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捨て猫という名前の猫(2009 樋口 有介 著 東京創元社) 80点

2015-07-01 23:19:40 | 読書遍歴

ミステリーでも書けているかどうかがいい小説の評価につながる。ストーリー、トリックなどに追われて肝心の人間描写が浅いものもよく見られる。

それはミステリーだから仕方がないと思う人もいるが、ミステリーでもじっくり書いてほしい。それは小説全般に言えることである。

中年探偵(刑事上がりのルポライター)柚木草平の心情吐露が超いい。女性との掛け合い会話がとても楽しい。日本版フィリップ・マーロウでもある。いいなあ。行間のアイロニーが素晴らしい。

本作は少女の自殺を発端に新たな殺人、暗い過去、売春の現代的意味が語られる。二転三転しすっかりミステリーの楽しさにどっぷり浸かっている。上質のミステリーの証拠である。

樋口の本は今まであまり読んでいないのでこれからとても楽しみである。


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