イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

国際情勢を反映して、長年親しまれた料理の名前がかわっても、今はもう違和感が薄れる...ロシアの蛮行許すまじ

2022年06月11日 05時52分47秒 | 英国の食べ物、飲み物

スーパーマーケット、セインズベリー Sainsburys が販売している自社製冷凍食品、チキン〈キエフ〉(4個入り)の箱2個を並べてみました。

一見同じに見える、パッケージのデザインの違いがお分かりになるでしょうか。

先週、セインズベリーの冷凍食品売り場で右側の箱を見かけて「あーっ」、思わず買ってしまいました。3週間ぐらい前に買った左の箱の中にはまだ2個中身が残っているにもかかわらず。

英国では本当におなじみの、チキン・キエフ Chiken Kiev 。昔からなじみのある、ウクライナの首都の名を冠した冷凍食品の定番料理のスペリングがかわりました!

セインズベリーでは「チキン・キーフ chiken Kyiv 」とよぶことにしたようです。

箱の裏側は、横長レイアウトです。

実は2月27日の、ロシア軍によるウクライナ侵攻開始の1週間後ぐらいにスーパーマーケット・チェーン、セインズベリーは独立国家であるウクライナに敬意を払ってまたロシアの横暴に抵抗の意味を込めてロシア語の「キエフ」からウクライナ語の「キーフ」に改名すると発表しました。

Facebook で誰かがシェアしたその英文記事を私も読んでいます。大笑い顔のマークがたくさんついていました。

ウクライナがロシアやソビエト連邦の支配下にあった頃に考案されたと言われるこの料理がロシア語の都市名で長いあいだ親しまれてきたのは、仕方ないことだと思っていました。料理名まで変えなくてもいいんじゃないか...と。

ウクライナが独立した後も首都の名前は「キエフ」だと世界中で思われてきましたしね。

週末にサルフォードの学生寮から帰宅した娘と食べたチキン〈キエフ〉です。(Kief キエフと書かれた左の箱に入っていました!)

冷凍したまま、オーブンでローストするだけ、簡単です!

今回は中に詰まった熱いガーリックバターがしっとりと溶けだしてチキンに滲みわたって美味しく仕上がりました。

ガーリックバターがとろ~んとお皿に溶けだして、あまり味の付いていないサクサクのコロモを浸すぐらいお皿に広がるものだとレシピのウェッブサイトには解説がありますが、冷凍食品でそこまで期待するのは無理がありますね。お肉にじゅうぶん味がついていました。

そうそう、改名することに決定はしたものの、箱の印刷をかえて流通ラインにのせるまで時間がかかったのか、改名そのものに待ったがかかったのかはわからないのですが実際に「キーフ」版が店頭に出るまでに決定から3カ月以上かかっています。

私と同じく「わざわざ長く親しまれた名前をかえなくてもいいのではないか」と思った人がけっこうたくさんいたらしいことと関係があるのかもしれません。

戦争は膠着状態、ウクライナからの戦況レポートをニュースで聞かない日はありません。

レポートで繰り返し発音されるウクライナの首都名はすっかりウクライナ語の「キーフ」として定着した今、不思議なことにロシア起源だ(?)と長いあいだ英国人には思われてきたおなじみのこのカツレツ料理の名前がさりげなく「チキン・キーフ」に変わっても違和感はほとんどありません。

ロシア侵攻の翌日のストックポート日報の記事のリンクです☟

世界の歴史の1ページを書き換える大事件、ロシアのウクライナ侵攻に際して思い浮かんだ思い出の食べ物といえば...

私が簡単に検索して見つけた「チキン・キエフ」の起源(その他)について書かれていますのでぜひ読んでください。

ロシア、ウクライナの事情をよくご存じの読者の方にコメントで「初出がサンクトペテルブルク(ロシアの首都)のウクライナ料理らしい」と教えていただきました。

「その他の大手スーパーマーケットも続々と改名決定」について報道する最近の新聞記事には、「19世紀にウクライナ地方(当時はロシアの一部)出身のシェフが考案したロシア料理、のちに彼に敬意を払って出身地の都市の名前を付けた」と書かれています!

諸説紛々、「チキン・キーフ」の起源!(あそこらへんが発祥地ということで...もうどうでもいい...)

メニューに「チキン・キエフ」をくわえるパブやビストロなどが増えているという報道もあります。70年代、80年代以後、人気が衰えていた「チキン・キエフ」、ロシアの侵攻以来、改名版「チキン・キーフ」の人気が復活だそうです。

先週土曜日に買い物をした別のスーパーマーケット、アスダ Asda のクッキング・オイル売り場の棚です。

植物油は売り切れ...かろうじて高価なオリーブオイルと、うちの夫が大っ嫌いなカラッとあがってカロリーが抑えめなのが売り物の合成油だけが棚に残っていました。

戦争でウクライナ産のヒマワリ油の供給がすっかり停止して、国産のナタネ油も合衆国産のピーナツ油も売り切れ。「おひとり様2本まで」の数量制限付きです。うちもそろそろ、油が切れるころなのです...

パスタや小麦粉、トイレットペーパーが姿を消したパンデミックの初期の頃を思い出しました。

ちなみに私のうちではアラビア語が書かれた大きな缶に入ったアレポ(シリア)産のエクストラ・バージン・オリーブ・オイルを長いあいだ買い続けていました。品質がよく、ヨーロッパの地中海沿岸国産のものよりもずっと値段が安かったことは言うまでもありません。

今はもう手に入りません。あの地域全体がタリバンに制圧され、土地を追われたオリーブ農家の人たちがどうしているのか心配です。

クッキング・オイルの不足から、ヨーロッパのウクライナのように連帯意識ももってもらえないし、難民の受け入れもすすんでいない国情の悪い中東の人たちの心配もふと心によぎりました。

 

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