スミダマンのほのぼの奮戦記

~グルメ・旅・仕事・自然・地域~あらゆる出来事をフラッシュバック。

八ッ場ダム PARTⅡ

2017-10-17 06:42:14 | お仕事

さいたま市建設業協会浦和支部の一泊研修で群馬県の

八ッ場ダム視察研修に行って来た。この現場ダム工事見学は

国土交通省関東地方整備局が今年3月23日から「やんばツアーズ」と

称して始めた。見学プランは目的別によって個人向け5コースと

団体向け5コースがある。浦和支部は土木技術者・土木系学生向け

最先端の八ッ場見学ツアーを申し込んだ。このコースは1日3回、

40分又は80分、原則は10名~50名の団体が対象だ。

尚、土、日、祝日は休みだ。(2015-9-2付ブログPARTⅠ参照)

始めに、ダム現場から車で数分の所にある「なるほどやんば資料館

(やんば体験工房)」で八ッ場ダム工事事務所地域振興課の方から

パワーポイントで建設工事の概要説明を受ける。

八ッ場ダム建設計画のスタートは昭和22年関東地方を襲って

大被害をもたらしたカスリーン台風がキッカケだそうだ。

調査開始から40年、43年のH4、7年に長野原町、吾妻町と

基本協定を締結、ここから事業が本格的に動き出した。

H21年9月に「コンクリートから人へ」の政策を掲げた民主党政権の

前原誠司国交大臣が中止表明。その後H23年12月に事業継続を表明。

政治に翻弄された期間だった。

当ダムは動式コンクリートダムで高さ116m、長さ290.8m、

総貯水容量は1億750万m3(東京ドーム約87杯分)

全国で46番目の規模。現状の総予算は6800億円。

八ッ場ダムの役割は大雑把に言って以下の通りだ。

・吾妻川にはダムが無い為、上流域でバランスよく洪水調節をする。

・水道用水として安定的に取水が可能になる。

(群馬県、埼玉県、東京都、千葉県、茨城県)

・発電機能 4200万kw/H。12000軒の年間電力量がある。

環境観光面から1万桜プロジェクトに取り組んでいる。

その為の募金して当協会浦和支部として1万円を寄付してきた。

いよいよ現場視察。当然安全面からヘルメット着用。

ダム上部40分と下部40分へレッツゴー!

ダム上部入口へバスで移動。因みに個人コースとして期間限定で

ホタル観賞と夜間工事見学、吾妻峡の紅葉ダム見学、

真冬の新名物樹氷とダム見学、八ッ場ダムファン倶楽部(ダム愛好会)

特別見学などユニークなコース企画もある。

構内に入ると巨大な鉄骨の柱が3本目に勢ってきた。

これは対岸の鉄骨柱を結んでロープが張られ、コンクリートホッパーなどの

資材を運ぶのに使用している様だ。

入口から上部現場へ行く為に造られた仮設の構台。現場が峡谷なだけに

丸柱の鉄骨を使った柱は迫力があって下を覗くと怖い様だ。

一部肝試しになる床がネット状になって張り出したコーナーがあった。

一番奥まった所に工事現場を見下ろすことができる見学エリアがある。

仮設の手すりが付いているものの高所恐怖症の人には血が引いてしまいそうな高さだ。

現在の工程は仮排水トンネル工事、掘削工事が終わって

コンクリ―ト打設工程に入っているそうだ。工事は昼夜24時間

3交代制でハイピッチで進んでいるそうだ。

2本の黒い蛇腹のようなものは取水口らしい。

対岸の上部に見える2棟の黒っぽいものはコンクリートの仮設プラントだ。

その下に茶色く線になっているのが10km先にある

骨材(砂利)の採石場から運んでくるベルトコンベアー。

これを聞いただけでもダムの雄大さが分かる。

上の写真の紅白のクレーンの下が吾妻川の下流の仮水路

下の写真は上流部分の水路 

名勝吾妻峡の環境を考えて当初計画より約600m上流に位置を変更したとの事。

ダム現場の先にはかつての名勝吾妻峡の一部が見えた。

以前紅葉時期にこの峡谷をハイキングしたが

もうできなくなったと思うと複雑な気持ちになる。

ダム工事と並行して発電所工事も進められている。この工事を

施工してるのは清水・池原・都のJVだ。尚ダム全体の工事は

清水・鉄建・IHIの共同企業体が請け負っている。

八ッ場ダム内部のコンクリートは「RCD工法」

(Roller Compacted Dam-Concrete工法)で施工している。

これは超硬練りのコンクリートでスランプ0。(信じられない)。

これをブルドーザーで敷き均し、振動ローラーで締め固める工法で、

いかに早く安く打設できるかを研究して採用された。

10km先の骨材プラントで生産されている骨材サンプル。

G1、G2、G3、Sの4種で最大G1でも80~40mmと想像していたより

ずーっと細かい。確か昔のダムは玉石のような大きな石を使っていた

イメージがあったが、RCD工法は小さ目の方が施工によいのだろう。

仮設バリケードには全国でも人気の高いユルキャラぐんまチャンを

使っていた。現場の固いイメージをちょっとでも和らげるのに良い発想だと思った。

上部の見学を終わって今度は下部に移動。昔よく通った旧道から

山を登って旧JR吾妻線線路をしばらく歩いていく。

線路の上を歩くのはなんとも不思議な感覚だった。

下部から見たダム本体。左サイドに2ヶ所排水口が見える。

髙く削られた壁面、真ん中に足場が掛けられている両サイドに

台形状にブルーのラインが見える所がダム本体の位置になる。

2棟のプラントの手前下の方に白く写っている所がプラントの

コントロールセンターで練られたコンクリートホッパー(5.5m)は

キャリア数十年のベテラン運転者によって数センチ単位の誤差で操作されているとか。

 

この2基のクレーンは日本で数台しかない巨大クレーンだそうだ。

上部で見た2つの蛇腹状の取水口は下部に降りて見るとこれも巨大だ。

コンクリート打設は紹介した内部コンクリートと巡航RCD工法を用いた

外部コンクリートの2種類ある。こちらはコンクリートスランプは3㎝だそうだ。

因みに一般建築で使用するコンクリートスランプは

18㎝~15㎝だから恐ろしい程硬い。

八ッ場ダム建設予定地内には、源頼朝が発見したと伝わる

川原温泉があったが、ダムの為に沈み、他の地に移転した。

奇祭の湯かけ祭りが毎年厳冬の朝に賑やかに行われていたが

今はどうしているのだろう。

 

 


最新の画像もっと見る