DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

ゼロリスク社会 3

2008-10-18 | NEWS/TREND
ゼロリスク社会

ゼロリスク社会 2



ゼロリスク社会 2にどや様がくださった以下のコメントに
考えさせられました。

こんにゃくゼリーというものを食べたことがないので、なんとも言えないのですが、この手の食べ物にまつわる違和感は、行儀と関係があると見ています。

以前、割り箸をくわえて公園を駆け回っていた子供が転んで、割り箸が喉の奥に刺さり、病院が詳しく検査してくれなかったために子供が死んでしまい、病院を訴えたという事件がありましたが、箸をくわえて何かをすることは行儀が悪いと同時に危険なことであり、同じように「行儀」には、危険性やトラブルを防止するための合理的なマニュアルの要素もあると思います。
箸の上げ下ろしにうるさいのは、箸が危険な道具であったからで、同じことは西洋のマナーにも言えます。

今では当たり前になった、どんぶりめしをかき込むことなんかも、危険性があるからこそ、あまり行儀の良い食べ方ではないという認識が、感覚的には残っていると思います。

ただ、子供向けの駄菓子類には行儀に反するものが多く、それゆえ大人たちは衛生や健康の問題を気にして顔をしかめる必要もあり、子供も行儀の悪さという後ろめたさを感じながらも抗えないのが駄菓子の魅力であったと思います。

プラスチックの容器に入った食べ物の場合、アイスクリームのようにスプーンですくうとか、ぷっちんプリンのようにお皿に移すのがそれなりに行儀に適った食べ方で、こんにゃくゼリーのように器から直接口に入れるものはやはり行儀に反するものだと思います。
仮にそういう食べ方をする駄菓子があったとしても、それは歯を使わずに舌と上あごで潰せる程度のやわらかいものである必要があり、こんにゃくゼリーはその安全要件を満たしていなかったように思えます。

つまり、本来の行儀からどんどん逸脱していながら、逸脱する際の責任として考慮すべき安全性に関して、作る側も食べる側も少し無頓着であったのではないかと見ています。


行儀と危険性の文化的な関係が非常に興味深い。禁じる行為の裏側には必ず理由があるわけで、割り箸、どんぶりめし、駄菓子類、まさに!と思います。
器に直接口をつけて食べる行為は「犬食い」といって最大級の行儀悪さとされていますが、「器から直接口に入れる」ことを禁じる行儀は、変色や異物混入の確認にも関係していると思います。
今回のこんにゃくゼリーは手や食器(スプーンを含む)を汚さずにすみ、親が楽、という「食べ方」提案でもあったと思いますが、その“手抜き”が結局危険に直結しているのだと思い知らされます。

今回の事件は「(何度も事故が起ってるものを)食べさせた側の責任が大きい」という部分にネット市井の議論が帰結しそうですが、そこにはしつけや行儀の問題も含まれていると感じていました。それをきちんと考察してくださって多謝です<どや様

ものすごくシンプルな理屈。
1人の子どもへの安全は1人1人手&目をかけなければ得られない。
そしてそのためには時間と情報(経験含む)が必要。

どや様の『行儀』という主旨からははずれますが、駄菓子のように「親が禁止する食べ物がある」というのはごく一般的なことであると同時に、当然なのでは、と思います。子どもも(もちろん親も、家庭事情も)1人1人違うので、個々の家庭で禁止事項があってもおかしくない。
アトピー含むアレルギー関係を考慮すると、食品への保護者責任は圧倒的に大きくなる。そばや落花生でアレルギー症状を起し、呼吸困難になって救急車で運ばれた事例は身近でもよく聞く。

そうした「個々人の差」を、マス生産はおしなべて生産効率(=コストの最適化)のために平均化してしまう。そこに1つのリスクがある。(食のバリエーション&豊かさにつながると同時に、格差化にもつながる話です)。


もう1つ。
食べ物は基本的に完全に安全なものではない。毒きのこやふぐの毒、というレベルから、栽培行程での農薬(土壌汚染も)、製造&保管・販売行程での異物混入や温度管理ミス、その他様々に手を尽くして行われる偽装工作。ここまではメーカー責任。
そして購入後の保管、調理含む食べ方に関しては基本的には購入者責任だと思う。

ISOやHACCPシステムによって、食品の衛生基準自体は昔に比べて厳しくグレードアップされていると思う。ただ、そうした基準を守る人間もいれば誤魔化す人間が存在することも事実。
多くの分業化と同じく、「食」を分業化した時点で、個々にとってブラックボックスのない食品は存在しなくなった。そして自分で育てている食品でさえ、方法を間違えれば安全なものではなくなる。

で、食の安全をメーカーサイドから追求すると、地球環境問題につながっていく。何度も使った土壌に人為的な“栄養”を添加する、環境変化で脆弱になった食品を農薬で守り&人為的な“栄養”を添加する。取れた食品を人為的な方法で長期保存する。そうした人為的な管理は豊作や備蓄を確実にするためのもので、それがなければ食料危機は回避できない。ゆえに、飢えか汚染か、という究極の選択もよく議論にあがる。それでなくても日本の自給率は低く、生産者人口は現象し続け、逆に世界の人口は増え続けている・・・。あ、風呂敷が大きくなりすぎたかも;;

「食」の問題はどこまでも大きい。ただ、だからあきらめるのではなく、問題があることを理解したうえで、個々人が自分にできる最大限の注意をはらって、個人の食卓を守っていくしかない。
最終的には、メリット・デメリットを判断しその結果を引き受けるのは「個人」でしかないという、チャイナフリーの時にも何度も思った同じこと。
そして判断できない子どもの場合はやはり親の責任だと思う。

仕事で忙しい、でも子どものことも考えたいし喜ばせたい・・・。そこにつけこんだ(決してマイナスだけではありませんが今回はこの表現で)親楽商品が市場に出回る。できれば安く、できれば簡単に。そうしたニーズがお弁当用の冷凍食品・レトルト食品や保存の効くお菓子、ファーストフードやコンビニおにぎりになっていく・・・。それらを子どもに食べさせ続けること=親が(一瞬でも)楽をする、ということのしわ寄せが最終的にどこに行くのか、それを見極める責任もまた、親にはあるのだと思います。

by 冷凍食品・レトルト食品&外食に頼り続けてきた母であるNAL 自戒


関連:

こんにゃくゼリーメーカーに激励の声殺到 ネットでは販売中止反対の署名活動

『こんにゃくゼリー』法規制はやはり疑問ですが、ネット市井はノリもある(消費者庁つぶしの目的も見える)ので、あまりにも流れが一方的になるとまたなんだかコワイのですが。
>表示も、容器も、中身も検討し直す必要があって
というメーカー努力に期待すべきなのかな、と思います。
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2 コメント

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来週のサザエさん (どや)
2008-10-19 20:48:50
「来週のサザエさんをまた見てくださいね~~ふがふぐ」
これは、ドラねこを追いかけて裸足で駆けてくような、粗忽で行儀の良くないサザエさんが、お饅頭を放り投げて食べるという行儀の良くない行為の報いを受けて苦しむという、あの時代には子供にも理解できるものでしたが、なにか仔細でもあったのか、最近では「ふがふぐ」が「じゃんけんポン」に変わってしまいました。

もちろん、理由は子供が真似をするからということでしょうが、本当は真似をしちゃいけない行儀の限界として、親が教えておかなければならないんですよね。

今回のケースでは、こんにゃくゼリーを与えたのはおばあちゃんだったそうで、すでに古い因襲を乗り越えたと思い込んだ、戦後の新しい世代なんですね。

若いうちブイブイ言わせても、年寄りになれば保守的に古臭いことを言える様になることが、社会のモラルハザードにもなるんですけどね。
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どや様 (NAL)
2008-10-20 00:51:50
サザエさんですかー、どや様、毎度ながらいいトコロを突いてこられますねー!
変更になった時、けっこう話題になりましたね。
危ないもの&コトを知らせて注意させるより前に、排除しなかったことにする方が楽といえば楽ですが。

行儀も含めて、きちんと伝承する手間を惜しんで
マイルールでいいじゃん、になっていくことでの
チリのような弊害が積ってきてる気がします。
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