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145gの孤独(伊岡瞬 2006)(角川書店) 85点

2009-02-22 14:32:46 | 読書遍歴
横溝正史ミステリ大賞受賞第一作という触れ込みだが、実に素晴らしい。普通第一作って受賞作より水準が低いものが多いと聞くが全くそうではない。かと言って、僕は彼の受賞作をまだ読んでいないので実際のところ何ともいえないのだが、、。

華やかなスポットライトを浴びていた人がふとしたことから社会の底辺ともいうべき暗闇をうごめきまわる生活を強いられる。そこにあるのは希望をなくしたはかない人生のともし火だが、4エピソードの果てにゆっくりと炎が揺れ始める。

素晴らしいラスト。連作に見えて実際は長編であるミステリー風構成。この人の力量はたいしたものと感服した。明るいまっすぐな作品も好きだけれど、こういう挫折感で埋まってしまう日常をしっかりと捉えた作品は僕の嗜好でもある。ネガティブな登場人物が多いミステリーだが、このように人生の陰影をしっかりと届けてくれる作品は今の僕にはしっくり合う。これだけいいのに評判になっていないのも不思議だが、、。

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