Sightsong

自縄自縛日記

海原修平写真展『遠い記憶 上海』

2012-03-18 00:42:57 | 中国・台湾

研究者のTさんを誘って、海原修平さんが新宿ゴールデン街の「十月」で開いている写真展『遠い記憶 上海』に足を運んだ。「十月」は、海原さんに紹介してもらって以来だが、やっぱりなかなか辿りつけず右往左往した。

古今の上海の姿を捉えた写真群である。キヤノン5Dに、FD時代のレンズ(50mmF1.4、85mmF1.8、FD35mmF2)を付けて撮ったという。まずは、これらのレンズによるソフトな描写。エッジがふわりとして、光の周辺は滲み、逆に白地に黒が滲みだしてさえいる。いつどこの世界なのか、まるで「記憶から薄れかけた夢」のようだ。

そして、被写体たる上海は、古い時代の残滓であるだけに、嬉しいような哀しいような気分。特に、南京路で、何故か一輪車に乗る男が前ボケの中に存在する写真は何ともいえず魅力的で、しばらく酒を呑み、海原さんや他のお客さんと話しながら、何度も観てしまう。また上海に行きたいなあ。

「十月」は相変わらずいい雰囲気で、程なくして満員になった。カウンターと壁との間はさほど広くないから、写真をじっくり観るなら、開店早々のほうがよいと思う。

ところで、写真を観る前に、数軒隣の「」でラーメンを食べた。少し前に、何かのテレビ番組で紹介していたことを覚えていたのだ。店は2階にあり、まずはその2階で食券を買う。それを店員に渡し、一端階下に降りて外の路地で並んで待つ。店から入口脇まで妙なパイプが伸びており、座ってよいとなれば、そのパイプを通じて声が聞えるという仕組みである。店は極めて狭く、食べ終えた他の客が出ようとすると、一緒に立ちあがって避難しなければならない。

スープには煮干しのダシがかなり出ている。麺はちぢれていて、その中に、敢えてラザニアのような幅広の麺が入っている。かなり旨い。

●参照
半年ぶりの新宿思い出横丁とゴールデン街
三田の「みの」、ジム・ブラック
海原写真の秘密、ヨゼフ・スデク『Prazsky Chodec』
海原修平『消逝的老街』 パノラマの眼、90年代後半の上海
2010年5月、上海の社交ダンス


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。