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アートコミュで、「貴婦人と一角獣展」に行って参りました。
中学の時に読んだリルケの「マルテの手記」で登場する、ずっと憧れていたタペストリ。
1枚だけかと思ってたらなんと6枚の連作!それぞれ「触覚・味覚・嗅覚・聴覚・視覚/我が唯一の望み」と題されています。最後の「我が唯一の望み」は精神性を表すとされていて、第六感ともいわれているようですが、解釈含めていろいろ謎も多く、それもまた魅力となっています。
それにしても展示方法が素晴らしかった!!圧倒されました。
6枚が1つの展示室でぐるりと展示されていて、
フランス国立クリュニー中世美術館に近いイメージ。
6枚ぞれぞれに共通項と、個々に違ったニュアンスがあり、
それを見比べるのが楽しい。
褪色した色もまたとても味わい深く、緻密な織りは絵のようです。
一角獣と貴婦人の表情も素敵だった~~~。
6枚以外では、展示そのものは少ないですが、
タペストリと向き合う時間が贅沢にして濃厚で、満足度が非常に高いです。
これはもう一度行きたいかも。
『おお、これは現実には存在しない獣。
ひとびとはこれを知らず、それでもやはり
――そのさまよう姿、その歩みぶり その頸を、
そのしずかな瞳のかがやきすらを、愛した。
たしかに存在はしなかった。しかし人々はこれを愛したから、
純粋の獣が生まれた。人々はいつも余白を残しておいた。
そしてその透明な、取っておかれた空間で
獣は軽やかに首をあげ、そしてほとんど、
存在する必要さえなかった。人々は穀物では養わず、
いつも存在の可能性だけでこれを育てた。
可能性こそ獣に大いに力をあたえ、
ために獣の額から角が生まれた。ひとふりの角が。
ひとりの処女(おとめ)のかたわらに、それはしろじろと寄った――
そして銀(しろがね)の鏡のなかに、そして処女のうちに、まことの存在を得たのだった。』
(マルテの手記/生野幸吉訳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/aa/8795993e3418f3b173edb74ffe48a7cf.jpg)
貴婦人が手にしているのは宝石。
「え?我が唯一の望みって、金?」と、同行者8人でざわめきつつ。
宝石をはずすところ、という説もあるようで、解釈はさまざまにできそうです。
「やっぱ愛がいいよねー」
というわけで、LOVE展へ続く。