金曜日に夫がマンチェスターの病院で診察を受けている間たちよった、ウィットワース美術館 The Witworth です。
イングランドは来週の木曜日からふたたび全国的なロックダウンに入ることに決定、昨日政府の公式発表がありました。大ごとです。
昨日1日、このニュースでもちきりでしたが、無視です。(現実逃避)
予定通り、パンデミックのさなかに寄った美術館についてのノーテンキな記事続行です。
向かいが病院の旧病棟の一部です。
このレンガ造りの旧病棟の背後に近代的で広大な総合病院の敷地が広がっています。(昨日の記事参照)
ウィットワースの正面ホールは天井ドームのすりガラスから入ってくるやわらかい光が光源の、とても落ち着く空間です。
数日前に時間指定の入館予約をして、チケット(入館は無料です!)をスマートフォンにダウンロードしてきました。ただその提示だけではなく、登録してある私のEメイルアドレス、電話番号、郵便番号が受付のノートパソコンで確認してー致しなくては入館できません。
私の名前が見つかるのに時間がかかりました。
受付の若い男性はコンピュータの不具合にオロオロ申し訳なさそうでしたが、そこまで入場制限を厳格化して感染拡大を阻止しようとする姿勢!に心打たれました!
「ティア3;非常に危険」地域認定にもかかわらず美術館を開館し続ける、文化都市マンチェスター!!!!これぐらいの厳格措置は当然です!
.....と思ったのは確かですが、「何時までに退館せよ」という指示が全くありません。
大さわぎをして入館したビジターが1日中館内で居座って誰も出ていかなければ、次々と入館してくる少人数のビジターの数が積もり積もってけっこうな密になるのではないか、と余分な心配をしました。
館内はガラガラ。
1階は定期的に展示物が変わる「常設展」が充実しています。
歴史あるデザインから起こしてデジタルプリントした壁紙デザインの展示です。
そう言えばウィットワースは私がマンチェスターの美術学生だった頃はデザイン、工芸の所蔵品がとてつもなく充実した「装飾美術館」というか資料館のような設備だったのです。
大改装ののち、現在は現代アート関係の企画展が充実しています。
1人ないしは1グループしか一度に階段を上がりおりすることができません。(さすが!)
上階で見た、たった一つの企画展「ユートピア」の展示です。
16世紀の思想家、トマス・モアの著作「ユートピア」にインスピレーションを得たというかなりこじつけっぽいコレクションの
古地図やら壁紙のデザインやら社会派っぽい現代アートやら盛りだくさんの企画でした。
ひとつひとつの展示品はその....どうってことなさそうな小品の寄せ集めみたいでしたが(スゴイ芸術作品だったらごめんなさい)
「鑑賞者の解釈におまかせします」というようなコンセプトの、実はけっこう苦手なタイプの展示だったのですが、久しぶりのウィットワースらしい企画、堪能しました。
表通りのオックスフォード・ストリートから見たウィットワース・パークです。
階下のロング・ギャラリーから外のパークの風景を四角く切り取って、一枚ずつ風景画のように楽しめる窓があります。
半地下に降りれば、外の小さな庭園に自由に出られる出入り口があります。
屋外なのに、他の入館者と鉢合わせしないように矢印で順路が決めてあります。(あっぱれ)
誰もいなかったので、もちろん無視しました。
パークに張り出したこのガラス張りの空間は内側がカフェなのです。
湿った枯葉を踏んで小雨のやんだ気持ちの良い公園内を少し歩いてまた美術館に戻りました。
美術館の小さな庭園は周りの市民の憩いの公園、ウィットワース・パークとつながっています。
囲いなど何もありません。パークを通り抜ける人が半地階の出入り口から通常ならフラッと美術館に立ち寄ることも可能です。
半地階の入り口わきにも臨時に設置された小さな受付デスクには、感染防止措置システムを通さない入館者を阻止するための、フェイス・シールドをつけたスタッフが座っていました。
この人は奥の事務の女性とのおしゃべりに夢中で、私が出て、また入った時に一瞥もしませんでした。
行きも帰りも素通りでした。
もしかしたら私が出るところを目の端にでも止めて「あの人は入館者だ」と覚えていたのかもしれませんが、入場者制限徹底にかける熱意が正面入り口ホールと半地階の公園に抜ける小さな入り口とでは差がありすぎるのにびっくりです。
どうでもいいことですが、退館する前に入ったトイレには個室それぞれに鏡と洗面台、いい匂いのするハンドソープとサニタイザー(消毒用のジェル)が設置されていました。
利用したあと、せっかく消毒した手でドアノブとロックをさわらないと個室の外に出られないことに気がつきました。
前の人も消毒された手で触ったのだから、だいじょうぶなのでしょうね。
いえ、鏡があるのでお化粧直しに顔や口元を触った手でドアを開けている可能性も大ありです。
出た後に持参の携帯用のサニタイザーを用心のため手にすり込んでおきました。
なんだか中途半端なウィットワースの感染防止対策.....
踊り場のカップルが完全に上に上がり切ってから階段を上がりました。
鏡面の窓枠を使って撮ったセルフィーです。
2時間の滞在のあと入り口ホールにあるソファーにゆったり座って、病院から夫が診察と検査が終わったことを知らせるテキストメッセージを待ちました。
また病院に戻って、(患者以外は中に入れません)検診が無事すんだ夫と無線タクシーで帰宅しました。
感染状況がひどくなっています。
国家全体の非常事態感も強まってきています。
これがもしかしたらスーパーマーケットへの車での買い物以外、「今年最後の外出」だったかもしれません。