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「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

ピストンリングの組み方

2013-09-20 11:41:00 | CBX400F/550F
サービスマニュアルもある程度メカに精通していて
多少、基本を分かっている方向けの感は否めません。
特にCB400Fの頃のマニュアルは顕著ですね。
CBXあたりの年代で多少詳しくはなりました。

最近では基本事項を記した「共通編」というマニュアルが別途存在したりします。

さて、今回お問合せを戴いたのが
NetShopのお客様
メールにて
「先日購入しましたピストンリングが当方の車両につきませんでしたが、
何か理由がありますか?
たぶん上のリングは付くと思いますが
下のジャバラ見たいのが大きすぎて、上下のリングが付きません?」


そこで、
これまで一度も前例は無いのですがメーカーによるシールミス(梱包間違い、違う部品が入ってる場合)
または、社外品のピストンを使っていて専用の部品で無いと合わない場合
を指摘したのですが
送ってもらったほうが間違いないと判断
「ピストンリング自体に問題が無い場合は送料ご負担くださいね」
と念押しし送ってもらいました。

届いたのはリング1台分とピストン1個
ピストンにはオイルリング(サイドレール)が1本装着してあった)

(画像では外してしまってあります。)


ピストンピンかじっていますね
コンロッドにも同様に傷が入っていますから
このまま再使用するのはいかがかと思います。
当店でCBXのエンジンのO/Hをしていた頃は
漏れなくWPC処理を行っていました。
(傷の有るものは新品に処理)
これはコンロッド側のダメージをこれ以上進行させない為の処置です。


また、極力カーボン、スラッジは除去して組みたいですね
リング溝のカーボンもスティック(固着)の原因にならないともいえません。

嫌な予感がしたので
オイルリングだけ仮組み
問題なく組めました。
ひとつの仮説が浮かびました。
サイドレールを先に入れて、後からスペーサーを入れようとしたのではないか?

サービスマニュアルにはこのように図はありますが

組み方に関しては順番までは書いていない
先の「共通編」でも同様、常識として考えられているのか
まったくのビギナーからすると「どう組めばいいの?」状態でしょうね
私自身もまさか組む順序を間違えるとは思いませんから
メールを戴いたときに可能性のひとつとして浮かんできませんでした。

図を良くみるとスペーサーが奥で広がっていて
後からでは入らないだろう事は想定できそうですが
文章で注意書きでもなければ見落とすかもしれませんね。

せっかくなので洗浄しました。


きれいになったところで気持ちよく
簡単に組み方を画像を交えて説明しましょう


まずスペーサーを組みます。


次に下側のサイドレールを組みます。
スペーサーの合わせ目が重なろうとするので注意してください


上側のサイドレールを組んで


オイルリングは完了


次にセカンドリング

刻印が上向きになります。(純正品は「R」)
※トップリングの刻印は薄く非常に見え辛いので注意!


トップリング装着


ハイ、完成です

リングの合い口はシリンダー挿入時に再度確認してくださいね

ひとつ気になるのはピストンに刻印、ポンチ、マーキングがいずれも無かったですが
場所はきちんと分かるようにされていますでしょうか?
再使用する場合、組むのはどこでも良い訳ではなく、
入っていたシリンダーに戻すのがセオリーです。

マニュアルは万能ではなく、書かれていないこともありますからご注意ください。
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