Sightsong

自縄自縛日記

デイヴィッド・ブライアント@Body & Soul

2020-08-12 08:02:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

南青山のBody & Soul(2020/8/11)。

David Bryant (p)
Marty Holoubek (b)
Shun Ishiwaka 石若駿 (ds)
Guests:
Shinobu Ishizaki 石崎忍 (as)
Winter Spencer (djembe)

最初の「In Your Own Sweet Way」(ブルーベック)から、繊細で柔軟極まりないデイヴィッド・ブライアントのピアノ世界が展開される。マーティ・ホロベックもまた柔軟、石若駿はブラシからある合図を自分で出して明確な意識とともにスティックに切り替えた。続いてマーティの「Let Others Be The Judge of You」では速いベース弾き。「Nita」(ブライアント)でのイントロから水彩のように透き通るピアノと言ったら。石若さんが最後にシンバルをスティックで擦って締めた。

選曲は興味深く、次にラルフ・タウナーの「Tramonto」を演った。美しいバラードでなんどもリスタートする感覚。ブラシは静かな火花のようだ。ここでアルトの石崎忍が入り、デイヴィッドの「Coat of Arms」(家紋だという)。ゆっくりテーマを吹くアルトに複雑なベースとドラムスが周囲で踊る。石崎さんは後半入りかねているようにみえた。

セカンドセットは「Snack Bar」(ホロベック)から。それまでとコントラストを付けるように強めのタッチ。複雑なコード進行でトリオが絡みあう。続く曽根麻央の「Kyte Flying」も複雑ながら美しく展開する。マーティのベースソロは妙に愉し気だがこれまでに演奏したことがあったのだろうか。またさらに難しそうな曲「Andantino」(ブライアント)はマーティをフィーチャーし、ピチカートの間を縫うようにピアノが入ってくるみごとさ。デイヴィッドの和音の多彩さも素晴らしい。そしてピアノソロをふたりが眺めたあとにバシンと入っていく阿吽の呼吸。スティックでの多層的リズムがまた良い。

ここで再び石崎さんが入り、スタンダードの「Darn That Dream」。ピアノのイントロが手元の世界に集中するようで、そのあとにアルトの艶を活かすデイヴィッド。マーティはうたを自分でもかみしめて弾いている。

なんと最後の曲は「Murray's Steps」(デイヴィッド・マレイ)。デイヴィッドはマレイのことを偉大なメンターだと言った。だがオクテットの演奏が強烈だった原曲とは違い、かなりアレンジされており、まったく別物になっている。流れてはテーマが顔を出す演奏はじつに鮮烈で驚かされた。そしてシンバルとつんのめるようなベースとが入り、円環を思わせるコード進行と大きな速度のうねり。加速するときのドラムスの貢献も特筆すべきである。デイヴィッドはマレイのオクテットに今年参加したはずで、そのときの経験が反映されているに違いない。終わったあとに訊いたら、そのとき録音もなされていたという。

アンコールは石崎忍とジャンベのウィンター・スペンサーが入り、「Footprints」(ショーター)。

やはりデイヴィッド・ブライアントは特別。いつかヘンリー・スレッギル、デイヴィッド・マレイ、スティーヴ・コールマン、ルイ・ヘイズ、マリア・グランド、ジョシュ・エヴァンス、ピーター・エヴァンスらとの共演の話をまとめて聴いてみたい。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●デイヴィッド・ブライアント
ジーン・ジャクソン@赤坂Crawfish(2019年)
レイモンド・マクモーリン@六本木Satin Doll(2019年)
ジーン・ジャクソン@御茶ノ水NARU(2019年)
マリア・グランド『Magdalena』(2018年)
ルイ・ヘイズ@Cotton Club(2017年)
エイブラハム・バートン・カルテットとアフターアワーズ・ジャムセッション@Smalls(2017年)
ルイ・ヘイズ『Serenade for Horace』(-2017年)
マリア・グランド『Tetrawind』(2016年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
ルイ・ヘイズ@COTTON CLUB(2015年)
レイモンド・マクモーリン『RayMack』、ジョシュ・エヴァンス『Portrait』(2011、12年)


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