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Qbic!!『社会人劇団短編上演フェスティバル』(箱庭計画他5劇団)(於・independ1st) 85点

2016-07-17 20:28:11 | 演劇遍歴

今日は演劇の一日仕事。何しろ6劇団の30分ショートを2回に分けて観る。既成の劇団だがみんな若い。そこがとても楽しみな部分である。

まず「箱庭計画 紺青タンザナイト」。前作「アインザッツは鳴り止まない」 はSFものだったが、今回は何と180度違う清冽な恋愛もの。男は高飛車な女性と同棲していたが、女は男に魅力を感じず部屋を出る。仕事にも挫折した男はビルの屋上から飛び降りようとするが、、。

水が地面から自然に湧き出るように清らかで美しいラブストーリーである。この劇を観て人のいとおしさ、ぬくもりの大切さを自覚する。のっけから素晴らしい劇であった。

2話目「有馬九丁目 Last noodles exp.」。 中華料理屋と車のディーラーとの結びつきはいかに、、。コメディタッチの中にも心の芯からほとばしる温かみを感ず。充実した演劇である。俳優の掛け合いが楽しい。

3話目「Contondo 詩劇 水仙と木魚」。 何と30分、独りで早口で詩を奏でる。しかも独りきりで手振り身振りで一つの演劇を行っている。本を読む倍の速さでしゃべっているので実際上は60分ぐらいのセリフ量である。その間、まったくのトチリがない。驚異的だ。

けれど三好十郎の原作ものは時代性を感じ、決して内容も華やかなものではないので見る方はちときつい。30分でこの詩劇を収めるのはきつかったのかなあ。それでもこの女優の一本気は決して忘れない。

午前の部が終わる。

午後の部。

4話目「劇団うんこなまず karaoke」。8人の若い男女。カラオケボックスにいる。自由に会話をする。歌など歌わないようだ。この若いというだけで何の関係性も持たない現代のしょぼさをじわじわ感じる。その空間はまるで脚本がないような自由さである。でも俳優たちは演技的には逆に難しいのではないだろうか。

この前見た冷凍うさぎの劇から流れてきた俳優たちが多かったので、僕は違う意味で楽しかった。その中でも森岡さんとまつながさんの演技は光っていた。森岡さんは冷凍の主催者でもあり演出者なんだが、彼の演技そのものをじっくり見ることができたのは収穫。俳優としても優秀なんだね。珍しいタイプだと思う。

5話目「崖淵五次元 はたらくオッサン」。この劇団は多種多彩な演劇を見せてくれる。なんにでも挑戦している感がする。林和弥さんの思い切りのいい、切れのいいところがこの劇団の魅力である。それには都美佳さんの適宜なセクシーさも加味して、楽しませてくれる。

とにかく今回もいかに観客を楽しませることができるのかがテーマのように思えた。彼の前ではスランプなどこれからもないのではあるまいか。

6話目「MEHEM for{"look!!"};」。初めての劇団である。でもどこかで見た俳優さんもいる。出し物は人間と動物との土着因習もの。だんだん恐くなってくる。ホラーでさえある。あの小さな舞台が大きく感じさせられた。秀逸。

朝から家を出て帰りはもう夕刻。いやあ、楽しかった。このフェスティバルを予約したとき、もう梅雨明けはしているだろうし、酷暑の中、この老体に鞭打って、演劇を通算3時間も見るなんて正気の沙汰じゃないと訝っていたが、まあどうにか通過しました。いい経験でした。


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