四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その35)

2022年05月18日 05時05分39秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その35)   短歌の投稿を歓迎します!!

  ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。  ☆☆☆
  ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。 ☆☆☆
  ☆☆☆ 緊急連絡!! 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
       誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた短歌を
 掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を投稿し、
 鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「薔薇 マダムサチ」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】美咲ちゃんのことを考えると不憫でなりません。人骨や運動靴が相次いで
    発見されています。事件なのか、事故なのか警察の今後の捜査に待つ他は
    ありませんが、私は遺品発見日が「子供の日」に近くて、きっと美咲ちゃんが
    母を呼んだと思っています。
☆子供の日 見つけてくれと 不条理な 遺品発見に 涙流す母
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん
【詞書】5月7日BSNHK地球ドラマチック「アフリカゾウ大接近」をやっていました。
    生息地では経済活動が活発化するにつれ、人との接点が増えています。
    衝突が起きる傍ら、保護が進み、思わぬ共存の形も、現状を見つめる放映でした。
☆におい嗅ぐ ゾウの記憶と 歩く距離 水を求めて 人との共存
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん
【詞書】5月10日よりブログを休んでいます。私たち二人にも終活の問題が直面していますが、
    どんなことがあっても乗り越えて行きたいと思っています。
☆黄昏を 君の笑顔 いつまでも 固く誓った 私の決意
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 三首目の「終活」は、残されたこれからの生活をいかに充実するかを含めて、
 私達世代にとって喫緊の課題であり、いずれ通らねばならない「道」と考えています。
 「黄昏に魅せる君の笑顔」を胸に抱きながら、奥様と手を携えて心いくまで見守り、
 乗り越えられることを祈っています。少し添削してみましたが、いかがでしょうか。
 ★人生の黄昏共に歩もうと 誓いし君に我の決意も


【詞書】いま人生の岐路に立っている友への応援歌です
☆コロナ禍の運動不足の弊害か足腰腕も日替り不調
☆見渡せば「枯れ木も山の賑わい」ぞ山には緑空には鳥も
☆これからも自分の為に詠いませ
        あの日あの時短歌が語る

                         リコさん

【解説】
 人は「人生の岐路」に、かつても、さらに、これからも少なからず立たされる場面が
 多々あろうかと思います。ある程度年輪を重ねての岐路は体力、精神力等々できつい
 場面も少なからずあると思います。
 そんな「友への応援歌」、三首目の「自分の為に詠いませ」は、何よりの励ましと
 感じます。短歌は時代の証言者であるとともに、個人史のメモリーの役割も果たし
 ますので、その方の岐路における葛藤を記録として残されるのも意義ある事と思います。
 また、その葛藤を制御しつつ魂鎮めの為に詠む事も意義のある営みと思います。
 その方の背中をそっと押される作者の優しさも感じます。
 いずれにしましても、友を想う作者の心情が滲む良い歌と考えます。


【詞書】季節の中で野山の色も日々変化しています。
    早春に聞いたウグイスの鳴き方も、上手になってきていました。
    気持のよい春の日、林の中を歩き出すとウグイスの声が聞こえてきました。いつになく
    何度も何度も鳴いてくれました。自然の中で癒しを感じたことを詠みました。
☆長閑なり 春色続く林道で 鶯の声 我を迎える
                         さわやか♪さん

【解説】
 今は、新緑と鶯の声に象徴される凌ぎやすい季節ですね。
 林道を歩む道すがら響いてくる、巧くなった鶯の声を聴くのも癒されるひと時と思います。
 そんな様子を素直に詠んだ、心地よい詠歌と思います。
 「長閑なり」「春色続く」の表現は、散文では良い表現ですが、短歌ではそれを解らせる
 表現を工夫してみましょうとの、問いかけを行いました。作者から、春が進み下草が伸び、
 葉っぱが色濃くピカピカしている、若草のことを強く詠みたいとの回答がありました。
 ネットの交流で「添削」「推敲」を三回ほど行い、以下の歌に整えました。
【推敲結果】
 ★鶯の 鳴き声響く林道に 命煌めく 若草萌ゆる



     「薔薇 ピェール ド ロンサール」

【詞書】大上段に詠った歌で、面白くもないですが、昨日詠みましたので出詠させて
    ください。歌の説明はしなくても、歌を詠まれる人には理解していただけると
    思いますが…。
    いつも通り旧仮名遣い、文語で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
★砂金から金つぶ探し出すやうに 歌むれのなか見い出す秀歌
★金鉱の中から見つける金のごと名歌は歌の鉱脈のなか
★宝石の中でいちばん硬いとふダイヤモンドのやうに詠みたし

                         suisenさん

【解説】
 短歌は時には「大上段に」構えて詠うこともあっても良いと思います。
 「ますらおぶり」を追及された与謝野鉄幹も、かなり「大上段に」構えて詠った
 時代があったと記憶していますし、それが一つの画期となったとの印象があります。
 短歌はまさに「歌の鉱脈」を採掘するように、日々精進し掘り当てていくことが
 大切と感じます。そして「ダイヤモンド」に相当する歌を詠めれば、歌人としては
 幸せなことと思います。大いに詠んで参りまましょう。


【詞書】シュプレヒコール 中島みゆき「世情」を聴いて二首
☆変わるもの
   変わらぬものの
    はざまいて
   君へのおもいだけ嘘は無い
☆我々は負けたのだろうか?
   私が子に伝える
     老獪は・・・滅ぶ

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 一首目
  老いて変わっていく自分。情熱だけは若いもんには負けないという意識は変わらない。
  変化と不変の間に居る。世の中も随分時代と共に変わってきた。歳を取った分だけ
  真実が見えて来た気がする。
 二首目
  弱いものが何時も死に、老人だけが生きて世の中を動かす。しかし彼らは何れ滅ぶ。
  自然の摂理に従って。
 今のニュースを見て、中島みゆき「世情」のYouTubeを観て、作りました。下記URLに
 YouTubeを貼り付けておりますので、ご覧頂ければ幸いです。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/eac518572f6e1aabce23ce853c16a72f

【解説】
 「世情」は、中島みゆきが作詞・作曲した楽曲で、自分の前を通り過ぎるデモ行進の
 シュプレヒコールを取り込み、不条理な世の中との葛藤などを歌った作品との記憶が
 あります。
 提示頂いたYouTubeは、香港で2014年に起きた民主化要求デモ「雨傘運動」の
 映像が使われていますが、楽曲のイメージと重なり曲の理解を深める役割を
 果たしていると感じます。
 この曲の歌詞に「時の流れを止めて 変わらない夢を 見たがる者たちと戦うため」と
 ありますが「変わるもの変わらぬものの はざまいて」の意味合いの深さに惹かれます。
 「全てを詠わず 余白を読者に想像させる」歌の在り方を、学ばせて頂きました。

☆たのしみは 日課の一つ街歩き 通りの木々に緑見るとき
☆たのしみは 若葉の中にヤマボウシ 真白き苞の四枚見るとき
☆たのしみは 山菜採りを懐かしむ あの山あの沢思い出すとき

                         shima-千恵子さん

【解説】
 いつも、作者の詠歌には短歌の原点を示唆され、学ばせて頂いています。
 「通りの木々に緑見る」「ヤマボウシ 真白き苞の四枚」、そして
 「あの山あの沢思い出す」は、さりげなく読みながらも、その描写の
 的確さは秀逸と思います。特にヤマボウシの苞の描写が鮮やかです。

☆マリウポリ 祈りの形に崩れおり 人の原罪静かに問うや
                         ポエット・M

【解説】
 ウクライナ東部、港湾都市マリウポリは15日、ロシア軍に焼い弾もしくは白リン弾
 での攻撃を受け、「地獄が地上に降りてきた」と表現される状況になっています。
 また、爆撃により半壊したビルの遠景が、まさに跪き祈りを捧げる人のイメージに
 重なって見えました。
 炎と煙の中に浮かぶその姿は、暴虐をほしいままに続ける「人」の原罪を静かに
 問うかのようでもありました。そんな光景を詠んでみましたが、湧き上がる怒りを
 鎮めるには至りませんでした。



     「ヤマボウシの花」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (36)
 9.帰らざる河(2)


    逝くものはこのようなものだろうか
                『論語』

   哀しみの
     歌はわたしの
        芝居です
     たった一度の
       この人生の

    赤ん坊が
      母の乳房を
         吸うごとく
        毒を吸いつつ
          死にたきものを

       恋人の
         後追い心中
            せし人よ
          理屈もなにも
           ただうらやまし

     なにもかも
       忘れて闇に
          三、四日
        死者のごとくに
           伏したき心
   
     笑い死に
       できるキノコが
          あるという
        試しにそれを
          食べたい心



     「薔薇 青の軌跡」
     
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【破調について】要望により引き続き、今回も掲載致します。
 破調とは短歌・俳句などの定型詩で、音数に多少が生じることを言い、字余り・字足らず
 などがあります。破調はあくまでも定型を遵守する上での例外的な措置と位置付けたいと
 思っています。
 なお、破調は、短歌会や結社によっては避けるよう指導されるところもありますが、
 一般的には広く許容されていると考えます。
 大切なことは調べ(リズム)が美しいか否かですが、名歌と呼ばれる歌歌に、極端な
 破調の歌は少ないと思っています。これは文語でも、口語でも同様と考えます。
 さらに破調でも字足らずの名歌というのは、知る限り少ないと考えています。

 例えば下記のように、字余りの名歌はかなりあり、有名な歌人でも正しく31音のみで
 詠う人は少ないと考えます。
 ・日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも     塚本邦雄(1句目)
 ・肺尖に ひとつ昼顔の 花燃ゆと告げんとしつつたわむ言葉は   岡井隆(2句目)
 ・瓶にさす藤の花ぶさ みじかければ たたみの上にとどかざりけり 正岡子規(3句目)

 しかし、字余りには以下のようないくつかの法則があります。
 ・第1句は6音7音ぐらいなら許容され、かなり多用される字余りです。
 ・第2句~第5句は1音の字余りは許容範囲です。
 ・第4句は意外と桁外れな字余りを許しますが、例歌は少ないです。
 ・いくつかの字余りが混在する例は少ないです。

 一方、字足らずの名歌は少ないのですが、以下二首を例示します。
 ・さねさし相模の小野に燃ゆる火の火中に立ちて問ひし君はも  弟橘媛(1句目)
 ・あたらしき墓立つは家建つよりもはれやかにわがこころの夏至 塚本邦雄(5句目)
                      参照: 現代短歌辞典「角川書店」等

【投稿外コメント】自閑さんからのコメントです。歌友各位の参考として掲載します。
 破調について、新古今和歌集にも有名な歌が一首有りますので、ご紹介いたします。
  ☆阿耨多羅三藐三菩提の仏たちわがたつ杣に冥加あらせたまへ
 読み:あのくたら さんみゃくさんぼだいの ほとけたち わがたつそまに
    みょうがあらせたまえ

 伝教大師最澄の歌ですが、さすがに正岡子規も「九たび歌よみに与ふる書」の中で、
 「いとめでたき歌にて候。長句の用ゐ方など古今未曾有にて、これを詠みたる人も
  さすがなれど、此歌を勅撰集に加へたる勇気も称するに足るべくと存候。
  第二句十字の長句ながら成語なれば左迄口にたまらず、第五句九字にしたるは
  ことさらにもあらざるべけれど、此所はことさらにも九字位にする必要有之、
  若し七字句などを以て止めたらんには上の十字句に對して釣合取れ不申候。」
 と絶賛しております。和漢朗詠集などにも撰歌されて、我が立つ杣は、比叡山の
 異名ともなっており、天台座主の慈円も、おほけなく~の百人一首歌で
 本歌取りしております。
【読者からのコメント】チョウキチさんよりのコメントです。
 流石に最澄ですね。素直な祈りが伝わります、この気持ちをウクライナに。


     「薔薇 クリスチャンディオール」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                       了
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