鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

神まぼりと祟

2018-04-08 17:13:58 | フリーゲーム(ホラー)
「神まぼりと祟」
探索ADV・なんでも口に入れちゃいけません!
制作者:船様(船のフリーゲーム部屋

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先祖の因縁から不思議な世界へ誘われた少女が、とある神様の願いを受けて、鏡の破片を探しにゆく物語です。

今までも、フリーなのがもったいないくらいレベルの高いゲームをつくってくれていた作者様ですが、今回もとても丁寧な作りでした。
ゲーム画面のキャラグラフィックが、なんかすごく細かく動くんですよ!
特に龍っぽい見た目の祟神と、それにコテっともたれて眠る緋千代ちゃんのシーンとか、雰囲気イイ。
舞い上がる螢火や、はらはらと片隅に散る紅葉葉や、ゆらめく提灯などの画面構成も、センスがあっていちいち綺麗…しかも、合間に入るスチルもたくさんあって豪華!
ただ、この美麗絵が、システム上、後で見返せない作りなのは残念ですね…

シナリオの組み立ても、玄人っぽいしっかりした仕上がりで、可愛い絵面なのに意外に残酷めなエピソードを盛り込んでくる作風も健在でした…^^;
今回は、「食べる」「食べられる」ことがテーマとあって、いろんな意味で設定がエグい部分が多々。
日本の神様はもともと、慈愛深く人を守るだけでなく、ひとたび怒らせれば、えげつない祟りをもたらす存在でもあるわけですが。今作は、そういう日本古来の「神様」の二面性をよく表したゲームだったと思います。

…それにしても…
作中で貰うものを全部あっさり口にする緋千代ちゃんに、画面のこっちで頭を抱えてしまいました。
親御さん、ちゃんと「知らない人からもの貰って食べちゃイケマセン!」って教えないとダメっすよ…orz
人じゃなくて神? いやいや、何喰わされるかわからないのに余計に危ないでしょ!
最初の琥珀糖だけはどうやっても食べさせられちゃうんですが、それ以外のものは、食べずにすむ方法もちゃんとありますんで、皆さま頑張ってくださいまし。

エンドは…5つ?
基本、ハッピーエンドの一つを除き、どれもあんまりめでたしめでたしとは言えない終わり方になってます。
うち一つは、アナザーエンドっぽい位置づけで、作中のある人物の視点からのエンディング。
緋千代が見ていないところで、何が起きていたのかを補完する話なんですが、これを見ると、とあるエンドでの祟神さんの姿に納得いくとともに、あまりの救いの無さに涙してしまうかも…;

で、ハッピーエンドの条件は…
まあ、一度、他のエンドを見れば、どこに問題があるのか大体予想はつく…と思うんですよね。
ヒントとしては「どうするか聴いてくる選択肢には意味がある」と「祟神が傷をいちいち癒してくれるのはとても重要」ってとこですかねぇ…
ちなみに、首尾よくハッピーエンドを見られると、最後にトヨ様からお手紙を貰えるんですが、そこに隠された謎を解くと、おまけの漫画が見られるようになっています。
個人的には、ひらがな書きよりも、ふつーに漢字の手紙だけを見たほうが解きやすいと思うなり。


ボリューム的には、過去作よりも短めかとは思いますが、全てのエンドを見ようと思うと案外大変。
周回するうちに、こちらもお腹いっぱいな気分になれました。ああ、フグ刺し食べたい…!

和風の仄暗い世界観が好きな方には超おすすめ。
面白かったですー!















『完全版トヨ様』は、優しい顔して案外腹黒そう…な…気が…
この先の緋千代ちゃんの運命やいかに!?

呪者 -jusya-

2018-04-07 00:59:08 | フリーゲーム(ホラー)
呪者 -jusya-
微ホラーADV・おねショタ
制作者:黒猫風船様

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両親の離婚調停のため、田舎のお祖母ちゃんの家に預けられることになった12歳の少年・ゆうき。
気の利いたお店一つもない過疎の村を行くところもなくぶらつくうちに、神社の前で巫女姿のお姉さんに出会います。
やがて年上の友達もできて、短い間でも楽しく過ごそう…と思った矢先、ぽつぽつと人が死にはじめて…?


というわけで、田舎町のほのぼの感と、夜の異世界の不気味さとの対比が光るゲームでした。
主人公をとりまく女の子たちも、それぞれに魅力があって可愛いです。
巨乳の巫女さんとロリ神様とか、ヲタのニーズをわかりすぎな組み合わせ!

しかし、そんな彼女たちの身に起こった出来事は…けっこうヒドいので苦手な人は注意ー
いや…べつにそんなグロくもないし、シチュだけならもっと残酷な死に方はいっぱいあると思うんですが。
なんというか…人が人を、当たり前みたいに…それが普通と信じ込んで虐げる、っていう展開に、なんとなく眉が寄ってしまうんだよね。

田舎の風習って怖い…? 
いや、なんだかんだ言って一番怖いのは無知な人間なのかも。

とはいえ、そんな暗さを吹っ飛ばすのは、主人公・ゆうきくんの、優しさと前向きさ。
最後は皆救われて、いい感じのハッピーエンドになりますので、皆様トゥルーエンドに向かって頑張りましょう。


いつか、いい青年に育ったゆうきくんと、ウタちゃんの再会とかも見てみたいですね~













しかし、死ぬのが他から来た余所者ばかりっていうのは後味悪い。
祟るのは仕方ないとして←w ターゲットは古参の村人オンリーでお願いしたいところ…
まーたぶん彼らはもともと危ないの知ってるから、近寄らないんだろうけど!


Partiality

2018-04-06 15:13:34 | フリーゲーム(ホラー)
Partiality
サイコホラーADV・魔性の女・すべては謎のまま
制作者:れんたか様 グラフィック・遥壱朗様

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人の心の中を覗くことができる装置「Deep cons」。
それを扱う精神科医として、第一人者である主人公のもとに、とある依頼が舞い込んだ。
それは、関わった人間が、次々と自殺してしまう女性「アリティ・ノーラ」の心の中を覗き、被害者たちを自殺に追い込んだ証拠を見つけ出してほしい、というものだった。


というわけで「Partiality」。
いつも、独特の、妖しくも美しい狂気の世界を描いてくれる作者様ですが、今回は、魔性の女性アリティちゃんと二人きり、じっくり話しながら、彼女の心の中を覗いていく…という、なんともディープな物語。
まずはカウンセリングで、アリティの心にキーとなる出来事を想起させ、その後、Deep Consで深層心理に潜ってゆきます。
そこにいるのは、かつて彼女と関わり、自殺していった被害者たち…
果たして彼らは、主人公に何を語るのでしょうか…

カウンセリングのターンで一度に選べる話題は三つのみ。
そのうち一つは必ず職場か家庭について聞かねばなりませぬ。
で、その尋ねた事柄によって、アリティの深層心理にある職場っぽい世界と、家庭っぽい世界のどちらかへとダイブできる仕組みになってます。
職場・家庭・雑談と3種尋ねた場合は、家庭のほうが優先される…っぽい? たぶん。

現実のアリティが語る流麗な言葉とは裏腹に、ひどく歪んで寂れた心の中。
その対比がなんとも微妙な気分を呼び起こす一作でした。
果たしてどちらの「アリティ」がホンモノなのか。
誰が被害者、誰が加害者なのか、起きた出来事は悲劇なのか怪異なのか…全てがつかみどころがなく、なんとも不気味な後味が残ります。
結局、アリティの中にいたあの人物が、彼女自身の心から産まれたものか、それとも、どこか他から侵入したものなのかもわからないまま…
ごく限定されたマップと、二人きりの登場人物でありながら、物語は深く深く底が見えず。
何度もくりかえすうちに深みにはまる…もう一歩、もう一歩とすすむうち、戻れなくなってしまうような怖さがある、いいサイコホラーでした。

また、プレイしてくれればわかりますが、アリティのグラフィックが、ゾクゾクするほど美しいんですよね~
清楚でありながら魔性。
特に差分が多いわけでもないのに、目が離せない気分になるすごい絵でした。
アリティ・ノーラ」がどういう存在なのか、たった一枚で、これほどに表現しきった絵師さんすごい。

エンドは隠し含めて5つ。とりあえず隠し以外はクリアできました。
普通のエンドはそんなに難しくない…一つは「時間かけすぎエンド」ですし、それ以外のエンディング分岐条件は、それまでの主人公のアリティに対する態度で決まるので、ある意味予想しやすい…というか。

ただ、どれも微妙にもにょるエンドであるぶん、隠しエンドが気になってしまいますね…
しかし…正直、どこがフラグなのかさっぱりだぁ~
意味ありげに重ねられる日常会話の選択肢や、コアラから閉め出される部屋の意味は一体??
タコ女に自分の心を見せたとき、部屋のあちこちをクリックすると、タコ女が主人公を「鑑定」してくれますが…それも関係あるのかなぁ


最後の方に、やや年齢制限的な展開があるので、苦手な方はご注意を。
でもたぶん…この方の過去作をプレイできた人なら大丈夫?だと思いますよん。


アルネの事件簿 Case.1 問題編 Teil2

2018-04-01 14:30:45 | フリーゲーム(ゲームマガジン)
アルネの事件簿 Case.1 問題編 Teil2
推理ADV・読者参加型・ニコゲーマガジン
制作者:春太郎様・むらさき様

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アルネの事件簿、なんと今回は「オープニング曲」が入ってましたよ!
…アニメ見てるみたい…力入ってますねぇ…

今回は父親殺害事件だけでなく、それに絡んでアルネの失った心臓関係のシナリオも盛り込まれ、なかなか濃ゆい話でありました。伏線の匂いがビシバシするぜぇ!!w
最後の方には…えっ…わずか2話目でこうなるの?という驚きの展開もあって、この先が非常に気になります。
タイトルの「ラインヴァイス殺人事件」はCase1。
つまり、Case2、case3…と別な事件がこれからも起こってくるわけで。
アルネの心臓の数を考えると、これは…すごく長いシリーズになるのでは…なんて。


さてさて、ラインヴァイス家では、屋敷の人たちの隠された面が露わになり…しかも、頼みの綱の「アルネ様」は、人間と感性が全く違っていて距離感を感じる…という、リンちゃんにとってはやや辛い展開。
そんな中、今作一番の癒しは、文句なしでジシェくんでした!
基本、人の気持ちにおかまいなしの俺様キャラ・アルネと違って、さりげなく、リンちゃんの心のフォローとサポートをしてくれるのがいいですね~
とはいえ、ジシェも裏がありそうなキャラなので…それは親切心だけのことじゃなさそうだけれど…動機はともかく、それでリンちゃんが元気づけられたことは事実だし?

ちなみに私はジシェのグラフィックの表情付けと、人を食った性格が大好きです。
もっと出番増えてー!


さて、いよいよ手がかりも出揃って、犯人当ても始まりました!
重要な手掛かりは、きちんとメモがとれて、あとから見返せたりするのは親切ですね~
とはいえ…考えれば考えるほど、全員怪しく見えて仕方ないんですけど^^;

部分的には「この人には犯行は不可能」っていう条件付けはありますが…
「本当に不可能なのか?」を考えると、どうにでもできそうな気になってくるというか。
例えば、高所恐怖症の人は、共犯がいれば可能なんじゃない?とか思うと、なんでもアリな気がしてきちゃうんだよねん。
(ただ、このあたりはアルネがしっかり尋問したようなので…可能性は薄い、の、かな?)

大体、心臓関係の謎も絡まっちゃってるので、よけいにわからないのよねぇ…
そもそも、父親が殺された原因は、心臓関係に関わるのか、ただの私怨かも切り分けが…
共犯者には、父の思惑とは別の目的があったようだけど…結局それって目的達成されてるんだろうか?

…人間の蘇生のために重要なのは「本人の首」であるようですが…
吸血鬼の場合は、もしかして「心臓」のほうが優位なのかな?

ああ、考えるほどにわからない…;
推理ゲーほんと苦手だわ…;



個人的に気になるポイントはここらへん。

●キッチンで襲われたハインツと、その後襲われたゴードン。
本当に、『両方とも』あの人が襲ったの??
どっちかフェイクだったりしないのかしら…

●事件と関係あるかわかりませんが、何気に気になるのは切られた首のゆくえ。
まさかと思いますが、それを使って儀式やって誰か蘇ってたり…しないか。さすがに。

●アルネのファーストネームは、どこから来たのでしょう…
心臓関係の人は「ノインテーター」としか呼ばないのが気になるるる。
てか…今入ってる心臓…本当に最初の9人の中の一人のものなんですかね?
まさかと思うけど、10人目の…例えば、戦ったヴァンパイヤハンターの…なんてことは…?

●なぜリンちゃんは狙われたのか
探偵行為をやめさせたい、だけなら、他にもテはありそうなもんですが…
しかも、傷の形状が…あんまり普通じゃない…ような…



さて、犯人は一体誰なんでしょうか~
作中では、殺害前後のアリバイをひたすら検証してくれてますが、リンちゃんが部屋に行ったときは、まだ父親生きてますもんね。で、死んでいたのは隠し部屋。
ベルントが悲鳴を上げたのは、フェイクの死体を見たためだから…

…つまり、本物の父親が死んだタイミングって、いつなのよ…;っていう…

まあ、アリバイ検証の時間帯には「リンちゃんを殴った共犯者」は間違いなく現場にいたはずなのだし…
父親の話を聞く限り、リンちゃんも一緒にどこか連れてく予定だったっぽいので…そのまま部屋に転がしとくのは不自然? やっぱり、あの直後に何かあった、ってことなのかなぁ…
うーん…;


ああ、早くネタバレ見てすっきりしたい…;


蜘蛛の意図

2018-04-01 12:57:13 | フリーゲーム(ファンタジー)
「蜘蛛の意図」
解脱系RPG・六道輪廻のそのまた向こう
制作者:あまなつ様(あまなつ館

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うおー、どこまで行っても回復ポイントがねぇー!
ドロ率悪いし、手持ちアイテムが枯渇する!もうあとは逃げるしかない!
ん…? でも、なんとなくこの感じ、いつかどこかで……??

…と思ったら、やはりこの作者様でしたか…
気付いたとき、思わず笑ってしまいました!フフフ…

今回は、芥川の「蜘蛛の糸」をベースにしたお話ですが、相変わらず独自の解釈が面白いです。
一匹助けるつもりが、ワラワラ大勢の蜘蛛が昇ってきたのを見て、おもわず「うわっ!」と手を放してしまったお釈迦様wwww
いや、同じ状況になったら私も手放すだろうけどwww
自分一人助かろうとした心の醜さゆえではなく「そんな大勢来られても」みたいな理由で落とされたとか、なんという斬新かつ説得力のある話かと感心しました。
ちょww仏ww


とりあえず、モンスターグラフィックがなかなか良い感じにグロいです。
一番最初に戦うはずの、近くの敵グラがアレっていうのが狙ってますね!!
…てか、この素材あるのは知ってたけど、使ってるの初めて見た…ような…?
いずれにしても、次はどんなビジュアルの敵だろう?と、俄然やる気が増しますわぁ。

マップは「六道輪廻」を順にめぐっていく作り…ほぼ一本道なので、とりあえず進めばよろしい。
回復ポイントは大体、各ステージのボスキャラ手前にありますよん。
敵はたまーにアイテムを落としてくれますが、ドロ率はぜんぜん高くないので…
回復アイテムは、各ステージのどこかにいる道具屋さんを見つけて買うことになるんです、が…
実は、不死の敵以外は一度倒せばもう出てこない仕様。つまり、ゲームの前半は手に入るお金は限りがあるということです。ご利用は計画的に!


エンドは3種…かな?
狐の女の子とのハッピーエンド、蜘蛛に戻って最初から、六道解脱、の三種類。
どれもなかなか余韻の残る、いいエンドでした。
何気に道具屋さんが重要人物????



割とサクサク遊べるいいボリュームで、楽しいゲームでした。
ちなみに、私が解脱したときのレベルは、主人公がレベル33。
たぶん、もっと早くてもラスボス行けると思います。
私は道具屋が仲間に入ってくれるのを見逃して、そこのステージのボス倒しちゃったんで…
レベルに差が出てしまい、最後は道具屋だけのためにレベリングが必要になってしまったんだな…;


六道輪廻や、芥川の「蜘蛛の糸」を知ってるとより楽しめるゲームです。
そのテのキーワードで興味の沸いた方はプレイどうぞー