、「ない!」って気が付き、おろおろが始まって、結局購入してしまった。専門家でもないし、特に興味があるわけでもない。本棚に並んでいて、あれなんだっけというときに引っ張り出せる、ただそれだけの意味なんだけど。
でも子供のときから慣れ親しんだ中国の詩、折に触れて、あの詩、あの詩人の作品、こう言う感じを読んだ作品って、なんだか自分の一部になっているようで、どうも手元にないと不安を感じてしまう。

ところでAmazonの中古をみたらこの本が1円で売りに出ている。半信半疑で注文を出したが、ちゃんと手元に届いた。なんだか欲しい本が手に入った喜びよりも、1円で購入できた喜びが大きいんじゃないかと、自分のロマンの欠乏にがっかりした。
それにしても古本屋のチェーンで105円の棚の本を見ながら、実は郵送代が300円以上かかるので、むしろこちらのほうが安いのだと、いまさらながら気が付いた。










唐詩選〈上〉

岩波書店

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