イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

英国を代表する(?)人気画家が描いたベリックの街と海辺(続き)

2023年08月08日 07時00分00秒 | イングランド北部

イングランドとスコットランドの国境の町、ベリック・アポン・トゥイード Bewrick-upon-Tweed

ベリックの観光名所をめぐるアクティビティ、「ラウリー足跡めぐり the Lowry Trail 」、前回の続きです。

 

マンチェスター出身の S.L.ラウリー S.L. Lowry (1887-1976)は、主にイングランド北西部の工業都市の風景を、マッチ棒のような人物を前景にごっちゃごちゃ配置して独自の色使いで描き続けた国民的人気画家です。1930年から40年ごろにかけて毎年、ベリックで夏の休暇を過ごしました。

その彼が絵に描いた場所18か所を効率よくめぐるルートが「ラウリー足跡めぐり」です。

前回の記事のリンクを貼りました☟

大人気画家が愛したベリックの街並み、観光要素に取り入れられたラウリーの軌跡

 

河と平行に走っている Bridge Street ,(続きです。前回ヘンなところで切りました)

 

11番、Sally Port。

 

奥のアーチを抜ければ石壁の外側、河口の波止場にでます。階段を上がれば広い歩道になっている石壁の上に出られます。

ラウリーはアーチ、外階段、それに鉄の手すりが大好きだったそうです。黒で簡単に描けて絵が締まる効果バツグン(?)。

この絵が描れた1954年にはイワシ漁が最盛で、壁の外の河口には漁船がいっぱい集結していたそうです。

河口の波止場を散策していた私たちは、石壁にあいた暗くて中がゆるくカーブしているトンネル穴(アーチ)を見つけて通り抜けてみました。

出てきたのがここ、従業員が喫煙する場所みたいなこのショボいゴミ置き場でした。すぐまたトンネルを通って河口沿いの波止場に戻りました。(ベリックの漁業は衰退の一途、漁船など全く見かけませんでした)

壁の上からもこの場所を見下ろしましたが、ショボさは同じ。

ブリッジ・ストリートから見渡すと「お、絵になる構図!」... と言いたいところなのですが、ラウリーの絵に描かれた手前の建物が消失していてスカスカした感じが.....やっぱりショボいです。

 

町を囲む16世紀の石壁の上を散歩しました。町の中心からちょっと離れたところから壁の上に上がる階段のすぐわきに唐獅子のようなみっともないライオン像がのった門柱のある立派な家が。

この壁の上の邸宅,1800年建造の the Lions House もラウリーゆかりのスポットだそうです。

標識看板(写真中央左手☟)がありました。(手前よりの絵入り標識はとなりの弾薬庫についての説明です)

戦後、この家を買うつもりのラウリーは、友人の建築家に「湿気がひどいからやめた方がよい」と言われて思いとどまったとか。

けっきょく大好きだったベリックへの移住はあきらめて、生涯マンチェスター近辺にとどまりましたがその後、想像上の町の風景にこの家のイメージが繰り返し描かれています。

北海と河口を見渡せる素晴らしい絶景が楽しめるこの家は現在、休暇を過ごす家族向きの「豪華貸し別荘」として貸し出されています。

 

河口を見下ろす展望エリアにも標識がありました。5番;On the Sands(砂浜で)

砂浜ではなく、芝生になっています。

このシェルター(あずまや)はボロボロになるたびに修復されているようです。私もどこかで見たことがある(ようなないような)けっこう有名らしいこの絵のおかげでホイホイと取り壊すわけにはいかないようです。

背中合わせの二面のベンチ、右側に向けば対岸のスピットルの町と河口が、左を見れば突堤と灯台、その向こうに広がる広大な北海が見渡せるかなりお得な展望スポットです。

...小雨まじりの強風が億劫で、ベンチに座ってみなかったことがちょっと悔やまれます。天気のいい日にまた戻ってくるつもりで見送ってしまったのです。「無計画な長滞在」はたしかに気楽ですが、行ってするべきことをいろいろ、し損ねるものですね。

 

3番; The Pier 突堤

1956年の鉛筆のスケッチです。

突堤の先の灯台にも行ってみませんでした。北海の荒波を描いたスケッチ場所らしい突堤の先にもトレイルの標識がたっているはずです。

黒い鉄枠の額縁を取り付ける壁がないため、イーゼル仕立ての看板が立っていました。

 

私はラウリーが好きかどうかよくわかりません。

ベタベタしたタッチや濃い色調が好みではありません。有名なマッチスティック・マン(マッチ棒のような人物表現)もヘタっぽいのにウケちゃったからやめられないという感じであざといなぁと(奥歯にものの挟まったような言い方ですが)思います。

でも、彼が描いてみたい!と思った風景はどれも私にもピンとくるのです。私は風景画を描いたこともスケッチしたこともあまりありませんが、古い建物がごちゃごちゃと並ぶ街並みを見るとカメラで枠の中におさめておきたいと強烈に思います。

デジタル・カメラもスマートフォンももっていなかったラウリーが見た風景をいつも持ち歩いていたスケッチブックに描きとめておこうと思った情熱はよくわかります。

ベリックには「ラウリーが描きそう」と思える絵になる風景が本当にたくさんありました。

 

30代の自画像を見つけました。思ったよりずっと好男子です!

 

ラウリーは生涯未婚、恋人もいなかった(諸説あり)と言われています。

ラウリーが毎年、滞在したカースル・ホテルに私たちも5日宿泊しました。

一階のパブから駅の正面が見える、レイルウェイ・インです。(手前の鉄柵は駅の敷地内です)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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犬と暮らせば (浅井洋)
2023-08-08 20:35:48
楽しく 読ませて 頂きました
 深謝
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浅井さんへ (江里)
2023-08-10 08:07:34
浅井さん、ありがとうございます
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