今日、11月5日はガイ・フォークス・ナイト Guy Fawks Night です。
ボン・ファイア・ナイト bonfire night と呼ぶほうが一般化してきているようですが。
全国的に大盛況の、イギリスの晩秋を飾る近世以来のこの奇習については後述します。
話題をちょっと変えて.....
ボンファイヤ・トフィー bonfire toffee。
bonfire はかがり火、焚火(たきび)という意味です。
以前、ストックポート日報 で紹介した ねっとりキャラメルタイプのボンファイア・トフィーと違いこれは「ボイルド・スイート boiled sweet(硬いアメ)」タイプです。
味はまさに日本の黒飴!見た目どおりです!
かすかに塩味がします。
マグソンズ Maxons という聞きなれない名のお菓子会社が「20世紀の初めから全く同じ製法で製造している17世紀末以来の伝統菓子」だそうです。
袋の裏にそう書いてあります。
やわらかいキャラメルタイプのトフィーについて書いた記事のリンクです☟。
イギリス北部の季節限定ケーキ、ショウガの香り高い秋の味覚パーキン、市販品を食べきって手作りに挑戦する決意!
一番上の写真の、トフィーの袋の素朴なイラストを見てください。
樽入りのTLT(トリニトロトルエン=火薬)とシマシマのロケット花火を持った顔なし男は誰でしょうか。
ガイ・フォークス Guy Fawks という17世紀に実在したカトリック教徒テロリストです。
フォークスは火薬陰謀事件 Gunpowder Plot の首謀者とされています。
カトリック教徒への弾圧を強化した国王ジェームス一世の暗殺をたくらんだカトリック教徒の一団が、国王が出席する国会開会式の日、1605年11月5日に国会議事堂を爆破しようとしたのが「火薬陰謀事件」です。
議事堂の地下で準備中、ただ1人現行犯逮捕され、拷問されて共謀者の名前を白状したフォークスは、実際は首謀者ではなくただの実行犯の一人にすぎなかったらしいのですが、「火薬陰謀事件と言えばガイ・フォークス!」と400年来つづく秋の年中行事に名前を冠する重要人物として歴史に名前を残しています。
フォークス含めこの計画に連座したカトリック教徒の一味はことごとく大逆罪で絞首、内臓えぐりのセットで処刑され、死後四つ割きにされたバラバラ死体が首都ロンドンのウェストミンスター地区の四つ辻にさらされたという ものすごく陰惨な出来事です。
その陰惨な出来事をネタにお祭り行事を始めてはしゃぐイギリス人。
国王と国体の無事を祝って毎年11月5日に公共の空き地などで巨大なかがり火をたき、深夜まで祝杯を挙げるガイフォークス・ナイト。
火薬陰謀事件の翌年にはじまり、現在まで続いています。
18世紀には花火の打ち上げまで加わり華やかな大イベントに!
現在もハロウィーンの翌日から連日深夜まで5日間、来るガイフォークス・ナイトを盛り上げる下準備としてか、イギリス中花火が上がりっぱなしです。
パブなどが主催する小規模なもの、入場料を取り豪華な花火を上げるチャリティ団体主催の大掛かりなもの、ボンファイア(かがり火)イベントはさまざまです。
裏庭にゲストを呼びドラム缶の焚き火の周りで飲食する、家庭のボンファイア・パーティも人気です。
起源はともかく、暗くなってから火の回りに大勢集まるのはたのしいものですよね。
何というか原始的な興奮を呼び覚まされわくわくします。
イギリスでは、いつまでも日が暮れない夏に花火はあげません。
ボンファイヤ・ナイトと大晦日、夜の長い秋と冬に堪能するのがイギリスの花火です。
*イギリスでは未成年者が花火を買ってはいけないという法律があるので、たいていはケースに入ったサンプルや写真を見て注文して戸棚から出して売ってもらうことになっています、(煙草と同じ)
戦前までは子供たちがマントを着せた布人形をフォークスに見立てて町中をひきまわし、(地域によっては四つ割きも)火に投じて歓声をあげるというあまり教育的でない習慣もあったのですが、今はほぼ廃れたようです。
といっても、私は1992年に古都、ウィンチェスターで大掛かりなガイ・フォークス人形の焚き上げを目撃しました!
火薬陰謀事件の関係者(一部)
右から三人目がフォークスだそうですが、まさかテロリストが勢ぞろいしたところをスケッチできるわけないし、当時の画家の想像画ですよね。
ガイ・フォークスの確定できる肖像画はないらしいのですが、現在知られているイメージと言えば.....
有名な様式化されたガイ・フォークス・マスク Guy Fawks mask。
2005年に公開された映画「ヴィー・フォー・ヴェンデッタ V for Vendetta」で、近未来の独裁国家イギリスの独裁政府に抵抗するレジスタントがかぶっていたことから今では「権威に対抗する抗議者の象徴」としてしられてきています。
抗議者全員がかぶれば名もなき大多数を意味し、おまけに顔も隠せて一石二鳥、抗議運動に欠かせない小道具になってきているようです。
火薬陰謀事件はたびたびテレビドラマ化されていますが、ガイ・フォークスは かならず二枚目俳優によって演じられ、国家の圧政に抵抗する悲劇のヒーローとして描かれるのが通常のパターンです。
今までに(特に子供が小さい時)何回も見物に行っているボンファイア・イベントですが、今年は私はパスです。
たぶん一人で映画を見に行くか、編み物の会に行くと思います。