しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

映画:続 男はつらいよ 山田洋次監督

2014-11-12 | 映画
シリーズ第2作です。
第一作の同年の1969年11月公開、前作の好評を受けて製作されたようです。


またつれづれなるままに感想など。

全体的雰因気は第一作に比べより「喜劇」にふっているような感じを受けました。
第一作とくらべて登場人物のキャラは単純化されていて「こいつなんだ?」という不安感を感じない気がしました。
(第一作も基本は喜劇なんですが)
寅さんが実の母親に冷たくされて、失意で柴又に帰ってきたときの場面などは吹きだしてしまいました。

この喜劇的スタンスは基本的に次作以降のシリーズに受け継がれていくことになるのでしょうか?
冒頭「夢」から始まるのもシリーズ恒例となっていくわけですがこれも本作からのようですね。

今回のマドンナ夏子さん、あれだけ寅さんになれなれしくボディタッチしていたら...。
まぁ勘違いしますよねぇ…。
ひどい話です。

また夏子さん役の佐藤オリエの本作での演技の下手さも目につきました。
それはそれで罪意識のない感じがでていていいのかもしれませんが…。

マドンナの恋人役になる山崎務の画に書いたような二枚目ぶりも氏の後の個性派ぶりを考えるとなかなか興味深かったです。
「必殺仕置人」の念仏の鉄ですからねぇ。

寅さんの昔の先生役の東野英治郎も黄門さまを思いだしなんとも懐かしいものでした。
死の直前に自分の娘の幸せと、「寅さん」という存在への「教師」としての愛情との相克のようなものの見せかた、うまかった...。

実の母親に冷たくされたときの寅さんの哀しみ方はどこか嘘くさかったのですが、先生が死んだときの寅の哀しみぶりを見ると寅さんの「純粋」さがわかるという仕掛けでしょうかねぇ。

その辺も後のなにやら安心感のある寅さんシリーズにつながっていくような感じは受けました。

映画:男はつらいよ 山田洋次監督

2014-10-25 | 映画
ふっと見てみたくなりDVDをレンタルしました。
できればシリーズ全48作完観したいなぁなどと思っていたりします。
(凝り性です…)

「男はつらいよ」映画版第一作は1969年8月公開。
前年に放映されたTV版の人気を受けて製作されたようです。
私が生まれたのが1970年ですからほぼ同じ頃です。

「男はつらいよ」シリーズは好きで小学生時代親に連れられて映画館に見に行ったり、TVで映画が放映されているものをよく見ていました。
1983年12月公開の竹下景子がマドンナの「口笛を吹く寅次郎」は中学生の私が小遣いで見に行った記憶がうっすらとあったりします。

「男はつらいよ」第一作である本作は、小学生の頃文庫本で出ていた「シナリオ版」を古本屋で買っていて何回となく読んでいましたので内容はなんとなーく覚えていたのですが….。
改めて映像で見るのは初めてかもしれない…。

最初に感じたこと、柴又辺りの江戸川の風景今でも見事に変わっていない…。
私は2002年から市川に住んでいるので自転車などでよく柴又・矢切の渡し辺りに行くのですが雰因気は今でもそのままです、ある意味感動しました。

その他感じたことをつれづれ。

冒頭祭りで纏を降る当時41歳の寅さん=渥美清はすごく元気が良い。
シリーズ後半から終盤のあまり動きのない渥美清のイメージが強かったので喜劇役者として油が乗っていた頃なんだろうなぁという動きに感激しました。

前半妹のさくらのお見合いをぶち壊す辺り前後までの寅さんのあまりに「ひどい男」ぶりには見るのがつらくもなりましたが...。
(シナリオで文字で読む分にはそこまで感じなかった)

でもそれが逆に後半のしっとり感につながるわけで、作品としてはいいのでしょうけれどもねぇ。

今回のマドンナ、御前様の娘 冬子さんの寅さんへの態度はひどい…。
おばちゃんも同様のことを言っていましたが、見事にもて遊んでいますねぇ。
この辺もシリーズ後半はもう少しマイルドになってきている気がします。

さくらとの結婚式に博のお父さん役の特別出演で登場した志村喬、存在感ありますねぇ。

「七人の侍」やら「生きる」やらのシーンが思い浮かびなにやらジーンときました。

画像もフィルムならではのコントラストの低さと柔らかな階調、背景をぼかしたりやらなにやらがとても美しく感じました。
デジタル画像はきれいなんですがこういう味は出ないですね。

今の世の中寅さんのような自由人はさらに生きにくくなっている気がしますが、本作では寅さんの「渡世人」としての自由ぶりはあまり強調されていないのでその辺の古びた感じもなく楽しめました。

とにかく寅さん、とても元気と躍動感がありなんとも新鮮でした。
対象的なさくら=倍賞千恵子の落ち着きぶり….も、なにやら感心したりしました。

楽しかったです。

映画:ホドロフスキーのDUNE フランク・パヴィッチ監督

2014-08-24 | 映画

久々に映画館で映画を見ました。
(子供と見るしんちゃん等除く、それはそれで面白いんですが)

この映画、SFマガジン7月号で紹介されていたのを見て存在を知り、「デューン/砂の惑星」を2巻まで読んだあたりでまだ上映していることを知り、なんだかとても「観なきゃいけない」感じになり行ってしまいました。
(今日-8/24-現在は上映していないと思います)

内容は伝説的カルト映画で有名な(私は知りませんでした)メキシコの映画監督ホドロフスキー氏が1975年に「DUNE」の映画化にチャレンジし、製作開始1歩手前までいきながらもスポンサーサイドからストップがかかり断念するまでのエピソードと、その後代に及ぼした影響を描いた作品。

内容ご興味あれば予告編です。


この手のマニア向け映画はこれまで観に行ったことはなかったのですが...。
上映が平日の夜ということもあったのか、観客がいわゆる「まとも」というか「普通」の人は殆どいず、かなり癖のありそうな人ばかりでビビりました。
年齢層も学生っぽい人から年配の人まで結構幅広かった…。(子供はいませんでしたが)

内容は、世界最高の超大作(上映時間12時間!)完成を目指し、ホドロフスキーいわく「魂の戦士」を集めていき、完成を目指すが、ハリウッドサイドが難色を示し撮影できなかった顛末をホドロフスキー他関係者の証言を中心にまとめたもの。

ホドロフスキーの「DUNE」は
音楽はピンク・フロイドに頼み、オファーの時に彼らがマクドナルドのハンバーガーを聞きながら聞いるのを「ビックマック食べながら、最高の映画の話を聞くんじゃねぇ!」とホドッロフスキーが一喝して承諾させ。

ダリに皇帝役の出演交渉をして、映画の中で「本物のキリンを出して燃やせ」他無茶な条件を丸のみしOKさせ。
オーソン・ウェルズに「ハルコンネン男爵」、ミック・ジャガーにその甥フェイド・ラウサ役をオファーし一発OKさせる。
主人公ポウル訳には自分の息子と決めて2年間毎日6時間の格闘技の稽古をさせる等々…。

とにかく無茶なすごい話を2013年現在84歳のホドロフスキーが延々と語る。

このホドロフスキーが老齢になってもなんともすごい。
物凄いバイタリティがあり終始笑顔でひどいことをさらりと平気でいう。
眼にも力があり人を惹きつける何かがある人な気がしました。

原作と映画の関係について、原作に忠実に撮るのではなく自分なりに解釈して変更を加えていくことを「原作をレイプするんだー、レイプ、レイプ」と嬉しそうに語るホドロフスキーがとても印象に残りました。

本人いわく「原作ほとんど読んでない」そうですが、ダリとのやり取りの場面で原作に書いてあるなやり取りをさりげなくなぞっているのを紹介していたりしましたし、実は相当ちゃんと読んで本人いわくの「レイプ」な解釈での変更を仕組んでいたのかなーとは思いました。

また最後あたりでホドロフスキー氏が1985年に完成したデイヴィッド・リンチ監督の映画「DUNE」を見たエピソードが出て来ますが…。

物凄い嬉しそうな顔で駄目出ししていのが印象に残りました。(笑)

完成したリンチ監督販でも敵役フェイドは「スティング」、ミュージシャン起用はホドロフスキーの影響があったのでしょうか?
(ミック・ジャガーの方がインパクトは大きかったでしょうが)

ともかくこの人、ひどい人なんでしょうけど、好きです...。
世の中いろんな人がいますねぇ。

本作観てから、「デューン/砂の惑星」3、4巻を読んだのでなんだか作品がオドロオドロしく感じられた気がします。
(いいんだか悪いんだかですが…)

観ることができて良かった作品でした。

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映画:秒速5センチメートル 新海誠監督

2014-07-28 | 映画
最近のアニメ映画にはあまり詳しくはなく、ふと気になりベスト的なものを検索していたら本作の評価が高いようで作品も監督の名前も知らなかったのですがTSUTAYAでレンタルして見てみました。
(相変わらず車でななめ見なのでいい加減な感想です。)

予告編
「秒速5センチメートル」予告編 HD版 (5 Centimeters per Second)

「短編アニメを集めたオムニバス作品」としか予備知識がなく、1編目と2編目の主人公(男性)が同一人物と思わずに見ていました…。
3編目を見だして初めて主人公は同一人物で話が時系列的につながっていることがわかりました(汗)

というような見方でも1編目と2編目もそれぞれ独立して楽しめました。

なによりも感じたことはさすが日本のアニメーション、映像がとてもきれい。
一編目は桜→雪の中、二編目は南の島の「夏」の風景と海、三篇目が街中ですが背景がとても印象的に描かれて内容とマッチしています。
映画館で見たらもっと圧倒されるんだろうなー。

BGMは割とべたな山崎まさよしの”ONE MORE TIME,ONE MORE CHANCE“をメインにしているのですが、その中で「ちょっと変わった」状況をうまく表現しているのにとても感心しました。
(他もリンドバーグを使っていたりする)

一番印象に残った場面は一編目の大雪の中での移動の描写。
「何が起きるわけでない」状況を丁寧に描写することで「見せる」技に非凡なものを感じました。
(あと1編目のヒロインの声がいい感じでした…)

「決断できない」「踏み込めない」男の「哀しさ」と、対して女性の「たくましさ」みたいなものがテーマになるんでしょうがまぁ全体的な情景と雰因気からなにかを感じ取れればいいという作品なんでしょうね。

アニメファンに人気があるのはうなずけましたが、ストーリーを求める人には物足りないかもしれません。
私的には結構堪能できたのでこの監督の他の作品も機会があれば見てみたいものです。

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映画:イノセンス 押井守監督

2014-07-23 | 映画
これも車の中で斜め見なのでいい加減な感想です….。
(映像美が売りの作品でもあるようなのでいい加減程度は高そう…)

先日「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」(1995年)を見てその続編的作品の本作が気になっていたため見てみました。

ただストーリー的には前作からの継続性はなく、主人公も前作の草薙素子ではなく相棒のガトーになっています、2004年公開。
映画『イノセンス』劇場本予告 - "INNOCENCE" Theater Trailer


前作に続きいかにも「サイバー・パンク」な作品で、現実とサイバー世界の境界のあいまいさや、そのマインドを楽しむ作品でしょうね。
従ってストーリーは、あるようなないような(笑)個々の情景情景を楽しむ作品でしょうね。

中盤のサイバー世界的な繰り替えしなどは、「火星のタイム・スリップ」を想起させました。

ただ、メッセージとして伝えたいのかなーと思われる「人間機械論的な人間と人形の差異のあいまいさ」「子供の残酷さ」というようなところはあまりに直截でどうも...。
最後にガトーの相棒トグサが家族のところに帰っていくのもベタではあります。
サイバーパンク的表現は、「GHOST IN THE SHELL」の時代には新鮮だったのかもしれませんが10年近く経つと新鮮味は薄れていますしね...。

と言いながらも「サイバーパンク」的映像、オリエンタルなBGM、お金かかってるんだろうなーという感じで、臭めなメッセージと併せていかにも「押井監督」的世界が好きな人にはいいんでしょうねー。

なにか気になるものが残る作品ではありました。

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