毎日が、始めの一歩!

日々の積み重ねが、大事な歴史……

説「新・人間革命」に学ぶ 最終回 あとがき編

2021年08月06日 | 妙法

小説「新・人間革命」に学ぶ 最終回 あとがき編 池田主任副会長の紙上講座2021年8月6日

  • 連載〈世界広布の大道〉
イラスト・間瀬健治
イラスト・間瀬健治

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は「あとがき編」。紙上講座を終えるに当たっての所感を踏まえた、池田博正主任副会長の解説とともに、第30巻<下>につづられた珠玉の名言を紹介する。(本文・名言集に記載したページ数は、第30巻<下>のページ数)

紙上講座 池田主任副会長 “人間勝利の大絵巻”を!

 きょう、小説『新・人間革命』起稿28周年・脱稿3周年の佳節を刻みました。25年間にわたる池田先生の執筆闘争は、「限りある命の時間との壮絶な闘争」(442ページ)であり、連載完結は歴史的な大偉業です。
  
 8月6日は「広島原爆忌」です。この日を起稿・脱稿の日とされ、9月8日を連載完結の日とされたのは、戸田先生の「原水爆禁止宣言」の精神を継承し、核兵器の悲劇を繰り返さない、との誓いを後世永遠に留めるためです。
  
 2010年(平成22年)以降、先生の活動の中心は、『新・人間革命』の執筆となりました。その連載に励ましを受けた全同志の熱き思いと祈りによって、完結の日を迎えることができたと思わずにいられません。『新・人間革命』の完結は、21世紀における「師弟の共戦譜」と言えるでしょう。
  
 第30巻<下>はこう結ばれています。
 「彼の眼に、『第三の千年』の旭日を浴びて、澎湃と、世界の大空へ飛翔しゆく、創価の凜々しき若鷲たちの勇姿が広がった」(436ページ)
  
 この一節は、先生の脱稿時の心境そのものだったのではないでしょうか。平和と共生の時代を開く後継の青年たちが、旭日のごとく、陸続と誕生することを、先生は確信されていたのです。
  
 講義を終えるに当たって、改めて『新・人間革命』全30巻を貫くテーマについて述べたいと思います。
  
 その一つが、「宿命」は「使命」である、ということです。「あとがき」に「『宿命』と『使命』とは表裏であり、『宿命』は、そのまま、その人固有の尊き『使命』となる」(447ページ)と強調されています。
  
 また、広布の伸展を阻む、さまざまな「魔」「悪知識」の本質についても詳述されています。
  
 広宣流布は間断なき仏と魔との闘争です。正義が勝ち続けていくために大切なことが、「『覚悟の信心』に立つこと」(105ページ)であり、「覚悟を定め、大難に挑み戦うことによって、自らの信心を磨き鍛え、宿命転換がなされていく」(同)のです。
  
 学会を襲った数々の試練を勝ち越える原動力は、ひとえに山本伸一の「覚悟の信心」にありました。師の闘争に連なるとは、この「覚悟の信心」に立つことです。

花壇に浮かび上がる赤い“Vの字”を池田先生が撮影(2018年8月、長野で)。この月の6日、小説『新・人間革命』を脱稿した
花壇に浮かび上がる赤い“Vの字”を池田先生が撮影(2018年8月、長野で)。この月の6日、小説『新・人間革命』を脱稿した
人類の新しき道標

 「あとがき」が書き留められたのは、脱稿から約1カ月後の2018年(平成30年)9月8日、連載完結の日です。ここでは、小説『人間革命』『新・人間革命』の執筆の背景や真情、完結の意義などが記されています。
  
 『人間革命』では、戸田先生という「一人の人間」が「一国の宿命の転換」へと立ち上がり、弟子と共に学会を再建しゆくドラマが展開されます。一方、「全人類の宿命の転換」を目指す伸一と弟子の“世界広布の共戦譜”が『新・人間革命』です。
  
 「あとがき」には、広布の使命を担う私たち一人一人が、「苦悩する人びとを救うために、誓願して」(446ページ)、さまざまな宿命をもって生まれてきたと述べられています。
  
 一人として使命のない人などいません。「皆が、地涌の菩薩」(447ページ)であり、「苦悩を歓喜へと転ずる大ドラマの主人公」(同)です。
  
 「『人間革命』なくしては、自身の幸福も、社会の繁栄も、世界の恒久平和もあり得ない」(同)とある通り、われわれの“宿命転換劇”は、社会に勇気と希望を送っていきます。
  
 仏法を根幹とした「人間革命」の思想と実証は、「『第三の千年』のスタートを切った人類の新しき道標」(448ページ)なのです。

師弟の対話の扉

 約3年にわたって、「世界広布の大道」の解説編を担当させていただきました。
  
 『新・人間革命』は単なる過去の学会の歴史ではありません。不変の“広布の原理”が示されています。いかに、今の活動に生かすことができるか――真剣に向き合う日々でした。
  
 一巻一巻をひもときながら、あらためて心に刻んだのが、『新・人間革命』の意義です。
  
 それは、①創価の精神を学ぶ「信心の教科書」②胸中の師匠と語らう「対話の書」③弟子に託す「誓いの書」、の3点に集約することができます。
  
 『人間革命』『新・人間革命』は、「創価の広布の『日記文書』」(439ページ)とある通り、学会精神を培うための「創価の精神の正史」(440ページ)であり、“信心の教科書”です。
  
 執筆に当たって池田先生は、「一人ひとりに励ましの便りを送る思いで推敲を重ね」(442ページ)、「わが胸中の恩師と対話しながらの作業でもあった」(同)と述べられています。『新・人間革命』のページを繰ることは、師弟の対話の扉を開くことにほかなりません。
  
 さらに、「先師、恩師の精神と思想を受け継ぎ、断じて、『戦争』の世紀から『平和』の世紀へ歴史を転じゆこうとの、弟子としての誓いを永遠に刻印したかった」(441ページ)とつづられる通り、先生ご自身の誓願を弟子に託す「誓いの書」でもあるのです。
  
 「あとがき」の結びに、『新・人間革命』の完結は、「新しい出発」(448ページ)とあります。
  
 創価の同志が広布の本舞台に立ち、「山本伸一」の自覚で「自身の輝ける『人間革命』の歴史」(同)をつづりゆく時です。完結5周年(23年)、そして10周年(28年)へ――「『広布誓願』の師弟旅」(同)を進めながら、「人間勝利の大絵巻」(同)をつづっていこうではありませんか。

小説『新・人間革命』の起稿の日、池田先生は、インドのN・ラダクリシュナン博士と会見(1993年8月6日、長野で)
小説『新・人間革命』の起稿の日、池田先生は、インドのN・ラダクリシュナン博士と会見(1993年8月6日、長野で)
【名言集】
●青年の熱と力

 平和という壮大な理想を実現するには、青年の熱と力の結集がなければならない。(「誓願」の章、229ページ)

●交流の道

 切り開かれた交流の道は、何度も歩き、踏み固めることによって、大道となっていく。(「誓願」の章、249ページ)

●新時代の広宣流布

 新時代の広宣流布もまた険路でありましょう。「賢明」にして「強気」でなければ、勝利と栄光は勝ち取れません。(「誓願」の章、347ページ)

●以信代慧

 仏法は、人を救うためにある。人を救うのは観念論ではなく、具体的な「知恵」であり、「行動」です。私どもの立場でいえば、以信代慧であり、信心によって仏の智慧が得られる。(「誓願」の章、392ページ)

●宗教者の使命と責任

 現代における宗教者の最大の使命と責任は、「悲惨な戦争のない世界」を築く誓いを固め、人類の平和と幸福の実現という共通の根本目的に立ち、人間と人間を結んでいくことである。(「誓願」の章、407ページ)

●師の心

 次代を担う青年たちの成長こそが、弟子の勝利こそが、自身の喜びであり、楽しみであり、希望である――それが師の心である。それが師弟の絆である。(「誓願」の章、417ページ)

【編集後記】

 2018年10月から連載を続けてきた「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は、今回で最終回を迎えた。
 2年10カ月の連載の間、多くの読者の方々から温かな励ましの声を頂戴した。心から感謝申し上げたい。
 連載では、31人の識者に登場していただいた。第7巻の声を寄せてくださった中国文化大学の元学長・林彩梅氏は「大切な機会ですので」と、国際電話で2時間に及ぶ取材に応じてくださった。どの識者にも、池田先生への溢れる尊敬と感謝を語っていただいた。
 「20世紀最高峰の文学」と称されるマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』は、公的に認められている「世界最長」の小説だ。その長さは、400字詰め原稿用紙で1万枚になるという。
 『新・人間革命』は、1万5千枚に及ぶ。まさに、世界一の壮挙ではないか。しかも、コロナ禍の不安が世界を覆う中、『新・人間革命』は、国内のみならず海外の友にも希望を送り続けている。池田先生こそ、日本が世界に誇る大文学者であり、偉人である。
 『新・人間革命』は、読む人を奮い立たせずにはおかない。人生のあらゆる問題に対する解答は、『新・人間革命』の中にある

 

 

 

3333333333333333333333333333

 

きょう8・6 小説「新・人間革命」の起稿・脱稿の日2021年8月6日

  • 全人類の宿命転換目指す師弟の共戦譜
1975年11月8日、広島市にある平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花し、題目を三唱する山本伸一会長。伸一の胸には、“平和への死力を尽くした戦いなしには、戸田先生の弟子として、広島の地を踏むことはできない”との闘魂が脈打つ(小説『新・人間革命』第22巻「命宝」の章の挿絵から)
1975年11月8日、広島市にある平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花し、題目を三唱する山本伸一会長。伸一の胸には、“平和への死力を尽くした戦いなしには、戸田先生の弟子として、広島の地を踏むことはできない”との闘魂が脈打つ(小説『新・人間革命』第22巻「命宝」の章の挿絵から)

 きょう8月6日は、池田大作先生が小説『新・人間革命』を起稿(1993年)し、脱稿(2018年)した日。「全人類の宿命の転換」を目指す師弟の“世界広宣流布の共戦譜”ともいうべき同小説は今、海外13言語、23カ国・地域で出版されている。3面には「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」の「あとがき編」を掲載。池田博正主任副会長の紙上講座などを紹介する。

現在までに、海外13言語、23カ国・地域で出版されている小説『新・人間革命』。創価の精神を学ぶ「信心の教科書」として、『人間革命』と共に、各国各地で学び深められている
現在までに、海外13言語、23カ国・地域で出版されている小説『新・人間革命』。創価の精神を学ぶ「信心の教科書」として、『人間革命』と共に、各国各地で学び深められている

 「平和ほど、尊きものはない。平和ほど、幸福なものはない……」
 1993年8月6日の朝、池田先生は小説『人間革命』の続編として、『新・人間革命』を起稿。その場所は、恩師・戸田城聖先生と最後の夏を過ごした長野であった。
 この日は「広島原爆忌」。後に池田先生は、冒頭の一節をつづった真情を、“戦争の世紀の悲劇を二度と繰り返さないため、「原爆の日」に自らに下した、平和への闘争宣言だった”と述懐している。
 執筆開始から満25年となる2018年の同日、同じ長野の地で脱稿。そして、同年9月8日、戸田先生が発表した「原水爆禁止宣言」(1957年)の日に、本紙での連載は完結をみた。
 新聞連載回数は、日本一の6469回。400字詰め原稿用紙で約1万5000枚に及び、『人間革命』を合わせると2万枚を超える。
 『新・人間革命』を読むことは、師匠との“心の対話の扉”を開くことに通じる。
 広布の「誓願」をわが胸に、常にこの書に学びながら、自他共の生命に栄光凱歌の日記文書を刻みゆく我らの師弟旅は続く。これまでも、これからも――。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする