登場人物30数名。この小説だけは冒頭の主な登場人物名を何度読み返したことか。
事件が新聞記事になるまでのプロセスが本当によく分かり、今更ながら記者たちの苦労に頭が下がります。社会部が中心なのだが、記事のレイアウトをする整理部にまでその著述が及ぶ。これもたまらない面白さである。
7年前の児童連続誘拐事件によるミスで大いなる社会的責任を取らされた3人のジャーナリスト。同じような事件が現代に再現され、3人はそれぞれまた動き始める、といった展開なのだが、人物描写も冴え渡る。
事件のウラ取りに邁進する記者たちの描写が続き、それは370ページにわたり続くのだが、ほぼ一気読みであります。ミステリーなんだが、めずらしく犯人当てではないところもユニークだ。
今や活字を読むことが少なくなった現代社会において、新聞記事の重要性、それらに関わる記者たちの命がけの仕事ぶり、またそれに関係する警察側の描写、これらがたまらなく魅力的で躍動感がある。素晴らしい。
各書評にもあるように、活字離れが激しい現代だからこそ読まれるべき記者たちの入魂の書である。今年の収穫作でもある。
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