鼠喰いのひとりごと

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「たたり」雨宮町子

2005-05-13 21:23:43 | 本(小説)

「たたり」 雨宮町子
双葉社 双葉文庫 2002年
(単行本初出は2000年)

***

よくあるタイトル。よくある設定。
しかし、引き込まれるように最後まで読んでしまいました。
内容は、女性の書いた作品でありながら、物凄く冷徹。
あと、性的な部分の書き方が、妙に男性っぽく感じました。
読みつつ、…作者は女性なんだよな? と表紙を見直したくらい(笑)

あ、誤解の無いよういいますが、別にその部分を微に入り細に入り書いてあるわけじゃないです。(たまにありますねー。ホラーだかエロ本だかわからないやつ)
ただ、そういった行為への考え方が、男性寄り視点だなって。
なので、一応女性の私としては、えー?みたいな部分はありました。
作品の裏設定にはもともと男性の暴力圧制みたいなものがありましたから、
意識してやっているのかもしれませんが、後味ちょっと悪い…。

ストーリーは、作家の男性が夫婦で、昔、華族の館だったという洋館で過ごすことになり、
それから彼らの身に起こる不可解な出来事や、徐々に変わっていく二人の人格を克明に書いていきます。
もちろん、心霊現象じみたことも起こるんですが、それは全然たいしたことはない、物音や足音、勝手に電気がついたり消えたり、といったことに終始しますのでいいんですが、
何が怖いって、人間の性格が変わっていくのが怖いんですよー。
もうね、理屈じゃないし、人間らしい情の入る余地がまったく無いですね。
最後までばっちり砂糖抜き! 甘くないです現実は…

とはいえ、登場人物がみんな、その家の主人にアタマがあがらない、言いたいことも言えない、というのは見ていて不愉快でした。ことに奥さん…いつの時代のひとですか(汗)
私ならそんなことは到底できませんから(笑)余計にストレス溜まっちゃいますね。
もちろん、親しいからこそ言っちゃいけない言葉はあると思いますが、言いたいことをちゃんと言わずに内心不満を持ってるなんて状況は、むしろ相手に失礼だ、と考えます。
だって、後々それがバクハツして「あの時こうだったー!」なんて言われたら、大抵のひとは「じゃあその時なんで言わないんだよ!」と返すもんじゃあないですか?(笑)

なんて文句を言いつつ、きっと私、このテの「幽霊屋敷もの」は嫌いじゃないです。
登場人物と一緒に、知らない空き屋を探検してるような感じがたまらなく好き♪
これは、ちゃんと管理されている屋敷に引越してきた夫婦の話なので、空き屋探検とはちょっと違うのですが…そうですね、どちらかというとスティーブン・キングの「シャイニング」っぽい。
というわけで、そういうのが好きなかたは、一読してみてくださいませ。

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