張芸謀(チャン・イーモウ)の作品を2本続けて観た。『HERO』は中古500円コーナーにあった。また、『紅夢』は数年前に中国のどこかで20元くらい(約250円)で買ってそのまま積んでいた。
■ 『HERO』(2002年)
ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイーという豪華俳優陣にまずは圧倒されるが、ワイヤーアクションの面白さにも目が釘付けになる。決闘シーンはやや不自然なのだが(ウルトラマンのように刀を持って飛んでいく)、何しろバカバカしくて良い。数千本もの矢が飛んでくる屋敷の前に待ち構えて、マギー・チャンとジェット・リーが凄まじい速度でそれらを叩き落していくなんて最高だ。
彼らは秦王(のちの始皇帝)への刺客であり、何とか近づいて亡き者にしようとする。しかし、戦乱の世を憂い、秦に中国を統一してもらうために、義侠心から殺すのをやめる。何のことはない、国造り物語だった。
本作が大ヒットしたために同路線の次作『LOVERS』(>> リンク)を撮ったのだろうね。張芸謀がこのようなハッタリ映画に狂っていてはいけない。いやいけないこともなくて面白いのだが、張芸謀のきめ細やかな演出が活きる映画のほうが嬉しい。
■ 『紅夢』(1991年)
主人公(コン・リー)は、富豪の第四夫人として嫁ぐ。そこは古いしきたりにがんじがらめになった牢獄のような家だった。狭い世界の中で、他の夫人や使用人との憎悪と嫉妬が渦巻く。
旧弊を体現するような固定したカメラ、女性だけに特化した視線。初期の張芸謀作品ながら、既に演出の天才ぶりは明らかだ。
ロケは、山西省の平遥(>> リンク)近くにある清時代の旧家で行われている。一度訪れたことがある場所だが、あれがこうなるのかと思うと、また行きたくなってくる。
●参照
○張芸謀『初恋のきた道』(1999年)
○張芸謀『LOVERS』(2004年)
○張芸謀『単騎、千里を走る。』(2006年)
○北京五輪開会式(張芸謀+蔡國強)(2008年)
○平遥
チャン・ツィイーがけっこう「見せて」くれているのもいいですね。
カミさんは『LOVERS』の竹林での股裂きシーンがお気に入りで、順序が逆ですがその影響で『HERO』も観ました。
アクロバット的格闘シーンが多いのは、雑技団の技術が取り入れられているんでしょうかね。
それにしても、中国の映画は驚くほど画質がきれいです。
まあ、そうですね。ハッタリ極まりアート。凄いものは凄いし、工夫も満載。顔の迫力で目をくぎ付けにしてくれる俳優も、覚悟が違うというのか・・・。