Sightsong

自縄自縛日記

高嶺剛『パラダイスビュー』

2015-04-26 07:16:26 | 沖縄

高嶺剛『パラダイスビュー』(1985年)を観る。沖縄にも映画にも詳しいOさんが貸してくださった。

「復帰」前の沖縄。チルー(戸川純)は、想いを寄せるレイシュー(小林薫)のマブイ(魂)が落ち、犬に喰われる夢を見る。それはすなわち、神隠しのしらせであり、ろくなことにならない。一方、沖縄人以上に沖縄を愛するヤマトンチュー(細野晴臣)は、ナビーと結婚しようとしていた。周囲は、ヤマトンチューは異民族でもないし結婚を許してもよいだろうとする。しかし、そのナビーは「毛遊び」でレイシューと関係し、妊娠してしまう。やがてレイシューは、チルーの複雑な感情ゆえ警察に逮捕されるが、護送車が独立派に襲撃され、その間に逃走する。レイシューは破滅へと向かっていく。

高嶺剛の映画は、いまも昔も変わらず生暖かく、けだるい。観ているとドラッグが脳内に浸透してきて、覚醒して観ているのかどうかわからなくなってくる。やはり戸川純と小林薫を起用した『ウンタマギルー』(1989年)が傑作として名高いが、『パラダイスビュー』も魔力は同等以上だ。

すべて沖縄語を使い(日本語の字幕付き)、照屋林助、嘉手苅林昌、宮里榮弘といった沖縄芸能の達者たちを登場させているという点でも画期的な映画だと言うことができる。しかし、商業的に成功するのは、この手法を使い、より観る者に迎合した『ナビーの恋』などの二次利用作品なのだった、ということにふと気が付いてしまう。

●参照
高嶺剛『夢幻琉球・つるヘンリー』 けだるいクロスボーダー
沖縄・プリズム1872-2008(高嶺剛『オキナワン・ドリーム・ショー』)


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