Maintenance SHIOHOUSE

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「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

サービスマニュアルの盲点

2013-09-26 18:28:00 | CB400F/350F
サービスマニュアル、パーツリストの意外な不親切さ、
プロにとっては当たり前のことは書いていなかったり
なんてことは発覚次第ここで書いていますが
今日来た問合せもその一つ

「 現在自分でエンジンをO/Hしているのですが、
クランクケースに/B B B A A/と刻印されており、
実際にクランクメタルを見てみると、
すべてのメタルの外側に『D5C-A STD』と刻印されておりました。
この刻印はメタルの種類を表していると思うのですが、
だとすると一種類のメタルで組み込まれていたことになります。
『D5C-A STD』=C(緑)?
最終的には自分でプラスチゲージでクリアランスを図ってメタル選定をしようと思うものの、
ケースの刻印とメタルが違うとなると、
Hondaの品質を疑ってしまいそうなのですが、自分の解釈が合っているかご教授頂けませんでしょうか。
大変お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。」

このメタル合わせに関しては
サービスマニュアルP26~28に記載されていますが
計測してクリアランスを割り出してメタルを選択するというもの
ただ、実際にシリンダーゲージやマイクロメーターを所有し、計測に慣れているプロ向けの話であって
計測機器を持たぬビギナーには無理な話

また、書き方も非常に分かりにくい
これでは勘違いするのも無理は無いですね

簡単に説明すると
メインベアリングは
クランクケースの背面のクランクケース内径コードと
クランクシャフトのメインジャーナルの外径コードを




選択表で合わせて使用するメタル(暫定)を決める。


コネクティングロッドベアリングは
コネクティングロッドの内径コードと
クランクシャフトのクランクピンの外径コードを



同様に選択表で合わせて使用するメタル(暫定)を決める。


決まったら
プラスチゲージを使用して、おのおの仮組みし規定トルクを掛けて正確なオイルクリアランスを測定します。
クランクのメインジャーナルやクランクピンは磨耗しますから
外径コード通りで無いことがあります。
クリアランスがメーカー指定値から外れていれば
1サイズずつ変更して、都度計測しながら
合うサイズのメタルを選定します。

80年代くらいからの車種のサービスマニュアルはこのような説明に変わっています。
若干、ビギナーにも分かりやすくなっているのですね。

ところで厄介なのが
サービスマニュアルの選択表には内径コード、外径コードが書かれておらず
CB400F398のパーツリストにのみ記載があります。
※408、CB350Fパーツリストには記載なし


整備資料、取説は復刻品の取扱はありますが、大人の事情で
NetShopにはUPしていません。
ご希望の方はお問合せください。

自分自身も昔からパートごとに分割して記載されている398パーツリストの方が使い勝手が良いため
気にすることが無かったのですが
408パーツリスト+サービスマニュアルだけの所有では勘違いしてもおかしくないですね。

今回の戴いたメールの大きな間違いは
メタルの裏側の刻印が厚さと関係あると思われている点
これは幾度と無く問合せがあるのですがまったく関係ないです。
ご注意ください。
色だけが頼りですから、エンジンを開けた際に再使用するなら位置、上下を必ず分かるようにすること

この刻印ですね

全部C(緑)ですが刻印は皆違います。


次はクランクケース背面の外径コードをメタルの厚さのアルファベットと勘違いしている気配があること

くれぐれも間違えの無いようにお願いいたします。

398のパーツリストをお持ちで無い方は
サービスマニュアルに書き込んでおくと良いでしょう
ただし、縦の並び方が逆なので良く確認して書き込みましょうね