昨日の続きです。
ひさしぶりに引っ張り出してきた、レトロな小冊子。
老舗の製粉会社、ビーロー Be-ro が、自社のセルフ・レイジング・フラワーの販売促進のために発行した1950年発行のホームベーカリーのレシピ本です。
アンティーク屋で買ったこの小冊子のレシピ通りにいろいろ作ってみた体験談を ストックポート日報 に時々載せていました。(2017年のことです)
イースターの頃の季節の菓子パン、ホットクロス・バンの古いレシピが載っています。
Spiced Buns As HOT CROSS BUNS と書かれています。
別名、「スパイスト・バン」。
ホット・クロス・バンという名前にすると、「グッド・フライデー good Friday にしか食べられないんじゃないか」とこだわる人たちが当時はまだけっこういたのではないかと思います。
出版された当時はEU加盟(1973年)前でした。
材料の分量表示はすべて「インペリアル法」です。
EUに加盟後、ヨーロッパ大陸で大勢だったメートル法を採用したイギリスでしたが、普及するまで大変な時間がかかりました。
現在、イギリスのお料理レシピのほとんどすべてにメートル法(グラム、リットル)が使われています。
お裁縫や編み物などの手芸もメートル法が大勢になってきていますが、インターネットの普及で頑固にインペリアル法を固守するアメリカ人によって書かれたレシピや技法のウェッブサイトが簡単に読めるようになり、またまたインペリアルに逆戻り現象も始まっています。
計量カップ、ものさし、巻き尺、体重計、温度計などイギリスで使われている度量衡を計る器具はすべてメートル法とインペリアル法の「両刀使い」になっているので、レシピや手芸の作り方説明がインペリアル法で書かれていれば、インチやパウンドの目盛りのほうを使えばいいわけです。とりあえず臨機応変に対応できます。
うちにある秤と計量ジャグはメートル法とインペリアル法、両方の目盛りがありますから慣れないオンスでもパイントでも正確にはかれます。
日本で「作ってみたい」と思われた方もいるでしょうから、換算してみました。
「メートル法」に換算するのはグーグルで、一発!
セルフレイジング・フラワー 454g
ラード 57g
砂糖 85g
カラント 85g
ピール 57g
塩 ティースプーン1杯
ミックス・スパイス
ティースプーン1杯
卵 1個
水 284ml
ハンパな数字が並ぶのはオンス ozs. やパウンド lb.、パイントpint をgや ml に換算したためです。
セルフ・レイジング・フラワー self-raising flour というのは150gの普通の小麦粉に、ティースプーン2杯分の割合でベーキング・パウダーがすでに混ぜてあるベーキング用の小麦粉のことです。
ラードの代りにバターを使いました。
イギリスのミックスト・スパイスはたくさんのスパイスが混ざっています。手に入らなければシナモン1に対してナツメグ2だけでもじゅうぶんだと思います。
カラントというのは小さめのブドウです。日本ではフランス語で「カシス」というようです。レーズンで代用できます。
ピール(乾燥したレモンの皮)はなかったので、省きました。
セルフライジング・フラワーと塩、スパイスを混ぜて、ラードを練り込みます。
砂糖とカラント、ピールをくわえ、
水と溶いた卵をくわえて緩めのドウを作り...
12等分して丸くまとめて、油をひいたベーキングトレイに並べます。
ナイフで深く十文字の切込みを入れ、テーブルスプーン1杯分の溶いた砂糖を表面に塗って.....
218℃のオーブンで15分。
出来上がり。
実に簡単なレシピだったのですが、手にまとわりつくゆるゆるのドウを丸く、しかも12等分して丸めるのがやっかいでした。
台と麺棒に小麦粉をはたいて軽く均一に伸ばしてからナイフで半分に切ってさらにそれぞれ6等分....最初に12等分してから小麦粉をはたいた手でつかんで軽くまとめればよかったみたいです。
レシピにはそこまでていねいな指導がありません。
市販されているホットクロス・バンとは違う!
市販されているホットクロス・バン。
前回の記事のレシピです☟。
普通のものを買ってきた、ホットクロス・バン
口当たりがサクサクしています。
甘みも少なく、スパイスの香りとカラントの甘みが効いていて、大人っぽい味でした。
焼き立てをそのまま夫と2個ずつ食べました。
夫の評判は上々でした。
また作ってほしいと言ってくれたので、成功と言ってよいでしょう!
翌朝はトーストして、バターを塗って食べました。
美味しそうですねぇ〜。
市販品よりスコーンぽく見えます。
ご主人が喜んでくれて、よかったですね!