鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

死に逝く街の怖い話

2005-08-24 01:48:30 | 本(小説)

「東京伝説 死に逝く街の怖い話」 
 平山夢明 竹書房ホラー文庫 2004年

***

とりあえず、最近は平山夢明さんの「超怖い話」シリーズと、
「東京伝説」のシリーズを読んでいたわけですが、
わりとお約束な感じの「超怖い話」に比べ、このシリーズには…
「怖い」ではなく「忌まわしい」という言葉が相応しい。

全体的に「都市伝説」めいた話ばかりなのですが、
これを読むと、本当に恐ろしいのは、幽霊や死ではないと感じます。

世の中には、確かにこんな目に遭うくらいなら死んだ方がまだマシだ、
という出来事があって、それを現実にするのは常に人間の持つ「狂気」。
そして「狂気」は、誰の身の内にも潜んでいて、ただ表に噴出すきっかけを
待っているにすぎないとも思うのです。

人が、人でなくなる瞬間。壊れてしまう瞬間。
それこそがもっとも恐ろしく、そして、その存在が、
もとは自分と同じ人間であるとわかるがゆえに、非常に忌まわしい。

フィクションの中に出る怪物の中で、一番生理的にイヤだと感じるのは、
「人間にどこか似ているくせに微妙に違う」といった形です。
たとえば、どこからどう見ても人間とは思えないのに、
そこにリアルで形の良い唇だけがついている、というのは気持ち悪いですよね。
ラヴクラフトの「インスマウス人」も魚と人間とを混ぜ合わせたような外見が異様さをそそりますし、
リアルな人形を気色悪いと感じるのも「人に似て人に非ざるもの」だからじゃないのかな。

話が逸れましたが、とにかく、ダークでダークでどうしようもない話の数々です。
異界を覗き込んでしまったような、触れてはいけない穢れに触れてしまったような…
読んだあと、最高に後味悪いことうけあい。

一般の「怖い話」とはちょっと趣が違います。
そうですね…そう、有名な都市伝説の「人間ダルマ」。
あの系列の話がたくさんあると思っていただけるとよろしいかと。
とりあえず、神経の細い方、影響されやすい方は読まないほうがいいでしょう。

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検索してみたら、映像化していました(汗)
東京伝説 蠢く街の狂気 公式サイト

ちなみに「超怖い話」も映像化。すごいなぁ。
超怖い話 公式サイト

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