イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ストックポートを中心に、昨今のイギリス一般ゴミ出し事情

2017年10月17日 20時31分28秒 | 英国の、生活のひとコマ
ここ、ストックポートでは、ゴミの回収は週に1回です。


私の住む地域では、毎週 木曜日が ゴミの日 bin day です。


毎週回収してもらえるのは、庭ゴミを含む「生ゴミ」だけ。

毎回、「生ごみ」の他に もう1種類(週によっては2種類)の回収があります。

先週の木曜日は、「紙類」と 「硬いごみ(缶、ガラス、プラスチック)」の いずれも再生可能な「リサイクル・ゴミ」の2種類と、毎週ごとの「生ごみ」の 合わせて3種類の回収日でした。

早朝、7時前に回収車に先駆けて 徒歩の職員が 回収するボミ箱のみ、道の中央にあつめてまわります。


5分か、時によっては それから 1時間もたって やってくる ゴミ回収車に 二つずつひっかけて・・・


ガツンガツンとゆさぶって 中味をゴミ回収車にあけます。


全自動!

「生ごみ」の入った緑のゴミ箱はこれで終了、じゃまにならないように道の奥にかたずけられます。


次、同じ要領で、「紙類」の入った青。





最後に、ものすごい音のする缶、ガラスの入った茶色のゴミ箱が処理されたのは 昼近くになってからでした。



午後遅く、勤め先などから帰宅した住人は 自分の家のゴミ箱を回収して自分の家の敷地内に持ち帰ります。


車輪のついたこの巨大な、色違いのプラスチック製の分別ゴミ箱が各家庭に4個

ストックポートでは、緑が「生ゴミ」、茶色が「缶とガラスとプラスチック」、青が「紙類ゴミ」。黒が再生不可能な「一般ゴミ」と区わけされています。

地域、行政によって、種類や色が違うようです。
プラスチックを再生しない行政も あるそうです。


細かい分別がここ、ストックポートで始まったのは12年ほど前。

それまでは、ほとんどすべてのゴミを市販の黒いビニールのゴミ袋に詰めていました。
それを回収日の前日の夜に家の前に置いておくと、いくつでも回収してくれました!

再生可能なガラス瓶、缶、紙類は、スーパーマーケットや市営の施設の駐車場、学校や公園など公共の場所に設けてある回収する専用の大きな箱に、本当に少数のエコロジーに関心のある人が自主的に投入していました。

ゴミの量は増え続ける一方で、焼却は追い付かず、廃棄ゴミによる環境汚染は ずいぶん前から社会問題として有識者の間では激しい非難の的でした。

地球環境を気にする人たちが 「これではいけない」と言い始めてから ずいぶんたっていたのですが、イギリス人の だらしないゴミ捨て習慣は 急には改まりません。依然として ごちゃ混ぜ回収を続けていました。

私もイギリスに来て、国民の意識の低さには驚愕しました。
イギリスのゴミ事情は先進国では最悪だったんだそうです。


決め手は、EUのプレッシャーですね、やっぱり。

国際情勢も考えに入れて、少しずつ 強制的な 分別回収が イギリス中で始まりました。

しばらくの間は分別が面倒で混ぜて出す人、回収をのがして次の回に入り切れなかった、例えば 缶ゴミを 紙用のゴミ箱に入れてちゃっかり紙ゴミ回収の日に出したりする人が続出でした。

もちろん、ゴミ屋さんは違反ゴミの回収を拒否して 屈辱的な「違反スティッカー」をゴミ箱に貼っていきます。

回収日をのがすと、生ゴミ以外の種類のゴミの回収は3、4週間も先です!
巨大な分別ゴミ箱、次の回収日までには、いっぱいになるサイズです。


特に ゴミの分別に理解がなかったのは、お年寄りでした。

分別が始まって ずいぶん経ってからも私が働いていた 高齢者施設(日本でいう介護付きマンションのような施設です)では、仕分けが面倒で再生ゴミを一般ゴミに混ぜて出す居住者がたくさんいました。

誰が出したのか わからない、戸数の多い共同住宅だったからでしょう。
各階に大きな仕分けゴミ箱をいくつも置いた 「ゴミ回収室」がありました。
指定の回収日前日の夜に、用務員さんが 仕分けされたゴミを 階下の共同住宅用 仕分けコンテナに集めて出していました。
各戸に振り当てられた指定のゴミ箱がなかったので、いくつでも出し放題でかなりごちゃ混ぜだったはずです。

各戸を訪問してゴミ箱をしょっちゅう見てて、たのまれて「ゴミ回収室」まで持って行ってあげることも多かった私たち職員には 誰がやってるか、ばれてたんですよ・・・情けないことです。


ゴミ分別が最終的に徹底された決め手は、一般ゴミの回収を極限まで(4週間に1度)減らしたこと・・・でしょうか。
ゴミの量を減らすためには、再生ゴミをより分けるしかありません。
分別しなければ 一般ゴミ用の黒いゴミ箱は2日か3日でいっぱいになります! 回収は もちろん4週間先!


話が逸れますが、イギリス社会を大混乱させているEU離脱の件です。

離脱賛成に票を投じた大半は高齢者だ と言われています。
E Uのプレッシャー(国際社会に足並みを合わせる 等)を疎ましく思うお年寄りが多いらしいことと、このゴミ分別の件が無関係ではない と思うのですが・・・

社会の大勢についていけない、身勝手な「昔はよかった」志向の有権者が国の将来を決定してしまった 先の国民投票、残念です!

もちろん、イギリスのお年寄りすべてがそうだ とは言っていません。
ステレオタイプなひとくくりはよくありませんね。

以前までの、市販されているビニールのゴミ袋は持って行ってもらえばそれまでですが、空っぽになったのをまた満たす、この車輪付きの大分別ゴミ箱、じゃまです!


伝統的な連続住宅にはたいてい裏庭の外に、狭い通路があるので、車輪付きの大分別ゴミ箱は裏庭に置くことが多いのです。
通路を通って、ゴミ回収車が通る家の前の通り、あるいは指定の回収場所に居住者が押していきます。


この19世紀末に建てられた長ーい連続住宅の建物には何軒かおきに裏の通路に通じる切れ目があります。↓



私のうちのような、横並びの連続住宅では、家の前に並べるしかありません!
私のうちは背中合わせの裏の家の裏庭の間に通路がありませんから。

上の写真の長ーい連続住宅と同じ通りの、比較的短い連続住宅は、一ランク上の、狭い前庭付き。↓





私のうちと同様、裏庭に通じる通路がないようです。
家の前のゴミ箱群、じゃまでみっともない!


一軒家は横に必ず庭に通じる敷地内の通路があります。


(上の写真は楓の紅葉が美しいので撮りました。1928年から30年代に建てられた住宅です )

古いタイプ1890年代の2軒続きの住宅も 建物と建物の間に等間隔の裏庭に続く通路が あります。


ない家は面に置くしか ありません。
たとえ裏庭においても みっともないのは同じ!

市販の、お花の写真がプリントしてある粘着シートをはっても みっともないのは変わりません!


ほかに、蔦のプリントやカゴ編み、生垣の写真プリントも見たことがあります。生垣の前においても全然溶け込んで見えません!

私も 再生可能な資源ゴミの分別回収には 大賛成です!
ただ、じゃまなんです。ほんとにほんとに、かさばる分別ゴミ箱、じゃまでかっこ悪い!

イギリス人、時間がかかったけど ゴミ分別、やればできるじゃない!

ただ、多くのイギリス人家庭はすぐに巨大な分別ゴミ箱をいっぱいにします。
市に回収の回数を増やしてほしいと陳情した人もいるそうです。

私は、アルミ缶は つぶし、紙の箱は開いたりたたんだり、ペットボトルはまんなかで切って 片方をもう一方の中に入れたりして、ゴミを巨大な分別ゴミ箱の半分以下に収めています。

イギリス人は、ゴミのカサを低くする工夫をやらないんです。
日本人の多くは、実行していますよね。
私が職場で箱をたたんで捨てているのを見たイギリス人は「ウワォ~!オッリガーミ(折り紙)ディスポーザル!」と感心していました。
感心してないで自分もやれ!


日本の多くの自治体が実行しているように、指定のゴミ袋を有料で提供する方法も過去には提案されたそうです。

年ごとにゴミ回収料金が徴収され、ゴミ箱の大きさも選べるシステムを採用している国もあるそうですね。

一理あります。余分にお金がかかるので、ゴミを減らす くふうをするいいきっかけになるでしょう。
家族が少なく ゴミの量が少ない家庭には負担も少なくてすみますし。

ただ、金銭的に余裕がある家庭は、量を気にせず出したいだけ出すことになりはしないかと、気になります。
イギリスではどの自治体も、ゴミ回収費用は住民税でまかなっているので各家庭への徴収はありません。



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コメント (6)
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