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新源氏物語 (1963/日)(森一生) 80点

2007-10-09 21:31:23 | 映画遍歴
思ったより源氏のストーリーを無理に改ざんすることのない素直な源氏物語であったなあというのがまず感想。
桐壺の更衣の出だしから光の君のどマザコン、藤壺との密会に至るまで限られた時間で簡潔にしかもきっちりとテーマ性までに辿り着く描き方だ。すなわち藤壺への強引な横慕を軸に、彼らの子供(東宮)の将来のために得度する藤壺(母親)、すべての官職を捨て去り謹慎する光の君(父親)は底に仏教的な諦観があるものの完全なファミリー劇でもあるのだ。
うーん、期待以上の源氏物語解釈で、うなりました。森一生はもっと評価されていい監督だ。
個別には市川雷蔵は美的とはいえないが、光源氏の雰囲気がなくはない。心理的演技もまあ出来ている。驚いたのは寿美花代だ。結構藤壺のイメージに近かった。これは演出によるところが多いのかもしれない。
若尾文子の葵上は上等。水戸光子の弘徽殿の女御は秀逸。中田康子の六条御息所も思ったよりいい。
朧月夜の中村玉緒は女性の色気がまったく無くミスキャスト。水谷良重の末摘花も風情があるが、夕顔のシーンが無いのが不満。惟光が重要な配役になっているのはなかなか面白く、この映画の成功の秘密の一つであろう。
秀作だ。

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