「コメ農家の時給10円説」はウソである…日本人に高いコメを買わせ続ける農水省・JA農協の"裏の顔"

プレジデントオンライン4/26(土)8:15

「コメ農家の時給10円説」はウソである…日本人に高いコメを買わせ続ける農水省・JA農協の

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tdub303

 

■規模拡大とともに時給は増加

コメの生産費を調査している統計(食管制度時代生産者米価算定の基礎となった米生産費調査)をベースとして、コメの10アール当たり収量とJA農協が農家に支払う概算金をもとに収入を推計し、ここから時給を推計したものが次のグラフ(図表4)である。

規模が大きくなるにつれて、時給も増加することがわかる。0.5ヘクタール未満層の時給は▲163円である。赤字だと主張しているのは、この零細な農家である。しかし、これらの零細層は、国民への食料供給のために赤字でもコメを作り続けているのではない。マチで高いコメを買うより、赤字でも自分で作った方が安上がりとなるからである。詳しくは、〈JA農協&農水省がいる限り「お米の値段」はどんどん上がる…スーパーにお米が戻っても手放しで喜べないワケ〉を参照されたい。

■農家戸数が減少しても生産額は減らない

時給10円という劣悪な経営状況にある農家がいなくなると、日本人は食べられなくなるぞという主張が目立つ。国民は「農業保護を増やさないと餓死しますよ」と脅されているようである。

私は農水省に30年も勤務した。JA農協などがこのような主張をするたびに、心の中で「ウソをつくな! これまで農業界は国民に食料の供給責任を果たしてきたのか?」と叫んでいた。

そもそも、1995年から農家戸数は半減し農業者数は7割も減少しているのに、農業生産額はほとんど減っていない。規模の小さい農家などが減少して農地等が規模の大きな農家に集積していったからである。