(ブログ読者の投稿です)
またまた、あきれてしまうニュースが出てきました。
下水道から汚水あふれる設計ミスで4億円損失、「市職員全員」の給与削減し穴埋め…市議会で可決
(読売新聞の記事より)
茨城県常陸太田市の下水道事業で、設計ミスに伴い生じた費用計約4億円の一部を穴埋めするため、全職員の給与を減額する改正条例案が15日、市議会で可決された。来年1月から2024年3月まで、月給と期末・勤勉手当を市長ら特別職は5%、一般職員は1~2%減額する。全日本自治団体労働組合は、ミスで発生した費用を全職員で負担するのは異例としている。
市によると、住宅団地の下水道工事を発注した際、汚水の処理量を誤って算出したため、4月にマンホールから汚水があふれ出た。6月には市が造成中の土地でも同様の不備が判明。ミスによる設計の見直しや改修にかかる費用は、計約4億円に上るという。
市は全額を税金で負担することは市民の理解を得られないなどとして、全職員約560人で一部を負担することにした。
宮田達夫市長は「議会が条例の趣旨を理解してくれ、市民への説明責任もついたかなと思う」と話した。(以上、読売新聞の記事から)
徳川時代以来の「連帯責任」、ムラ社会丸出しの変なニュース
ミスした人間の個人責任を問うのではなく、関係ない職員も含めて全員で穴埋めしよう。お互い様だ、助け合いましょう、というムラ社会丸出しの結末になりました。徳川以来の「連帯責任」の伝統ですね。全日本自治団体労働組合は、ミスで発生した費用を全職員で負担するのは異例としている、とか。
こうなると、気を抜いてミスったところで、どうせ「みんな」が助けてくれるのだから大丈夫だ、ということになり、何の緊張感もない職場になってしまいますね。
それから、「みんな」で助け合うというのならば、こういうアホ職員、アホ市長に任せっきりにしていた主権者の責任はどうなのか。任せっきりにした以上、そいつの不始末も任せた者が負うのは当然。ところがそこは俄然「お客様」になってしまって、「納税者の理解は得られない」と言う。どうも変なニュースです。
ところで、正規職員の3分の1の低賃金で働いている臨時職員は大丈夫だったのでしょうか。臨時職員も減らされたとしたらひどい話ですね。
古代律令制時代に始まり、秀吉・徳川のキリシタン弾圧に使われた日本の「連帯責任」はおそろしい
江戸時代の五人組制度、組内から犯罪者が出れば、関係ない家も連帯責任で処罰されてしまうという制度は、巷間キリシタン弾圧のためのものと言われていますが、その歴史はもっと古く、古代律令制の「五保制」に始まるそうです。そして近世にこれを復活させたのは徳川幕府ではなく秀吉で、慶長2年(1597)のことだったといいます。徳川幕府はこれを引き継ぎ、キリシタン禁制や浪人取締りのため、さらに一般的な統治の末端組織として活用したわけです。ともあれ日本人の深層に染み込んでしまった思想です。
相互監視と密告を奨励。「連帯責任による処罰を否定」した近代刑法の思想は、まだ常陸太田市には定着していない?
関係ないのに処罰されてしまうわけですから、組内から問題が起こらないよう相互監視と密告が奨励されたのは当然です。今回の常陸太田市長も、今後、他人のミスで減俸されたくなかったら、他人の仕事もよく監視して、問題を見つけたら上司に密告してこいよ、ということなのでしょうね。「相互扶助」と「相互監視」は裏表の関係なのです。
近代刑法は個人主義を取り、構成要件を充足する違法かつ有責な行為をした者のみが責任を問われるものとして、連帯責任による処罰を否定しました。しかしこうした近代思想は、まだ常陸太田には定着していないのでしょうね。
ニュースを見た読者からは「この市長はおかしい」というまともなコメントばかり
このニュースを読んだ人たちからは、こんなコメントが届いています。
「下水道事業の設計ミスということで、責任の所在は明らかであるのに、連帯責任を適用して、ミスで発生した費用を全職員に負担させれば、組織全体のモチベーション(やる気)が低下してしまう可能性がある。
というのも、ミスや失敗をしていない職員からすれば、自分の仕事が正当に評価されていないと感じて、不満や不信感を強めてしまうためだ。」
「これ、設計コンサルに頼まず、職員が測量、設計を行ったのでしょうか? それであれば市の担当職員の責任であり、連帯責任とするか否かは各自治体での判断になるのでしょう。 しかし、一般的に設計はコンサルに発注すると思うのですが、それであればコンサルに全額請求すべき事案と思います。」
「失敗は全職員で負担、は市長からすれば『これで市民に説明ができた』と満足かもしれません。 しかし、担当職員が一人で測量・設計をする訳はないので、なぜ組織としてのチェック機能が働かなかったかきっちり検証することの方が大切。 弁償、弁償とミスを責め立てる組織は、隠蔽体質にも繋がります。 それは、民間もお役所も同じだと思います。 市長の人気取りのため、市組織が腐ってしまいませんように。」
「汚水の処理量を誤って算出に関わった職員とその管理者と役職者と市長が給与削減すればよいと思います。その他の部署は関係がないので市職員全員が給与削減などしたらモチベーションが低下するだろう。 それに今後職員がミスした場合に市職員全員で穴埋めすることが常態化しては問題だと思う。ミスに加担した職員が責任を負い、後は長期間にわたって少しずつ償却していくのが妥当だと思います。 国では国会議員が的外れの政策をしても責任もとらず、税金の無駄遣いをしても責任も取ろうとしないのを考えると、わざわざ市職員で給与削減で穴埋めなんてする必要はない。 その代わり、今後2度とそのような失敗をしないために改善策をしっかりと講じるべきだと思います。」
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