興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

e-セラピー(メールカウンセリング、メールセラピー、e-therapy)

2014-02-19 | ┣ サービス内容

 サイコセラピー(心理カウンセリング)は、通常、クライアントとセラピストの一対一の面談が前提となっています。近年は、ITの分野の革新で、Skypeなどを用いたセラピーをする心理カウンセラーも増えていますが、これも、一対一の面談です。また、Skypeなどが出てくる前から、電話による心理カウンセリングはありましたが、これも、ふたりの人間が一定の時間を共有して、対話を用いて行うものです。

 しかし、こうしたリアルタイムにおける対話によるサイコセラピーがオプションにない、という方は少なからずいます。そういう方のために、今回紹介するのが、e-セラピー(e-therapy、メールカウンセリング)、Emailによるセラピーです。これは、一般にLetter therapy(レターセラピー、手紙療法)と呼ばれる種類の心理療法に属します。

 この方法は、日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは意外と多くのサイコセラピストがずっと以前から行っています。まだインターネットが一般にでてきたばかりで、ダイアルアップによる回線がメインであった頃からです。

 実をいいますと、文面によるこころの治療の歴史は長く、フロイトが行っていた記録もありますし、我が国の森田療法の創始者、森田正馬氏も、20世紀前半に、かなり頻繁にこの手法を使って治療をしていたことが知られています。まだ電話も今のように普及していないその時代、遠方に住んでいて彼の治療にありつけない人たちを相手に、それは必然的なことだったのでしょう、彼は熱心に患者のために書き続け、その治療は実際かなりの成果を出していたようです(ところで、ご存知の方もいると思いますが、彼の森田療法は、患者に日記をつけさせて、それを彼が閲覧し、コメント、フィードバックを書いて、患者に返す、という交換日記のような活動が、大事な要素になっています。のちほどお話しますが、自分の気持ち、思考、経験などを、じっくりと文章にしてみることには、それ自体にかなりの治療効果があります)。

 さて、話を本題に戻しますが、e-セラピー、レターセラピーは、面談によるオーソドックスな心理カウンセリングの「代用」とは別に、通常の心理カウンセリングにはない、レターセラピーならではの利点もたくさんあります。

 たとえば、実際に誰かと話そうとすると、どうしても緊張してしまって話せない、という方もいますし、誰かと会って自分の話をするのはどうしても抵抗がある、という方もいます。また、話すよりも書くほうが得意、自分の考えを時間をかけて書き出してみて、その文面を通して治療を受けたい、という方もいます。

 それから、通常の面会やスカイプ、電話でも構わないけど、そこまでの時間は必要でない、そこまでの時間はない、でも困ったことがあって、専門家に聞いてもらって適切なガイダンスなどを受けて考えたい、解決したい、だから、ちょっとした空き時間に文章を書いていって、まとまったものができたらセラピストにそれを送って読んでもらい、それについてフィードバックをもらいながら問題に対する理解を深めていきたい、という方もいます。こういう方たちにとって、e-セラピーは非常に便利なオプションです。

 それから、e-セラピーにおいては、あなたとセラピストが二人にとって同時に都合のよい時間を見つけなくてもいいので、あなたに時間のあるときに相談内容を書き出していって、それをEmailでセラピストに送信し、セラピストからの返信によるフィードバック、アドバイスなども、あなたの時間のあるときに読む、ということができます。また、文面ですので、繰り返し読むこともでき、覚えやすく、忘れにくい、という利点もあります。

 さらに、先ほど触れましたように、ひとが自分の気持ち、思考、体験などについて文章にするという活動は、それ自体がその人のメンタルヘルスにおいて良いことは科学的に知られています。また、手紙を頻繁に出す人は、出さない人と比べて、こころの状態が良い傾向にあることも、良く知られています。これは、あなたが、あなた自身の手紙を書く体験を振り返って思い起こしてみると、結構しっくりいく事実ではないでしょうか。ひとは、「書く」という行為によって、様々なものを得ています。というのも、自分について書くには、まず、自分自身と向き合わなければならず、書く、という行為によって、その直前までは漠然としていたものが、言語によって、形を得て、自分の中で、具現化されていきます(これを専門的には、Symbolization、象徴化、といいます)。

 頭のなかの漠然としたものが、言語によって象徴化されることで、あなたの意識は高まります。また、思考がより明確になります。ひとがよくなる大前提に、「自分が何を感じているのか、考えているのか、きちんと自覚している」ことがありますが、書くことは、このコンディションを促進します。

 こうしたことも大きいですが、執筆があなたのこころにもたらす良い影響の最大の要素は、書くことで自分を表現することによるカタルシス(こころの浄化作用)だといわれています。あなたがこころのうちに秘めていたものを、言葉によって「吐き出す」こと自体に、こころにおける大きな解毒作用があるわけです。

 しかし、経験のある方も多いと思いますが、日記や文章によって吐き出すことで、気持ちを整理することで、それなりの精神状態の改善は経験したものの、根本的な変化には結びつかなかった、というひとは多いです。それにはいろいろな理由が考えられますが、たとえばそこには、あなたがそのときに抱えている問題の深さにもよります。たとえば、仕事において誰かとちょっとした諍いがあり、気持ちがもやもやするときに、ちょっと書き出してみて、自分の経験、考え、気持ちが明白になり、それで問題が解消する、ということはよくありますが、もっと根の深い問題となると、ひとりで書くだけでは十分ではありません。

 また、カタルシスを得るには、「吐き出すべきもの」をきちんと吐き出さないといけないのですが、ひとは往々にして、どう吐き出していいか、何を吐き出せばいいのかわかりません。まず、多くの「心の毒」は、無意識のなかにあるので、それを意識して書き出すには、そのための手がかり、適切な質問、ガイダンスが必要です。これは、「自己分析」の限界点と良く似ています。

 それから、人間は、対話する生き物で、誰かに聞いてもらう、理解してもらう、という体験が必要です。何かに悩んでいて、誰かに手紙を書いて打ち明けて相談し、返事をもらって気持ちが晴れたり、とてもこころが軽くなったりした経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。また、悩みではなく、何かよいことがあって、それについて手紙を出したら、返事をもらって、喜びが倍増した、という経験のある方も多いことでしょう。

 そういうわけで、基本的に、1)あなたの気持ち、考え、経験を文章にするのはよいこと、2)あなたが信頼できる親しい人にそうした自分の気持ちを手紙にして伝えてみるのはもっといいこと、が、ここまででわかりました。ラインなどで、短い文章によるチャットをするものいいですが、定期的に、Emailを含め、少しまとまった文章を書いて誰か親しい人に送る、シェアする、という活動は、あなたのメンタルヘルスを促進することでしょう。

 しかしひとは、親しいひとにも話せない悩みもありますし、また、打ち解けて話せる人がいない、ということ自体が悩みのひとも、たくさんいます。さらには、当然のことですが、普段の生活の人間関係内で手紙を出すことでこころの問題を解決するには限界があります。この限界点は、あなたの日常生活圏の人たちとの会話、相談の限界点と同様なものです。それは、あなたの抱えている問題の深刻さ、複雑さなどに比例します。

 そういうときに適切なのが、今回紹介しているe-セラピーです。

 完全な秘密厳守のもと、利害関係の存在しないこころの専門家に、あなたの悩みを時間をかけて文章にして伝えるとき、あなたはまず、「理解されている、聞いてもらえている」、という経験をします。また、専門家ならではの絶妙でタイムリーな質問やガイダンスによって、一般的な手紙のやり取りでは得られない深い洞察、それまで無意識であったものに対する理解が得られます。先に触れた、「吐き出せる」手がかりとなる質問もこれに当たります。こころの下剤のようなものです。さらに、ホームワークなど含めて、あなたの実生活で心がけること、建設的な行動、改善のヒントなどを、文面でわかりやすく与えられ、また、実際にそれらを試してみてうまくいったときは、さらに良い行動へのフィードバック、または、その良い行動の維持、それから、もしそれらがうまくいかなかったときの、別の方法、オプションなどの提案などをしてもらい、そうしたガイダンスを受けます。そうした新しい体験をさらに文章にしながら、良くなっていきます。

 私が提供するe-セラピーは、ここのブログの読者さんからの相談の記事をずっと深く掘り下げたものです。まず、当然ながら、この公の場でいただいた相談については、相談者の方のプライバシーなどの配慮から、こちらからできる質問も限られていますし、また、相談者の方の情報も、必要最低限のものなので、どうしても、一般的な回答になってしまいます。しかし、こうした束縛がないe-セラピーにおいては、あなたは心置きなく個人的なことが書けますし、こちらも大切な質問を必要なだけ気兼ねなくできますし、また、より個人的で深いフィードバック、洞察を提供することができます。

 いろいろな理由から、心理カウンセリングに通うのは難しいけど、私のサービスを受けてみたい、とお考えの方、この機会に、ぜひ、e-セラピーを試してみてください。e-セラピーを始めるのに早すぎることも遅すぎることもありません。やってみたい、と思った時が、適切な時期です。

以下が、e-セラピーの具体的なサービスです。

 

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e-セラピー@くろかわ心理学サービス

1)e-セラピーを受けたいという旨を、drtakakurokawa@gmail.com宛に、Emailにてお知らせください。

2)あなたからのEmailを受け取りましたら、料金7000円の振り込み先を、そのEmailにてお伝えします。ペイパルでのお支払いも受け付けております。

3)振り込みが確認できましたら、その旨を再びEmailにてあなたにお伝えします。この時点で、相談開始です。

4)1回のe-セラピー(税込み7000円)は、往復2回までのEmailが可能です。

5)あなたからEmailを頂きましたら、私は極力1週間以内に返信します。あなたには、その必要はありません。ゆっくり考えて、返信してください。

6) 必ずしも2往復しなければならないわけではなく、もし、たとえば1回目の私の回答で満足いただけたら、その旨をお伝えください。その時点で1セッション終了します。それから、2往復で足りない場合、もちろん、2セッション目のサービスとして相談を続けられます。

(2019年6月現在)