マンチェスターのはずれにある、お洒落で評判なカフェに入りました。
窓際の席にいる、常連らしい女性客の飼い犬が、飼い主のコートを着せられて、外で待っています。
地元の特約農家から新鮮な食材を仕入れ、サワー・ドウで膨らました 手作りのパンも販売している、近ごろ流行りの こだわりのカフェらしいのです。
〈本日のスペシャル〉で見つけた、「ライスとマカレル、緑の野菜」というメニューに心を惹かれました。
席に着く前に、しばらく会っていない友達にばったり会って、立ち話。その間に席を確保した夫が、私のマカレル料理を注文してくれました。
(ウェイターにどんな料理か、質問することができなかったのです)
*マカレル mackerel (サバの一種だそうです。模様がきれい)*
出てきたのが、これ。
イギリスの中華料理に使われる、粘り気の少ないライスにのっているのは.....。
カブのお漬物とたくあん、たっぷりみりん醤油が絡めてあるマカレルの辛みのある燻製。
ゴマまでまぶしてあり「日本のどんぶりもの」を意識したとしか思えません。
マカレルの味が濃いのは想像通り。
で下のライス、これが、あろうことかボウルの底に2センチほどの深さに溜まるほどタップリの醤油が混ぜ込まれた「醤油かけ飯」だったのです。
煮崩したブロッコリーがまぜてあり、ネコめしというより残飯にしか見えませんでした。
三~四口ほど食べて残しました。
うちで 日本料理を出した時に「ご飯に醤油や味噌汁や煮物の汁をかけて食べないでほしい」と私がガミガミ言うのを聞き続けている夫は苦笑。
「西洋人はうなぎの蒲焼きだけを食べてから、下の味のないごはんに醤油をかけて食べる」と日本にいた時 きいたことがあります。
うな丼を食べるイギリス人をまだ見たことはありませんが、この時出された「マカレル丼」でナットクです。
イギリス人というより 西洋人は ご飯を食べながら おかずを食べることが先天的にできない、ということは以前にもかなりくどくど書きました。
どうやら、この味の濃いマカレルを単独で食べた後、下のご飯はたっぷりのお醤油味で食べるように考えてあるようです。
夫がエッグスベネディクトを食べ終わって私たちが席を立つ頃に、お皿を下げにやって来た店長らしい若い男に「お気に召さなかったか」と聞かれました。
夫は、気に入らない点を説明するつもりの私をとどめ、「日本人には僕たちと全然違う食文化があって…」とすまなそうに話し始めたのに…ちょっとムッとしました。
「我々とは食に対する常識が違う日本人の妻のことは気にしないでやってくれたまえ」の意の(不要な!)店に対する心遣い。
違う食文化のある妻が イギリスでの料理の出し方に意見を言うのが恥ずかしかったのかもしれません。
私も 追及はしませんでした。
(まさか私もネコめしとか残飯とか 失礼なことを言うつもりはありませんでしたよ)
日本人は、マカレルにかかった甘辛いタレが少し滲みた、味付けされてない白いご飯でマカレルの濃い味を緩和しながら食べるはずですが、イギリスでイギリス人のやり方にとやかく言うつもりはもちろんありません。
ただ、あの強烈に濃いタレのついたマカレルは、イギリスの定石どおり、厚く切ったサワードゥ・ブレッドに載せて、あるいはあっさり茹でたポテトをそえてディナー・プレートで出したほうがいい、といいたかったのです。
こっちはお金を払っている客なんだから料理に対する苦情を言ってもよかったはずです。
どこにも「日本(風)料理」とも「ジャパニーズ・フュージョン」とも書かれていなかったので、日本人が「これは違う」と文句を言ってもいいかどうか、微妙なところですね。
よく知らないながらも、おしゃれな日本料理を出してみたかったのでしょうか。
醤油さえかければなんでも日本料理として通用していた20年前までと違って、最近は日本に行ったことのある人もけっこういるイギリスです。
「こだわりのカフェ」でこれをやられるとは意外なショックです。
もしかして かんちがい ではなく、イギリス人向けの綿密なマーケティング!?
あのマカレル丼はイギリス人にも辛すぎるはずですよ。
でも、これが「たぶん日本料理なのだろう」と解釈して何も言えない人が多いと思います。
正統派日本流だろうとなかろうと、まずいものはまずいんです。
以前にも書いた、イギリス人のご飯(炊いた白米)の食べ方です。
日本人がやる、おかずとご飯を口の中で混ぜて楽しむ「口中調味」(読者の方に教えていただいた言葉です)ができないので;
汁気のあるおかずが出るとご飯を混ぜこんでベチョベチョにして食べます。
汁気のあるおかずがないと お醤油をかけて食べたがります。
ご飯を味噌汁に入れたり、ご飯に味噌汁をかけることもあります。
うちではそれを嫌がる私に気を使ってやりたいのに我慢してくれている夫と息子たちは、中華料理屋に行くと、必ずご飯のべちょべちょ食べを楽しみます。
「イギリス人と日本料理」については、概論 が一冊の本にまとまるほど書くことがあります。
そのうち折を見て、続きを書くつもりです。
ちなみに、私たちは、ほとんど手をつけていない「マカレル丼」に7ポンド80ペンス(1158円)の料金を払いました。
その代わりというか、ケーキをひときれずつ、持ち帰り用の箱に入れて持たせてもらいました。
トリ―クル・タート
買えば、3ポンド50ペンスもしたと思います。
夫は「感心なサービスだ、また来たい」と喜んでいました。
家に帰って、口の中にいつまでも残るマカレルのくどさを除くために飲んだ大量の水といっしょに食べました。
タートのケース(ペーストリー)がボロボロで、あまりおいしくありませんでした。
夫が息子のために選んだ、キャロットケーキはとても好評でした。
どちらもカフェのホームメードです。
2年前に交通事故で亡くなった、うちのマカレル・タビーネコ、ブーツ。
キジネコは英語でmackerel tabby cat といいます。
納得できますね。
↓↓↓ジンジャーキャットの これも今は亡きマーマデュークの土下座写真をクリックしてください。何か楽しいことが起こります!
......というのはウソ。人気ランキングに一票入るだけです。
窓際の席にいる、常連らしい女性客の飼い犬が、飼い主のコートを着せられて、外で待っています。
地元の特約農家から新鮮な食材を仕入れ、サワー・ドウで膨らました 手作りのパンも販売している、近ごろ流行りの こだわりのカフェらしいのです。
〈本日のスペシャル〉で見つけた、「ライスとマカレル、緑の野菜」というメニューに心を惹かれました。
席に着く前に、しばらく会っていない友達にばったり会って、立ち話。その間に席を確保した夫が、私のマカレル料理を注文してくれました。
(ウェイターにどんな料理か、質問することができなかったのです)
*マカレル mackerel (サバの一種だそうです。模様がきれい)*
出てきたのが、これ。
イギリスの中華料理に使われる、粘り気の少ないライスにのっているのは.....。
カブのお漬物とたくあん、たっぷりみりん醤油が絡めてあるマカレルの辛みのある燻製。
ゴマまでまぶしてあり「日本のどんぶりもの」を意識したとしか思えません。
マカレルの味が濃いのは想像通り。
で下のライス、これが、あろうことかボウルの底に2センチほどの深さに溜まるほどタップリの醤油が混ぜ込まれた「醤油かけ飯」だったのです。
煮崩したブロッコリーがまぜてあり、ネコめしというより残飯にしか見えませんでした。
三~四口ほど食べて残しました。
うちで 日本料理を出した時に「ご飯に醤油や味噌汁や煮物の汁をかけて食べないでほしい」と私がガミガミ言うのを聞き続けている夫は苦笑。
「西洋人はうなぎの蒲焼きだけを食べてから、下の味のないごはんに醤油をかけて食べる」と日本にいた時 きいたことがあります。
うな丼を食べるイギリス人をまだ見たことはありませんが、この時出された「マカレル丼」でナットクです。
イギリス人というより 西洋人は ご飯を食べながら おかずを食べることが先天的にできない、ということは以前にもかなりくどくど書きました。
どうやら、この味の濃いマカレルを単独で食べた後、下のご飯はたっぷりのお醤油味で食べるように考えてあるようです。
夫がエッグスベネディクトを食べ終わって私たちが席を立つ頃に、お皿を下げにやって来た店長らしい若い男に「お気に召さなかったか」と聞かれました。
夫は、気に入らない点を説明するつもりの私をとどめ、「日本人には僕たちと全然違う食文化があって…」とすまなそうに話し始めたのに…ちょっとムッとしました。
「我々とは食に対する常識が違う日本人の妻のことは気にしないでやってくれたまえ」の意の(不要な!)店に対する心遣い。
違う食文化のある妻が イギリスでの料理の出し方に意見を言うのが恥ずかしかったのかもしれません。
私も 追及はしませんでした。
(まさか私もネコめしとか残飯とか 失礼なことを言うつもりはありませんでしたよ)
日本人は、マカレルにかかった甘辛いタレが少し滲みた、味付けされてない白いご飯でマカレルの濃い味を緩和しながら食べるはずですが、イギリスでイギリス人のやり方にとやかく言うつもりはもちろんありません。
ただ、あの強烈に濃いタレのついたマカレルは、イギリスの定石どおり、厚く切ったサワードゥ・ブレッドに載せて、あるいはあっさり茹でたポテトをそえてディナー・プレートで出したほうがいい、といいたかったのです。
こっちはお金を払っている客なんだから料理に対する苦情を言ってもよかったはずです。
どこにも「日本(風)料理」とも「ジャパニーズ・フュージョン」とも書かれていなかったので、日本人が「これは違う」と文句を言ってもいいかどうか、微妙なところですね。
よく知らないながらも、おしゃれな日本料理を出してみたかったのでしょうか。
醤油さえかければなんでも日本料理として通用していた20年前までと違って、最近は日本に行ったことのある人もけっこういるイギリスです。
「こだわりのカフェ」でこれをやられるとは意外なショックです。
もしかして かんちがい ではなく、イギリス人向けの綿密なマーケティング!?
あのマカレル丼はイギリス人にも辛すぎるはずですよ。
でも、これが「たぶん日本料理なのだろう」と解釈して何も言えない人が多いと思います。
正統派日本流だろうとなかろうと、まずいものはまずいんです。
以前にも書いた、イギリス人のご飯(炊いた白米)の食べ方です。
日本人がやる、おかずとご飯を口の中で混ぜて楽しむ「口中調味」(読者の方に教えていただいた言葉です)ができないので;
汁気のあるおかずが出るとご飯を混ぜこんでベチョベチョにして食べます。
汁気のあるおかずがないと お醤油をかけて食べたがります。
ご飯を味噌汁に入れたり、ご飯に味噌汁をかけることもあります。
うちではそれを嫌がる私に気を使ってやりたいのに我慢してくれている夫と息子たちは、中華料理屋に行くと、必ずご飯のべちょべちょ食べを楽しみます。
「イギリス人と日本料理」については、概論 が一冊の本にまとまるほど書くことがあります。
そのうち折を見て、続きを書くつもりです。
ちなみに、私たちは、ほとんど手をつけていない「マカレル丼」に7ポンド80ペンス(1158円)の料金を払いました。
その代わりというか、ケーキをひときれずつ、持ち帰り用の箱に入れて持たせてもらいました。
トリ―クル・タート
買えば、3ポンド50ペンスもしたと思います。
夫は「感心なサービスだ、また来たい」と喜んでいました。
家に帰って、口の中にいつまでも残るマカレルのくどさを除くために飲んだ大量の水といっしょに食べました。
タートのケース(ペーストリー)がボロボロで、あまりおいしくありませんでした。
夫が息子のために選んだ、キャロットケーキはとても好評でした。
どちらもカフェのホームメードです。
2年前に交通事故で亡くなった、うちのマカレル・タビーネコ、ブーツ。
キジネコは英語でmackerel tabby cat といいます。
納得できますね。
↓↓↓ジンジャーキャットの これも今は亡きマーマデュークの土下座写真をクリックしてください。何か楽しいことが起こります!
......というのはウソ。人気ランキングに一票入るだけです。
本場は「マカレル」なんですね。こんど自慢しようと思います。
さて、ヨーロッパの鯖と日本の鯖は、模様は同じでも、日本の方が少し丸みを帯びていて背中の色も濃いようです。
したがってヨーロッパの鯖の方が模様がはっきり見えるようです。
鯖はただでさえ脂の強い魚ですが、それに濃い味付け、ご飯に醤油が溜まるほどかかっていたら、それは文句の一つも言いたくなりますね。
口内調味が出来ようが出来まいが、程度にはほどってもんがありますよね。
僕も天丼とか食べると、天ぷらだけ食べてタレのかかったご飯を楽しむことがありますが、それでも溜まるほどタレがかかっていたらへきえきします。
是非ヨーロッパと日本食概論を執筆ください。
Kindleで買わせていただきます(^ ^)
聞けば、オーナーもシェフも日本人ではないそうですが、それにしてもひどいです。Wilmslowには日本人がたくさんいるのに何も言わないのかと思いましたが、日本人はどんな店か知っていて行かないそうです。
鯖の燻製はおいしかったですね。ハニーソイソース味のサバの燻製をよく食べました。
たしか、マサバも魚屋さんに売っていました。
サバ、タラは新鮮でおいしかったです。タラやアンコウはお刺身で食べられるくらい。
アジは売っていなかった。魚屋さんに聞いたら、釣れないわけじゃないけどあまり食べる人がいないから、仕分けるときに捨てちゃうそうです。
私もお味噌汁をあまったご飯にかけてチャチャッと食べるのが好きなので、江里さんに叱られそうですね。鯖は残念でしたね。千いくらも出したのに(笑)。江里さんの一番好きなイギリス料理はなんですか?あるいは、日本の食べ物で恋しくなるものなど、今度教えてください。前のブログに載せてるかな?また、戻ってみます。
どれが誰へ、というわけではありませんが、釣りをする人からの観点の八幡君にまず・・・じゃあ、サバ=マカレルで、日本でも通るんですね?それとも釣り(しかも洋式?のだったりして)の趣味界だけで通じる用語なのでしょうか。
発音ですが、イギリス人が発音すると、はっきり「真っ黒ー」ときこえます。マカレルもマッカレルもバリバリの日本語発音です!表記に戸惑いました。つまりマッカレルでもいいんです。むしろ近い!日本のサバのことを釣りびとたちがマッカレルと呼んでいるのなら、サバと書き直そうか思案中です。
タラっとかかったタレやお醤油で白いご飯を食べるのはよくわかります。お醤油をかけるのがダメとは言っていません。あ、本文、混乱を招きますね。書きなおしましょう。イギリス人は、お醤油やタレのかかったご飯を食べながら、かかっていないご飯に「食べすすむ」ことができないのです。一粒一粒にお醤油やタレ、ソースがまぶしてないと食べられないようですよ。だからタップリ。それが口中調味ができないってことなんですよね。
「概論」を書くチャンスがあれば、詳しく考察しま~す。出版してくれる人がいればね。‥‥いなそうです。そのうち日報に書きます。
私も20年以上前にイギリス人に招待されて、ウィムスローの「サムシ」に行ってお醤油の滲みたお好み焼きに驚愕しました。今は、イギリス中に支店があり、ウィムスロウの小さな店から出発したサマンサとサイモン(併せてSamsi) の若いビジネスの成功例は伝説的なあこがれになっているようですよ。
だーれも日本料理を食べたことがなかった30年ぐらい前に創業されたっていうのがカギでしたね。
テッパンヤーキーをはじめ、イギリスの日本料理店のほとんどはフィリピン人の経営です。
イギリスの食べ物で一番好きなものを挙げろと言われても、こまっちゃいます。いえ、たくさんありすぎるものですから。
たぶん、食べられない場所にいて一番恋しくなるものは、ポークパイだと思うのですが。クランペットというパンも日本では手に入らないのではないかと…恋しくなるでしょう。どちらも日報で特集しています。
思いついたら、本文でまた書きます。
日本食は、牛丼、カレー、ハヤシライス、あら、日本古来の伝統食というより、くどいものが多いですね。・・・が恋しいです。日本のトンカツ、うな丼、やっぱり、こってりくどいですね。お汁粉、最中、アンパン、あんみつ、羊羹、アン物が多いですね。息子二人はメロンパンメロンパンと恋しがります。中華料理天国のイギリスで食べられない肉まんあんまん、マーボー豆腐、杏仁豆腐も懐かしい。おでん!とろろそば!懐かしい!ところで、お刺身やてんぷらすき焼きはそれほど恋しくありません。
江里さん、イギリス時代、肉まんあんまん、日本風パンは自分で作りましたよ。でも、小麦粉のタンパク質含有量や灰分量が違うので、なかなか日本と同じ食感にはならない。イギリスのケーキ用でパンを作ると日本に近い軽いパンになりました。
逆に日本に帰ってきたら、イギリスのパンが食べたいけど、再現できない。いろんなサンドイッチが流行っていますが、この具ならイギリスのパンで挟んだらおいしいだろうなと思うことがあります。
マックの市場にあったパイ屋さんのポーク&アップルパイ、食べたいな。