ポン・ジュノ『殺人の追憶』(2003年)を観る。
まずは、刑事役のソン・ガンホの味わいに感心する。ちょっと粗暴だが人間味があって、パク・チャヌク『JSA』やキム・ジウン『グッド・バッド・ウィアード』(もちろん、原題が同じセルジオ・レオーネ『荒野のガンマン』の韓国版)でも忘れがたい演技をしていた。
映画は、韓国の田舎において80年代に起きた連続猟奇的殺人事件を題材にしている。かつての警察のひどい捜査や犯人の捏造を描いている一方、イ・ギュマン『カエル少年失踪殺人事件』と同様に、「異常者が社会の中で野放しにされている」というメッセージもあるようで、ちょっとそれも病理ではなかろうかと気になることだった。