「自己肯定感を高める三要素」 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
「自己肯定感を高める三要素」・・・その2
「①成功体験と達成感を得る」・・認知・行動のレベル
自己肯定感は、自己の成功体験や達成感などによる効力感の向上が大きく影響しています。自分の行動による結果が、自己が満足するものであり、他者からの良好なフィードバックを得ることができるものになれば、自分自身の存在を実感することができます。行動による結果は、成功も失敗もあるわけですが、結果を謙虚に受け容れ次への行動へ生かすことにより、成功体験や達成感を得ることができます。そのための行動モデルが「認知→行動→評価のスパイラル」です。
「認知」とは自分が何ものであり、どんな状態かを認識したり、将来を想像する力です。つまり、自分ができていることと、できていないことを認識すれば、その差を埋めるための目標を立て、「行動」に移すことができます。「認知」のもとに行われた「行動」は、必ず何らかの結果や反応を生み出します。それを感じとる力が「評価」です。そして「評価」は次の「認知」へとつながります。簡単に言うと「自分の行動をふりかえり、まわりの意見を聴いて、次の行動に生かす...」という人間としては自然のプロセスなのですが・・・なかなかこれが実践できないところに、自己肯定感の低さに悩む実態があるわけです。
(1)「いろいろ悩んで行動に移せない」ケース・・これは残念ながら認知の部分が妄想に支配されている状態です。「認知」から「行動」へ移るプロセスの断絶です。成功体験や達成感の乏しさからくる不安や恐怖、プレッシャーにより、好ましい結果というものが想像できません。
(2)「行動による結果をふりかえらない」ケース・・つまり、やりっぱなし状態。成功しても失敗してもなにも次につながりません。「評価」の部分まで到達できていないがために、同じ失敗を何度も繰り返しますし、成功も本来の成功でなくなっていきます〔マンネリ化〕。
(3)「自分の成果を公開しない」ケース・・向上があまり見込めない結果になります。「行動」から「評価」までたどり着いたことはいいのですが、自己開示をつうじて他者からのフィードバックを得ない場合は、自分の殻に閉じこもる、人の意見に耳を傾けない、頑なに固執している状態です。せっかくの「自己評価」を、レベルアップして「認知」にまでつなげることがかなり難しくなります。受け容れたくないフィードバックへの恐怖のようなものがあるのでしょうか。
「認知」でもっとも重要なこと、それはイメージング(瞑想)を実践するということです。シミュレーションと言い換えてもいいのですが、「頭の中でものごとの展開を描いてみる」ということになります。パフォーマンスの場合は、スタートからゴールまで。会話の場合は、自己と他者の会話内容。文章作成の場合は、全体構想や章立てなど。等々、イメージングの内容は多様です。つまり、この時点から自らが望む展開や結果を想像してから「行動」へ移します。イメージングという自己対話がこの時点から始まっているということです。すべての「行動」に対して行う必要はないのですが、未体験なことや苦手なこと、重要なことなどへの備えとして意識的にイメージングするという習慣をもつことが大切です。
「行動」から「評価」に移るのですが、「行動」が及ぼす結果として必ずなんらかの反応があります。もし仮に何の反応が起こらなかったとしても、その「起こらなかった」ということが反応になります。そしてその反応を感じながら、二度目の自己対話に入ります。これがふりかえりです。慣れていればイメージングのように頭の中だけでふりかえればいいのですが、習慣づけたい場合にはこれを言語化します。不思議なもので、言語化するとさらに気づきが生まれてきます。ふりかえり自体が気づきではあるのですが、さらにそれが広がり深まるのです。
スタート時点の「認知」から、さらに高い「認知」へと到達するには、言語化した気づきを他者とシェアリングします。これが自己開示です。他者とともに取り組んでいる場合は、非常に意味深いシェアリングになるでしょう。独りで取り組んでいる場合は、他者に聴いてもらう機会をあえてつくりましょう。すると、他者からは何らかの反応が返ってきます。それがフィードバックです。お互いの関係性や他者の資質により、良好なフィードバックが返ってくることもあれば、不快に感じるフィードバックが返ってくることもあるのですが、それらをひっくるめてフィードバックなのです。フィードバックは、自己を映す鏡です。すべてのフィードバックを真摯に受け止めることで、必ずスタート時点より高い「認知」へと到達します。
これをくりかえし、習慣化することで成功体験や達成感につながっていきます。そして、成功体験や達成感を積み重ねることで自己肯定感は自然と高まっていくのです。すごくあたりまえのことを書き連ねました。OECDの調査で中学校教員の5人のうち4人が「自信がない」という驚くべき結果が出て何年もたっているのですが、現場の先生方ご自身が自信を持てるような取り組みを進めていただきたいです。
大人は子どもの「モデル」ですから・・・。
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