Sightsong

自縄自縛日記

ドン・チードル『MILES AHEAD マイルス・デイヴィス空白の5年間』

2016-11-10 14:14:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

ドン・チードル『MILES AHEAD マイルス・デイヴィス空白の5年間』(2015年)をDVDで観る。マイルス・デイヴィスの伝記映画であり、主に、1970年代後半の休息期間に焦点を当てている。

物語は時間をジャンプするが、さほど複雑でもなく、マイルスの音楽の変遷をある程度知っていれば混乱することはない。

興味深い場面はいくつもある。『Porgy and Bess』の収録場面(ギル・エヴァンス役がイケメンすぎる)。『Kind of Blue』メンバーでのライヴ(キャノンボール・アダレイ役もビル・エヴァンス役も暗くて似ているかどうかわからない)。『Nefertiti』の練習場面(ハービー・ハンコック役がショボい)。そして復帰後の『We Want Miles』的なセッション(エンディング)では、エスペランサ・スポルディング、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロバート・グラスパー、アントニオ・サンチェスらが愉しそうにマイルス役のチードルと演奏している。マイルスが結婚したフランシス夫人役の顔に合わせて、『Someday My Prince Will Come』のジャケットも修正。演奏の合間にジャズクラブの外で煙草を吸っていると、レイシストの警官に殴られ拘束される有名な逸話の再現。

しかし、それはそれとして、映画の出来はあまり良くない。チードルはマイルスにあまりにも似ておらず、貫禄もなく、そのことがずっと気になってしまう。ロバート・バドロー『ブルーに生まれついて』におけるマイルス役のケダー・ブラウンのほうが1万倍はマシだ。

また、『Roling Stone』誌の記者(架空の存在、ユアン・マクレガー)との諍いや、コロムビア社とのギャングの抗争ばりの闘いが、映画を中途半端なアクション物にしてしまっている。

結論は、「マイルスが好きで、あれこれツッコミを入れたいのであれば、観ても損はしないのではないか」。

●参照
MOPDtK『Blue』
『A Tribute to Miles Davis』
マイルス・デイヴィスの1964年日本ライヴと魔人
キャノンボール・アダレイ『Somethin' Else』


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。