鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

奇譚書員のはなし3

2018-01-12 00:00:09 | フリーゲーム(ホラー)
「奇譚書員のはなし3」
ホラーADV・はなしシリーズ
制作者:WH様(WHGF)

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「はなしシリーズ」の奇譚書員の物語、三作目になります。

いつもごく短い物語の中に、魅力あるキャラクター、良い加減に仄暗い物語、一筋縄でいかない探索要素、ギリギリ難易度の逃げ要素…とギュウギュウに詰め込んだ良作品を作られる作者様。
今回は、グリムさんをはじめ、いままで出てきた奇譚書員が勢ぞろい!の贅沢な一作でした。

怪異の起こる場所を調査し、原因をつきとめて「奇譚書」に記録し封じる…というのは、面白い発想ですよね。
昔…何か心霊特番か心霊漫画か、そのへんの何かで…
酷い死に方をした人のことを(面白半分ではなく真面目に)語り、それに対して皆が怒ったり悲しんだり、冥福を祈ったりすることが、その霊に対しての慰めになるのだ…なんて話を聞いたことがあります。
自分が何がどうして、そこに至ったのかを、誰かに知って…理解してもらうことで救われる…
奇譚書のエピソードをプレイして、なんとなくそれを思い出しました。


いやー、今回は、思わず奇譚書員関連のシリーズを最初からDLしなおしてプレイしてしまいました。
1作目はけっこう初期作品だったと思うんだけど、グラフィックがリニュされてるんですね!
グリムさん、最初はもうちょっと華奢で女顔だったように思うんですが…いつの間にか、凛々しい顔立ちと男らしい体つきに進化して、非常にカッコよくなりました。
他メンバーの立ち絵も、それぞれ、キャラの個性や性格までなんとなーく伝わってくる感じで良い~

物語は、とある料亭に調査にいったアベリアとリコリスからの窮地の報せに、メンバー全員で救援に向かう…というもの。
最初は何事もない廃屋だった料亭が、生者の気配に目を覚ましたのか、刻々と姿を変えていくのが見ものです~

過去の「はなしシリーズ」もそうなのですが、すでに終わってしまった過去の出来事を、つぎはぎの情報で整理してゆく過程が面白いのですよね。
メインシナリオの中では「これはこういうことですよ」とハッキリとは明かされないまま、プレイヤーに判断をゆだねる感じが実に良いのです~

今回も、意味ありげに出てくる「ほおずき」や、帳簿に記入された、高すぎる「花」の価格など、最初の探索の時点から、それっぽいアイテムがチラホラと…
そうして、話が進むにつれ、プレイヤー自身が「ああ、だからあれが…!」と気が付くところまでが一つの演出効果。
ロープを一つ一つ、切っていくシーンとか、意味がわかるとちょっとキますよ…!


おまけでは、それぞれのメンバーがでてくる過去の「はなし」シリーズが紹介されています。
おそらく、ファンの方はとっくにプレイ済みのものばかりでしょうが、まだプレイしたことのない方はぜひどうぞ^^
グリムさんと従兄のカガチくんが出てくる「忘れたもののはなし」とか、若いころのグリムさんの出てくる「彼のはなし」なんかもおすすめですぞ。


唯一、過去作の無いリコリス…紹介を見る限り、彼女もかなり個性的なキャラですが、これからの作品で登場してくれるのでしょうかね~