リー・コニッツ『Jazz Festival Saarbrücken 2017』(Jazz Time、2017年)を聴く。
Lee Konitz (as, vo)
Florian Weber (p)
Jeremy Stratton (b)
George Schuller (ds)
2017年の9月にNYのJazz Galleryでリー・コニッツを観た。コニッツはボケたりギャグをかましたり悪態を吐いたりして、もちろんアルトも健在だった。そして驚いたことに、スキャットでまるでアルトのコニッツ節を聴かせてくれたのだった。
本盤はその翌月の10月、ザールブリュッケンのジャズフェスに登場したときの記録。フローリアン・ウェーバーのピアノトリオとの共演である。ウェーバーのピアノは、タッチがとても柔らかく、上品にためたバッキングを行う。
ここでも、コニッツらしさが存分に発揮されている。かれのアルトは、ごく若いときには引き締まった機敏なインプロであり、その後に次第にエアを含んでふくよかなものとなっていった。最近は、そのふくよかさからさらに肩の力が抜けて、気配を悟られずに猫のようにそこに来たり消えたりするような按配になってきた。もはや枯淡の境地である。
もちろんコニッツ節のスキャットも披露している。そういえば90年代の『Dig Dug Dog』にも妙なスキャットのタイトル曲があった。そこから20年をかけてここまで持ってきたのかと思うと感動さえ覚える。
毒も相変わらず持っていて、ステージの合間にしょうもないことを呟いている(それを打ち切るようにジェレミー・ストラットンがベースを弾き始め会場爆笑)。喰えない爺、最高。
●リー・コニッツ
リー・コニッツ+ダン・テファー@The Jazz Gallery(2017年)
リー・コニッツ『Frescalalto』(2015年)
リー・コニッツ+ケニー・ホイーラー『Olden Times - Live at Birdland Neuburg』(1999年)
今井和雄トリオ@なってるハウス、徹の部屋@ポレポレ坐(リー・コニッツ『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』、1999年)
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(1996年)
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』(1995年)
アルバート・マンゲルスドルフ『A Jazz Tune I Hope』、リー・コニッツとの『Art of the Duo』 (1978、83年)
アート・ファーマー+リー・コニッツ『Live in Genoa 1981』(1981年)
ギル・エヴァンス+リー・コニッツ『Heroes & Anti-Heroes』(1980年)
リー・コニッツ『Spirits』(1971年)
リー・コニッツ『Jazz at Storyville』、『In Harvard Square』(1954、55年)
●フローリアン・ウェーバー
フローリアン・ウェーバー『Criss Cross』(2014年)