Sightsong

自縄自縛日記

Shuta Hiraki『Afterwhile』

2018-05-11 18:52:44 | アヴァンギャルド・ジャズ

Shuta Hiraki『Afterwhile』(2018年)を聴く。

よろすずさんである。

前の作品(『Unicursal』『Ftarri 福袋 2018』)では、複数の音のレイヤーがあって、それらが自律的に代替可能なサウンドだという印象があった。つまり聴いていると無意識に誘い込まれ、いつの間にかレイヤー間を移動しているというような。

本盤の印象はちょっと異なる。相互並行な音世界は敢えて構築されていないように思える。

アンビエントドローンにより幻視される世界があって、その背後に、誰か「中の人」が移動し、息づいているような感覚がある(自然音のサンプリングなのかな)。その大きな幻視のためか、それとも「中の人」により目の前の世界にブリッジが架けられているためなのか、奇妙な多幸感を覚える。そしてよりナチュラルな仕上がりになっていて、なぜか聴いていて安堵する。

思い出すこと。90年代初頭に、再開発前の汐留に、パナソニック(当時は松下電器)が東京P/N(パーン)というショールームを開いていた。ヒトの脳内でアルファ波を出すという音楽も流れていて、うさん臭く思いながらも最先端を愉しんでいた(きっとみんなそうだったろう)。そんなものはやがて消えた。しかしそれは消えたのではなく、人の共有的な記憶や地下世界で熟成されて、いつの間にか別のリアルをまとって、二周まわってここにも姿を現したのではないか。まあ知らないし妄想です。

●Shuta Hiraki
『Ftarri 福袋 2018』(2017年)
Shuta Hiraki『Unicursal』(2017年)


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