社会科学上の不満

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呪いその1

2013-07-21 00:00:03 | 社会常識と教育

 紀元前216年、第二次ポエニ戦争でのカルタゴの名将ハンニバルが倍する兵力のローマ軍を破った「カンネーの戦い」が、よく戦術教書で用いられる。此処で一番注意すべきことは、華やかな勝利を得たはずのカルタゴ軍が、補給が困難になりイタリア半島から撤退しなければならなくなったことだ。ハンニバルの名声は上がるもカルタゴはそれ以外の利益を得ることができなかった。所詮は「戦術的」勝利でしかなく、「戦略的」勝利はローマ側にある。華やかさに欠けるため第二次ポエニ戦争の真の勝利者が誰か見過ごされている。 

 しかし「ハンニバル」の名声が残ったため我々現代人は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の経典たる旧約聖書のウソを容易に見破ることが出来る。

 紀元前の話であるから当然イエス・キリストが生まれる前の出来事である。そしてカルタゴはフェニキア人の末裔として栄え地中海のアフリカ側にある現在のチェニジアにあった。地中海の交易の独占を狙うローマとの諍いがこのポエニ戦争の要因の一つである。

 「ハンニバル」の名はカルタゴでは一般的な名で珍しい名ではない。その意味は「バールのいとし子」と言う意味である。この「バール」とはフェニキアの神の名であり旧約聖書に最も出てくる名の一つでもある。「バール神」は「バール・ゼブル」であり、旧約聖書では「ベルーゼ・ブブ」ハエの王の悪魔として記載されている。

 紀元313年のミラノ勅令までキリスト教はカルト集団と看做されていた。旧約聖書編纂されたと言われる紀元前1200年代、モーゼにより聖書は体系化されたそうだ。しかしその100年前モーゼが幼年期を過ごしたエジプトでファラオ・アクエンアテンが人類史上初めて一神教を採用した。それまで多神教の世界しか存在しなかった。アクエンアテンは極めて政治的理由から一神教にしたようだ。

 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教以前は地中海沿岸の地域では多神教であり「バール神」はその中で最大級の神であった。故に旧約聖書で攻撃対象となり「悪魔」として扱われている。

 「ハンニバル」の名が残っているため、現代の我々は旧約聖書がユダヤ民族を統合するため、敵対する地域の神々を「悪魔」にしたことを知ることが容易にできる。

  しかしこの「ハンニバル」の名は「戦略的事象」と「戦術的事象」との区別を惑わせるといった現象を引き起こしている。ある意味これこそバールの呪いか?

コメント
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