思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

LonelyじゃなくてAloneのほうに・加島祥造・姜尚中・中村元

2013年10月20日 | 思考探究

[思考] ブログ村キーワード

育てるという言葉がある。木々を育てる。子供を育てる。自分が主体となり客体の他者を育てる。育成することであり一から育てる。

 他者を育てるをさらに視点を変え我が人生という反省の視点で見つめると「自分を育てる」という言葉になるのを思うに至る。

 個別的、唯一性そこに絶対の私がいるわけですが間主観性の只中に他者というものを意識せざるを得ない。「育てる」という言葉はつくり上げる、そうならざるを得ない生そのものがある。

 他者との対話、自分との対話。これも育てるの中にないでは済まされない。

 自分を育てるの対話の中に、植物との対話がある。「草木よくものいう」言葉が記紀の時代からあるように日本列島の春夏秋冬に生き、自然との関わりの中で培われた精神性の現れから生れた感情意識を表わす言葉で、道元さんは「心心如木石」と語り発無上心、発菩提心の根柢の中においている。

 一ヵ月間、自分の樹木を選定し、対話をする。それを日記に毎日書く。情操教育の一環として実際に学校教育の中で取り上げて実践をされている方がおられるが、まさにこの草木よくものいう育てる世界の実践です。

 はじめのうちは「気は何もしゃべらない」樹木に話をくり返し続けているうちに悩みを語りかける自分が生まれる。一か月たつと「木は僕の話をいつも聴いてくれる」・・・その内に応えてくれるのである。

 昨夜は伊那谷の老子加島祥造のETV特集「ひとりだ でも淋しくはない~詩人・加島祥造 90歳~」が放送されていた。『求めない』『受け入れる』という詩集を出され多くの愛読者がおられ私も過去に加島さんを語ったことがある。

 この番組に『心』の著者姜尚中さんが人生の交流の中に、「育て」の中に、互いの見つめ方の共感性から出演されていた。


(ETV特集「ひとりだ でも淋しくはない~詩人・加島祥造 90歳~」から)

 姜さんはNHKの日曜美術館案内人の時からフランクルの『夜と霧』をへて大変その生き方に引き寄せられている方で、また昨夜は遇ってしまった。番組ではしきりに「人生の不思議」という言葉が出てきましたが、私にもこの不思議が現れる。


(ETV特集「ひとりだ でも淋しくはない~詩人・加島祥造 90歳~」から)

 50代ころからそれぞれに「LonelyじゃなくてAlone」への「Step up」の機会が人には与えられるようだ。

 加島さんは、番組の中で「息子さんの死・自分の生き方」の苦悩する姜尚中さんの後ろ姿に「LonelyじゃなくてAlone」への「Step up」を見た。

 この文章を書き終わりいつもの「こころの時代」の時間になりました。今日は原始仏教学者の中村元先生の「ブッダの人と思想」でEテレ「こころの時代」で全12回のシリーズ(1995年4月~1996年3月)で放送されたアンコール放送です。私の原始仏教への育てのきっかけはこの番組で、春秋社の分厚い『原始仏教典』の解説本は今も座右の書であり続けている。

 「天上天下唯我独尊」はお釈迦様の言葉だが、「LonelyじゃなくてAloneのほうに」の世界の言葉で、唯一性の存在を観る中に個別性と普遍性の求めの姿があることを知る。存在とはそれがそのままに(矛盾のままに)に同一に成って在ること。実存することの立ち現れの姿で人はそこへゆく・・・「ゆく」は「行く」「逝く」「往く」「征く」・・・なのである。

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