よく出来た脚本ですね。人間の人生が一転二転するところがシニカルでユーモアがあり、人類史上でももっともな悲劇のホロコーストを底辺に控えながらのこのコメディタッチは秀逸の一言。人間の大きさまで感じさせます。
ある一枚のデッサンで歴史が変わろうとしているんですね。それと同じく人種の相違と言うだけで人が生き死にする地獄も目の前にある苛酷な事実。それをモチーフに人間の愚かさ、哀しさ、大きさ、愛の強さ、友情、家族愛等々ダイナミックな脚本と共に軽やかな演出タッチで描いてゆく。
ヴィクトルと幼馴染のルディという対立人間観がこの映画のミソですね。彼らも奇しくも時代が生んだライバルなんだ。しかし、最後まで彼ら二人は憎み合っていないという雰囲気がこの映画の余韻を生み、大きさを感じるところですね。
この題材にしてこの映画、ほとんどコメディタッチに徹しているところがすごい。この題材をそのままリアルに描いてもそこらその他のナチスものにしか出来得ないことをスタッフは知っている。このナイスアイデアはやはりユダヤ系の人の成せる技なるかな。懐が大きい。
だからこそ製作がオーストリアなのかな。ドイツ人俳優はおれど、ドイツ色があまり感じられないのはこのナチスへのおとぼけイメージが過ぎるからでしょうか、、。
個人的には【マルト・ケラー】が際立つ美女に見えました。懐かしさと共にこれほど美しく老けていくというのは女優の醍醐味ではないか、と思えるほど。 即『悲愁』を思い浮かべてしまいました。
お元気ですか?
遅ればせながら私もこの作品を昨日見てきました。
面白い!私はこんな感性の作品が大好きです。
「ヒトラーの贋札」は少し重かったですが、サスペンスでありながらユーモアさえ携え、ナチスを小馬鹿にするようなこちらの作風の方が私には合います。
また、いい作品を紹介してください。
映画的センスはこの映画、絶大ですね。題名がちょっと気に入りませんが、これは配給会社の巧みな罠でしょうね。日本人はアートに弱いですから。
館長様のブログにも日参しております。
それでは。