「売れ残り」独自調査の結果は…

筆者は2023年2月3日から同月4日にかけて、協力者5名と1都4県、合計45店舗の大手コンビニと食品スーパーをまわり、恵方巻の調査をおこなった。

調査したコンビニ全店舗の売れ残り本数は898本(1店舗あたり28本)、完売店舗率21%だった。あるコンビニでは日付の変わった深夜0時13分に76本が売れ残っていた。

日本フードエコロジーセンターに届いた米飯(2025年撮影)
写真提供=日本フードエコロジーセンター
日本フードエコロジーセンターに届いた米飯(2025年撮影)

流通経済研究所による「日配品の食品ロス実態調査」(n=1028社)によれば、廃棄ロス率の中央値は「0~0.2%未満」~「0.6~0.8%未満」である。大手コンビニ3社は、農林水産省の恵方巻ロス削減の取り組みに名乗りをあげているが、直近3年間の完売店舗率は各社とも激減している(図表4)。

【図表4】大手コンビニ3社調査対象店舗の完売店舗率
出所=『私たちは何を捨てているのか』(ちくま新書)

いくら「予約販売します」と宣言していても、需要を上まわる量を当日販売していては、売り切るのはむずかしいだろう。

客は知らないうちに代価を払わされている

ただ、前掲の恵方巻に関する調査から、「予約する」のは消費者の1割程度に過ぎず、5割は「当日に買う」のだから、コンビニがそんな消費者のニーズに応えようとしたのは当然といえる。

しかし、同調査によれば消費者の約6割は恵方巻をスーパーで購入しており、コンビニで購入するのはわずか1割程度だ。そして半数以上は「半額以下であれば購入を考える」というのだから、値引き率の低いコンビニで売れ残りが発生するのも無理はない。ただし、3社ともに恵方巻を完売させた店舗がある。加盟店オーナーの裁量なのだろうか。

セブンイレブンはAIによる発注補助システムを2023年2月に5000店舗、ファミリーマートも同年3月に5000店舗に導入するという(※)。AIによって恵方巻のような季節商品の食品ロスが今後どうなるのかも注視していかなければならない。大手コンビニ独自の「コンビニ会計」によって、売れ残りなど、捨てる食品の費用の約80%以上は加盟店が負担しており、本部は捨てても損しない会計システムになっている(前回記事で詳述)。

※編集部注:セブン‐イレブン・ジャパンHPによると、2023年から発注数を提案するAI発注システムを全店舗で導入している。

その日にしか売ることのできない季節商品を過剰なほど多く売る店は、余って捨てる費用を消費者に食料品価格として負担させている。消費者は知らないうちに食料品価格に組み込まれた食品ロスの代価を払わされているのだ。そのことに、わたしたち消費者も自覚的であるべきだ。