しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

デューン/砂の惑星1~4 フランク・ハーバート著 矢野徹訳 ハヤカワ文庫

2014-08-21 | 海外SF
‘12年ローカス誌長編オールタイムベスト堂々の1位の作品です。
1965年発刊、1966年に第一回のネピュラ賞を長編部門で受賞、同年のヒューゴー賞も受賞している問答無用(?)の名作。

昨年末に実家から持ってきて「読もう、読もう」と思いながらも「4冊は量が多いなぁ」と思い、なかなか手に取れていませんでしたがやっと読む気になりました。

本自体は、高校生か大学生くらいのときに古本屋で見かけ4冊揃いで買っていたもの。

表紙に映画の写真を使っています。
デイヴィッド・リンチ監督の映画が1984年に公開されたあたりで出た版ですね。
これも見ていません。(あまり評判はよくないようです)
奥付見ると昭和60年=1985年版でした。

とにかく本作も20年以上積読していたものです…。

デューンシリーズはこの後も「砂漠の救世主」「砂丘の子供たち」と続いていくようで、そこまで読まないと真価はわからないのかもしれませんが、現在全部絶版。
とりあえず手持ちの「砂の惑星」からということで読んでみました。

ちなみにamazonで見たらプレミアついていて中古で「砂の惑星」1巻が中古で1,200円からになっていました、さすが名作!

内容(扉記載)
1巻
アラキス・・・・・・砂丘・・・・・・砂の惑星。ポウルの夢に一面乾ききった世界が広がる。そこがかれがこれからの一生を過ごす所なのだ。アラキスは苛酷な星ではあったが同時に唯一の老人病特効薬メランジの宝庫でもあり、皇帝の勅命を受けたアトレイデ公爵にとって、そこを仇敵ハルコンネン家にかわって支配することはこの上ない名誉と富を意味した。一人息子ポウルにより豊かな未来を継がせるためハルコンネンの復讐の罠を、皇帝の恐るべき奸計を、充分承知しながら公爵はあえて砂の惑星に乗りこんでいく・・・・・・ヒューゴー、ネピュラ両賞受賞に輝く傑作巨編、堂々開幕!
2巻
悲劇は、アトレイデ公爵家がアラキスに着いてはじめて催した晩餐会の後に起こった。酒宴が終わって自室に戻りかけたレト公爵は、廊下に倒れている人間に気づく。抱き起してみるとそれは背中にナイフを刺されたフレーメンの家政婦メイブズ―――はっとする間もなく麻痺銃を射たれたレトのかすむ目に、悲しげな表情を浮かべながら近づいてくる裏切者ユエの姿が映った・・・・・・。やがてハルコンネン家の総攻撃からかろうじて母と共に砂漠に逃れたポウルは、一瞬、父の死を知った。いつのまにか、かれの心は時間と空間の彼方に果てしなく拡がっていく能力を身につけていたのだ!
3巻
アトレイデ家滅亡の時からくも逃れた砂漠でポウルは母に言った。「フレーメンの中に身を隠そう。かれらがぼくたちを助けてくれる」父の副官アイダホと、惑星生態学者カインズの死を賭した献身によって追ってを振りきった二人は、ハリコンネンから、皇帝から、そしてギルドの監視からさえも自由な広大な奥地をめざし、ひたすら砂の上を歩み続けた。宇宙船ほどもある巨大な砂虫の恐怖、絶え間なくかれらを苦しめる“熱”と“乾燥”―――だが、この想像を絶する苛酷な環境こそが、超人類たるポウルの予見した栄光の未来へのもっとも大きな切り札となったのである!
4巻
復讐の時は来た。フレーメンの一員となりきり、その超能力の故に、無数の時空の流れを自在に動くことのできるもの、“ムアドディブ”として砂漠の民の宗教的畏敬の的となったポウルはやがてフレーメン全部隊を組織統率、様々な生態学的手段を講じて砂漠の緑化をはかると同時に、またアトレイデ大公家当主として、敢然と帝国の陰謀に挑戦する。すなわち皇帝とハルコンネンがアラキスの情勢を危惧しサルダウカーの圧倒的軍勢をもって再び砂の惑星に攻めよせてくるや、フレーメンは総力を上げてこれを迎えうったのだ!
壮大なスケールの傑作SF巨編第一部完結!

さて感想、とても楽しく読了できましたが....。
「オールタイムベストで1位」という期待感で読んだほどの読了感は得られませんでした。

SFマガジンの投票でもランクインしてなかったですし、アメリカでは人気があるのでしょうが日本人受けしない内容なんでしょうかねぇ。

ざっくりいえば貴種漂流譚で「公爵」の息子が苦難を重ねて、能力を身に着ける。
その「公爵」に現地人は恐れ入って忠誠を誓い、ちりぢりバラバラになっていた豪傑的、騎士的部下がはせ参じて、悪だくみをしているわかりやすい敵役の男爵と皇帝をやっつける。
なんとも単純かつ古典的な英雄譚ともいえます。

もっとも本作の場合はそこにドラッグも絡んでくるわけですが...。
また巻末に独自の用語辞典までついてくる凝った世界観も労作だとは思いますが...。

私的には、ローカス誌オールタイムベストで3位のアシモフの「ファウンデーション」の方が同じく「皇帝」が出てきても圧倒的に上と感じました。
(こちらはギボンのローマ帝国興亡史を下敷きにしている。)

機械文明というかコンピューターを否定した設定で「魔法」的なものが出てくるSFというよりもファンタジーっぽいところが合わなかったのかもしれません。

展開として1、2巻で登場人物の紹介をかなり詳しくしていましたが丁寧な展開で「これは」と期待しえいたのですが、2巻終盤のアドレイデ家崩壊から、3、4巻でのポウルの放浪、終盤の皇帝との対決などはかなり展開が速く端折られて急いで展開しているような感じを受けました。

私的には人物紹介的要素が多いものの前半部の方が楽しめました。

そんなこんなピンとこなかったというのが正直な感想です。
まぁ「問答無用」の名作(?)ですし、私の「読書力がない」というのが原因かとも思ったりはしております。

といいいながらも独特のオドロオドロした感じや講談のようなテンポの良さで読み出すと先が気になり一気に読んでしまったのも事実です。
面白い作品ではあります。

解説によると「砂漠の救世主」以降まで読むと「哲学的」世界観になっていくそうですのでそこまで読まないと判断してはいけないのかもしれませんね。
なお毎巻に私の大好きな訳者:矢野徹氏の解説がついているのもうれしい所でした。
(私的には本作より、氏の「カムイの剣」や「連邦宇宙軍シリーズ」の方が好きだ...)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
昔読んだなあ (木曽のあばら屋)
2014-08-23 09:02:48
こんにちは。
「砂の惑星」は高校生のころに結構夢中になって読みました。
続編もたしか読んだような。
ウン十年前です。
内容は・・・かなり忘れてますが、それなりに面白かったと思います。
今読むとたぶん古臭い感じがするんでしょうね。
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Re:昔読んだなあ (shirokuma_2007)
2014-08-23 15:53:01
木曾のあばら屋様 こんにちは。
当時は先駆的作品だったんでしょうが、スターウォーズやら砂虫はナウシカのオームの元ネタになったという説もあるようで、いろいろ出てきて新鮮味はうすれているかもしれませんね。
面白かったは面白かったので私も高校時代に読んでいれば夢中になった気もします。
ブックオフで「砂漠の救世主」見つけて買いましたがすぐには読まなそうですが...。^_^
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