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創価学会は校舎なき総合大学 御書編⑧

2023年09月24日 | 妙法

ストーリーズ 師弟が紡ぐ広布史〉第36回 創価学会は校舎なき総合大学 御書編⑧ 2023年9月24日

 
朝の陽光が、鮮やかに色づく紅葉と山梨・河口湖を照らす。湖面には、うっすらと富士の姿が。古来、「富士」は「不二」とも記された。池田先生は詠んだ。「見るもよし 見ざるもよしと 我は立つ 不二の誓いを 貫く誉れよ」 ©Thatree Thitivongvaroon
朝の陽光が、鮮やかに色づく紅葉と山梨・河口湖を照らす。湖面には、うっすらと富士の姿が。古来、「富士」は「不二」とも記された。池田先生は詠んだ。「見るもよし 見ざるもよしと 我は立つ 不二の誓いを 貫く誉れよ」 ©Thatree Thitivongvaroon

 欧州広布の躍進の礎となった「ヨーロッパ会議」が誕生したのは、1973年5月のこと。
 同会議の設立を提案したのは、池田大作先生である。当時、各国がそれぞれの地域・社会に根差し、独自の活動を展開するなど、欧州広布は新たな段階を迎えていた。
 焦点は、各国の同志が孤立することなく、互いに連携を取り、応援し合う協力体制を築くことだった。小説『新・人間革命』第17巻「民衆城」の章には、こう記されている。
 「当時、ヨーロッパの統合化は、社会的にも、未来の大きなテーマとなっていた。したがって、人類の幸福と平和をめざす精神の結合ともいうべき『ヨーロッパ会議』の設立は、次元は異なるものの、時代を先取りする価値ある第一歩であったといってよい」
 同会議発足の場に集った13カ国・約300人の友は、「平和の先駆者」との誇りに燃え、広布拡大に奔走した。そして、50周年の節目を刻んだ今年5月、欧州SGI(創価学会インタナショナル)は「共同議長制」を敷いて、新たに出発した。
 同月、欧州SGIの代表のメンバーが来日。欧州中央会議などが開かれ、「佐渡御書」の講義も行われた。講義で強調されたのが、「師子王の心」と「宿命転換」である。
 
 佐渡御書には、「悪王の正法を破るに、邪法の僧等が方人をなして智者を失わん時は、師子王のごとくなる心をもてる者、必ず仏になるべし。例せば日蓮がごとし。これおごれるにはあらず。正法を惜しむ心の強盛なるべし」(新1286・全957)と仰せだ。
 この御聖訓を拝して、池田先生は述べている。
 「『例せば日蓮が如し』――私を見よ! これは決して傲って言うのではない。『正法を惜む心』が強盛だから言うのである――」
 「この正義の大確信を、よくよく拝すべきです。わが命よりも『正法を惜む心』が強盛だからこそ、誰にも怖じることなく、堂々と正義を主張する勇気を持てるのです。ここに信心の極意があると言ってもよい」
 また、佐渡御書には、「鉄は炎い打てば剣となる。賢聖は罵詈して試みるなるべし。我、今度の御勘気は、世間の失一分もなし。ひとえに、先業の重罪を今生に消して、後生の三悪を脱れんずるなるべし」(新1288・全958)とある。先生は強調した。
 「大聖人は、苦闘する門下の肩を揺さぶるように励まされているのです。
 『宿命を転換するのは自分自身だ。自分の中に、その力がある!』
 『苦難を避けるな。本当の勝利は、自分自身に勝つことだ!』
 『大いなる悩みは大いなる自分をつくる! 永遠の勝利者となれる!』と」
 
 先月、イタリア・ミラノの郊外で開かれた欧州青年教学研修会でも、佐渡御書を学び合った。
 先生は、佐渡御書について「師匠の勝利を宣言された一書」「弟子の勝利を約された一書」と記している。この重書の講義を、先生が高等部の代表に行ったのは、1966年のことだった。

ストーリーズ 師弟が紡ぐ広布史〉第36回 創価学会は校舎なき総合大学 御書編⑧(1面から続く)2023年9月24日

 
イタリア文化会館で行われた「イタリア芸術音楽祭」の終了後、池田先生の姿を見つけた未来っ子たちが駆け寄ってきた。先生は「写真を撮ろう!」と声をかけた。撮影の折、先生はユーモアを込めて「チーーーズ」と「チーズ」の音を長く伸ばした。声を合わせて、「チーズ」と言う子どもたちの表情に、満面の笑みが浮かぶ。皆、かけがえのない使命の人。先生は、笑顔輝く幸福の人生をと祈りつつ、記念のカメラに納まった(1992年6月)
イタリア文化会館で行われた「イタリア芸術音楽祭」の終了後、池田先生の姿を見つけた未来っ子たちが駆け寄ってきた。先生は「写真を撮ろう!」と声をかけた。撮影の折、先生はユーモアを込めて「チーーーズ」と「チーズ」の音を長く伸ばした。声を合わせて、「チーズ」と言う子どもたちの表情に、満面の笑みが浮かぶ。皆、かけがえのない使命の人。先生は、笑顔輝く幸福の人生をと祈りつつ、記念のカメラに納まった(1992年6月)
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 1966年4月23日、高等部の代表への4回目となる御書講義が行われた。「諸法実相抄」「生死一大事血脈抄」の講義を終え、この4回目から「佐渡御書」に移った。
 講義の折、池田先生が特に力を込めて解説した御文がある。「悪王の正法を破るに」(新1286・全957)から「正法を惜しむ心の強盛なるべし」(同)までの一節だ。
 先生は「『佐渡御書』の肝心要はこの段です」と語り、こう続けた。
 「『師子王の如くなる心』とは困難にぶつかった場合に、題目を唱え抜いていく心です。しかし、題目を唱えることは、誰にでもできます」
 「本物の師子王の心とは、広宣流布という戦いの一念、戦いの信心がなくてはいけない。受け身ではなく、積極的でなくてはならない」
 「“よーし、やるぞ! 皆が退転しても、自分はやるぞ! 創価の主張を最後まで言い切るぞ!”――これがなくてはならない」
 この一節を拝読し、通解した高橋英明さん。「たとえ一人になっても、師子王のごとき心をもって、広布の使命を達成していく。その自覚が大事である」との師の言葉を心に刻んだ。
 高校卒業後、早稲田大学へ。学問に励みながら、学生部の活動にも率先。大学入学後の4カ月で30人と仏法対話を重ね、人生初の弘教を実らせた。
 大学院修士課程で学んでいた時、第4代の高等部長に。自らの高等部時代を思い返し、“池田先生が全精魂を注いで御書講義してくださったように、自分も全力で高等部員を励まそう”と決意した。全国を駆け巡り、後継の人材を育んだ。
 先生の御書講義から15年がたった81年、高橋さんは先生の海外平和旅に同行する。
 数年前から宗門僧らが、卑劣な学会攻撃を繰り返していた。狙いは、先生と学会員の絆の分断である。81年は、その謀略に対する本格的な反転攻勢が開始された年だった。
 同年1月、先生は北米を訪問。2月中旬には北・中米へ。さらに、5月9日からは、「海外から日本を激励するんだ」と、61日間で北半球を一周する平和旅へ出発した。その折、フランス・トレッツの欧州研修道場で行われたヨーロッパ代表者会議の席上、高橋さんは欧州書記長の任命を受けた。
 先生は高橋さんに色紙を贈った。「負けてはならない 二十年後が勝負 勝つためには 日々忍耐と題目で」とつづられていた。
 81年の20年後は、21世紀が開幕する2001年。高橋さんが高等部の時から、先生が指標として何度も示してきた年でもあった。
 “21世紀を目指し、欧州広布の発展に尽くそう”と決意し、激励に駆けた。「なぜ、広布の組織が必要なのか?」など、求道心が厚いメンバーほど、質問も多かった。だからこそ、“一方的な指導”ではなく、“双方向の対話”を心がけた。質問に次ぐ質問で、語らいは時に10時間に及ぶこともあった。
 欧州各地を歩く中で、何人ものメンバーが、先生の欧州訪問の折の出会いを原点として、奮闘している事実を知った。心血を注いだ先生の激闘ありて、欧州広布の基盤が築かれたことを心から実感した。師の戦いに続こうと、高橋さんも一人を大切にする行動に徹した。
 先生の欧州初訪問から45年がたった2006年、高橋さんは欧州議長に就任。そして、今年5月、欧州シニアアドバイザーに就いた。胸中に燃えるのは、高等部時代に学んだ「師子王の心」である。

 高等部の代表への佐渡御書の講義は、1966年5月14日にも行われた。同年6月11日には、受講生の第1期生に修了証書が授与。「鳳雛会・鳳雛グループ」として結成される。同じ日に、第2期生への「如説修行抄」の講義が始まっている。
 牧口先生が使用した御書には、随所に朱線が引かれ、書き込みがある。佐渡御書の「師子王の如くなる心をもてる者必ず仏になるべし」(全957・新1286)の一節にも朱線が引かれている。
 池田先生は、佐渡御書について、こう強調した。
 「『佐渡御書』は、いわば『創価学会の御書』と申し上げても、過言ではありません。大聖人が、燃え上がる正義の炎で綴り遺され、弟子たちの心に打ち込まれたこの御書を、学会の三代の師弟は不惜身命の信心で、色読してきたからです」
 牧口先生は、「烏鵲が鸞鳳をわらうなるべし、わらうなるべし」(新1291・全961)を折々に拝して、折伏に邁進する学会の使命を宣揚した。
 戸田先生は、1956年の「大阪の戦い」の折、中之島の中央公会堂で佐渡御書を講義し、不可能を可能にする戦いに挑む友を励ました。
 池田先生が若き日、恩師の事業が苦境に立たされた絶体絶命の中、繰り返し拝読したのが、佐渡御書だった。
 戸田先生が1951年5月3日に第2代会長に就任する直前、池田先生は佐渡御書を拝読。同年4月27・28日の日記に、佐渡御書の一節を記した。
 池田先生は述べている。
 「私にとって、『佐渡御書』とは、恩師とともに拝して逆境を乗り越えた『師弟勝利の御書』となりました」
 「偉大な師弟の道を、師子王の心で語り抜いていく、一対一の正義の対話。ここに『佐渡御書』の実践があります」

「佐渡御書」は学会の根本精神

 「佐渡御書」は、いわば「創価学会の御書」と申し上げても、過言ではありません。
 日蓮大聖人が、燃え上がる正義の炎で綴り遺され、弟子たちの心に打ち込まれたこの御書を、学会の三代の師弟は不惜身命の信心で、色読してきたからです。


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